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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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WD短期連載していた学園パロです。
今回はハムが頑張ってます。多分。





「やあストラトス君」


久しぶりに大学院の講義に行ってみたが、来るなり不愉快な人物に呼び止められた。

ギギギと首が軋むぐらいゆっくりと首をそちらに向けると、案の定無駄に輝く金髪の男が、嫌味な位に整った顔で微笑みかけてきた。

女性であるならば一発で恋に堕ちる笑顔だろうが、生憎ロックオンは男だ。さらにそいつが手塩をかけて育ててきた妹分にちょっかいを出しているとなると余計好感を持てない。ついでにいうと刹那もこんな奴の笑顔に堕ちてないと信じている。

だが面と向かって話し掛けられるのは初めてだ。幾等なんでも一応ほとんど初対面ということになっている人間に睨みをきかすのは諜報員として失格なので、顔の筋肉を総動員して笑みを作る。






「何の御用でしょうか、エーカー先生」

「いや、用があるのは君ではないのだが・・・刹那、いえミスセイエイのことでお話が」




バチリ。

笑顔で向かい合っているはずの二人の間に青い稲妻が走った気がする。

女性が見れば失神するくらいの笑顔で美形同士が微笑んでいるのだが、彼等の間の大気は細かく震え、昼下がりの閑かな廊下が緊迫感を孕んだ紛争地帯と化した。

というか、きやすく刹那と呼ぼうとしただろう貴様。




「君とミスセイエイの続柄は何なのかい?まさかストーカー、というわけではないだろうが」

「はっ貴方でしょうそれは。大体なんであんたにうちの家庭状況を教えなきゃなんないですか」

「その様子だと恋人、という訳ではないな。良かった、ミスセイエイが君みたいなのを選んでなくて」

「はっ?」





翠の瞳を細めグラハムがロックオンに笑みを送る。だがそのガラスのようなつややかな瞳の奥に嘲笑うかのようなものがあり、ロックオンは自らの額に青筋が立ったことに気付いた。





「君がミスセイエイを車に乗せているのをみかけてね、君は彼女の保護者なのかい?」


「・・・まあそんなもんですけど。で、要件は終わりでしか?俺これでも忙しいので」




イコール中等部教師が院生より暇していいのかという嫌味をこめてみせたが、この男はさらりと流した上にとんでもないことを口にした。





「なら保護者がわりの君にいうが、ミスセイエイの門限を伸ばしてほしい」

「は?」

「今のままでは、夜のパレードを二人で見ることは出来ないだろう?」

「・・・誰と誰が、ですか」

「当然私とミスセイエイだよ」





大体今時の女子高生の門限が六時なんてナンセンスだと思わないかい?などと呟
くグラハムの眉間を、無償に狙い撃ちたくなった。勿論至近距離から。

ロックオンは笑みを浮かべながらも、利き手はしっかりとホルスターに伸ばしていた。

さすがに学校では打てないので、脳内で奴を蜂の巣にするのを想像しておいた。



























「はあ・・・」



ため息をつきつつ、刹那は洗面台に手をついた。

うらめしそうに顔をあげると、大きめの鏡に自分の上半身が映し出されている。

あちこち緩くはねる癖だらけの短い黒髪、ガサガサの薄い唇。鏡の向こうの鋭く強すぎる眼光が自らを疎ましそうににらみつけている。

さらに視線を下に下げた。

クルジスでの傷痕の残る浅黒い肌に、女性特有の柔らかさの欠片もない骨張った小柄な肉体。極めつけは胸だ。

ネーナは大きくなったというが、服を着てしまうと触らなければわからないくらいの大きさだ。子供用茶碗よりも小さい。スポーツブラをつけていても、ネーナの三分の一もなさそうだ。

世間一般の女性観からあまりに外れた自らの姿に刹那は溜め息を再び吐くしかなかった。





『バレンタインのお返しをさせてもらえないかな?』




そう言ってグラハムは刹那の答えをろくに聞かずチケットを渡してきた。それは娯楽に疎いような刹那でもわかる某有名テーマパークのもので。

物陰で覗き見されたルイスにこれはデートのお誘いよ!と騒がれ、周りから痛いほどの視線を浴び顔から火が出るほど恥ずかしかった。




「デート、か・・・」






あの男と、自分が。想像してみたが、二人が並んでいてもどう見ても男女間のデートには見えない。下手をすれば子供を誘拐している図にさえ見える。


容姿のバランスがつりあわないのだ、彼とは。

良い育ちだろう大人の男と、紛争地域を行きぬいた子供とは。誰が見たってアンバランスだ。

しかし、それでも彼はしつこく刹那の元にやってくる。




「わからない・・・」




もう一度自分の痩せ犬のような体をみてみる。やはり制服を着ていなければ男にしか見えない。


女であることは不利だから、と自ら女性らしさ切り捨て弱くはなくなった自分にそれなりに誇りをもっていたのに、ここにきてそれが恨めしく思うなんて。

舌打ちして下着を脱ぎ捨てる。こういうときはごちゃごちゃ考えていても埒が明かない。風呂にでも入って忘れよう。

そう思いシャワールームに入ったのだが、やはり脳裏にはグラハムの姿が現れ、消し去ろうと水勢を強める。





「わからないっ・・・!」


彼はなぜ自分に近づくのだろうか。

あの日登校中に出会ったときから、うざいと拒絶しても現れて。

なぜか助けてもらったり、あの煎餅並みのブラウニーを一度に大量に食べておいしいといってくれた。

そして最後に。




「っ・・・」



唇に触れると、あの時の感触をリアルに思い出す。

初めての口付けだった。さらに口内に湿った舌まで入ってきた、想像すらしたことのないようなキス。

とたんに体中の力が抜け、唇を押さえたまま刹那はしゃがみこんでしまった。


なぜあんなことをした?


羞恥心と、怒りと、そしてわずかの快感が入り混じった感情。

やはりロリコンなのだろうか、それとも、彼がよく言ってくる「運命」という勘違いなのだろうか。

刹那には理解できなかった。グラハム・エーカーがなぜ好意を向けてくるのか。

最初はその好意を利用し、諜報活動の為と割り切っていやいやながらも接していたと言うのに。





「わからない・・・」





しゃがみこんだまま、刹那は熱いシャワーに打たれた。聞こえるのはなぜか早くなった鼓動の音と、シャワーが床にはねる騒々しい音。

水蒸気で曇り始めた鏡の向こうに情けない自分が、不可解だといいたげにで自らをのぞきこんでいた。





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