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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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やっとくっついたっぽいです。やったー!







「いや、楽しかったね」

「・・・」


夜の帳が降り始めてきた夕刻。園内の人も大分帰宅を始め、二人がいるエリアは静かな音楽が流れて穏やかなものになっている。〈br〉
あの時結局門限を引き延ばすことは失敗したので、夜のパレードを見ずに帰宅することになった。

乗り物にも一通り乗り疲れてきたので、こうして二人並んで奥に広がる海を見つめている。


「お気に召したかな?」

「騒々しかった」

「つれないね」

確かに刹那は人混みが苦手そうである。大分疲れきった顔をしていた。〈br〉スリリングなものは大したことないと言い切り、可愛いキャラクターにも反応しない。(コーヒーカップをふらつきながら降りる姿はなかなか面白かったが)〈br〉
それに、何か考えごとをしていたのか、ジェットコースター以来空をみつめたり、只でさえ口数が少ないというのに黙りこんでいたりと上の空だった気がする。

失敗だったかな、と首を傾げてみるが、「でも」とポツリと呟いた。

「・・・感謝する」

「え?」

「こういう娯楽があるのだと、勉強になった」


意志の強そうな紅の瞳が此方をじっと見つめた。

いや、楽しめたのか聞いたのだが・・・しかし彼女は至って真剣で、聞き返すのも憚れる。


「・・・どういたしまして」


どうやらこの少女の育った環境は、相当特殊なものらしいようだ。

初めて見たときから普通の少女ではないと思っていた。さらに今時テーマパークに行ったことも無く、ジェットコースターを恐れないと考えると、やはりカタギリの推測どおりの人物と考えられる。


軍事関係を探る、スパイか何か。

それも特殊な訓練を施された。
目的は恐らく、ユニオン最高機密情報・・・あの白き天使。


しかし例えそうであったとしても、今更この気持ちを掻き消すことは不可能であった。

異国情緒溢れた、刃のような鋭さを孕んだあの紅い瞳を見た瞬間、私は恋に落ちていたのだから。

例え彼女が、過去の自分が知りえる情報目的に近づいてきたとしても。





「刹那、ちょっといいかい」

グラハムは刹那に向き合い、ふわりと彼女が巻いていた紅いマフラーを取った。
一瞬ビクリ、と身をすくめる彼女の、小動物的なしぐさ一つがいとおしく思える。

ポケットから目的のものを取り出すと、グラハムはそっと刹那の細い首に手をまわした。


「?!なにを・・・」

「動かないで」


夕闇の中、白銀がちらりと輝く。時折触れる柔らかや毛先や、彼女の滑らかな首筋を楽しみつつ、グラハムはしっかりチェーンの留め金を止めた。




「・・・これは?」

こそばゆく思わず目を閉じていた刹那の胸元には、アンティーク調に細かく細工されプラチナのフレームに収められた、紅い石のペンダントがあった。斜陽に照らされ、石がより鮮やかに染められている。カット面が角度によりキラキラと光を放っている。

アクセサリーといった類いのものに目が肥えていない刹那でも、洒落ていて美しいものに思えた。

「宝石商の知り合いに偶然会ったとき、たまたま見かけたものだ。レッドベリル、というものらしい。」

「・・・レッド、ベリル?」

「ああ、エメラルド、緑柱石と同じ組成式の・・・要するに親戚のようなものだ。君だってエメラルドくらいは知っているだろう?」


そういって、グラハムがもう一つペンダントを取り出した。此方は彼の目を思わせるような、夏の木立のような新緑の石が輝いている。デザインは刹那に付けられたものと同じであった。


「二つ並んで展示されていて、恋人同士にどうか、と勧められたんだ。」

「は?!」

あからさまにいやそうな顔で後ずさろうとしている刹那に、流石のグラハムも苦笑いを浮かべた。・・・本当にそのつもりで買ったのだが。


「冗談だよ。・・・これを見たとき、咄嗟に君の事を思い浮かべたんだ。まるで君と、私の瞳のようだと。遅れてしまったがヴァレンタインのブラウニー、おいしかった。これはささやかながらお礼だよ」

「相当高額そうだが・・・」

「君の手作りにはかなわないさ、本当は指輪がよかったのだが・・・君は照れ屋さんだからね」



冗談めかして言ってみたが、かなり本音であった。
むしろ婚約指輪を渡したいくらいであったが、カタギリに心底冷たい目で見られたので諦めたのだ。〈br〉
しかしてっきり刹那はにらみつけてくるものか、と考えていたが、胸にあるペンダントをじっと見つめ、しばし黙り込んでいる。

怒らせただろうか?


だが次に起こした刹那の行動は想像していないもので。〈br〉

彼女は顔をあげるや否や、グラハムの手にぶら下がっていたエメラルドのペンダントを電光石火で奪い去った。


「刹那?」

「・・・」

一瞬のうちに起きた出来事に呆然とすると、今度は先ほどグラハムにつけてもらったペンダントをはずし、奪い去ったエメラルドのペンダントを身につける。きらりと緑の軌跡が残った。


「かがめ」

「え?」

「手が届かない」


慌ててグラハムがかがめば、今度は刹那の小さな手がグラハムの首に伸びてきた。やはり少し高いのか、それともワイシャツの襟に邪魔されているのか手間取っているようでかなりこそばゆかった。真意はわからないが刹那のなすままになっていると、少し時間をかけ、ようやく留め金を止めることに成功する。



「刹那?」

「俺はこっちの方がいい」



かがんだせいか、刹那の顔がすぐ近くにあった。彼女はじってグラハムの瞳を見つめている。



「・・・お前の目の色みたいで、此方の方が好きだ」





小声で、しかしはっきりと呟かれた言葉。

目の色?

私の?


しばらく棒立ちで思考し、その意味をようやく理解したグラハムは、刹那を抱きしめていた。

「お、俺に触れるな!!」

「先ほどの言葉は、好きだという意味かね?」

「?!何故そうなるっ・・・!!」


じたばたと暴れる刹那に肩を殴られようが、蹴られようが、グラハムは刹那を決して離そうとしなかった。胸の中が彼女に対する愛おしさで溢れ、痛みなど全く気にならない。

普段全く感情を出そうとしない少女の、精一杯の褒め言葉。普段つれないだけに歓喜で満たされる。

刹那の瞳の紅は自分の胸に。自分の瞳の翠は、刹那の胸に。

当初の目的とは少しそれてしまったが、こちらの方が何倍も嬉しい。

いつでも彼女の瞳の色を見ることが出来るのだから。





「グラハっ・・・苦しい・・・」

「すまない、だが離したくないね」




びくともしないグラハムの体に抵抗する力を失ったのか、ぐったりとする刹那の体をさらにぎゅっと抱きしめる。胸の石と石が重なり合い、かちゃりと音を立てた。




「愛してる、刹那!!」

「わかったから離せバカ!!!」





さらに抱きしめようとするグラハムを、刹那は渾身の力をこめて殴り飛ばした。
空には星屑が輝いていたが、それなんかよりもこの宝石は、刹那の瞳は、輝いているような気がした。






紅は嫌いだ。

血塗られた子供の頃の記憶と結びつく、忌まわしい紅。

鏡越しに見える自分の貧相な体と、ぎらつく紅い瞳が、自分をとても汚い存在と言われているようで。

だから、綺麗なお前の瞳の色と、取り替えたかっただけ。

なんだか激しく誤解された気がする。

だが、嬉しかった。

嫌いな瞳の色を、穢れた色を、肯定してもらえて。

どうしてここまでしてくれるのかは全くわからないが。

いまだに戸惑いはある。刹那・F・セイエイはガンダムマイスターであり、グラハム・エーカーには第二世代ガンダムの情報を求め接触しているのだから。

いままで感じたことのない胸の痛みは、騙しているという罪悪感からなのか?

それとも、得体も知れない女子高生である自分に、無条件に優しさを注ぐこの男に不安を抱いているからなのか?

任務的には重要なことを聞けたから成功していると思う。だが。









「グラハム」


力強く腹を殴った為か、座り込み咳をしているグラハムに近づく。普段ならいい気味だと思うところであるが、今日は一瞬だが罪悪感が芽生えた。

意を決して、そっと屈む。そして顔下に広がる綺麗な翠の瞳に、自分の中の想いに、今まで頭に渦巻いていた混乱の一つに、やっと整理がついた。





「・・・有難う」



そしてはっと顔をあげるグラハムの白い頬に、自分の顔を近づけた。





-Happy white day-








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