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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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健全だもん!な続き





「やはりやめよう!」

「・・・は?」



思わずソファからずり落ちそうになった。

折角覚悟していたというのに、グラハムの明るい声に四肢の力が抜けてしまう。




「む、それともして欲しかったかな?」

「ばっ・・・そんなわけあるか!!」




再び胸元に伸びてきた手に思わず飛び起きて慌てて足を閉じれば、少しだけ残念そうな顔でしょんぼりとするグラハムがいた。



「物欲しそうな顔をしていたから・・・」

「そんなわけあるかっ!!それにあんたがやめるといったんだろうが!!」



こっちは相当の覚悟をしていたのに、と少しだけ浮かべてしまった涙を慌ててこすりつつ恨めしい気持ちでグラハムの胸を叩けば、にっこりと微笑んできた。
先ほどの欲望の火はどこにきえたのか、また余裕のある顔に何故か戻っていてそれがより刹那の腹をたたせた。



「いや、お楽しみは後に取っておこうと思ってね」

「え」





とん、と鼻頭に当てられた指先に瞬きしていると、グラハムは野獣のような先ほどの表情を覆い隠すように微笑み、刹那の鎖骨で静かに輝いているエメラルドのペンダントをつんつんと叩いてみせる。




「・・・コレを見て我に返ったのだよ。
君は、私をこんなにも信用してくれたのだから怖がらせる真似をしたくない。
だから、お楽しみはとっておく。少し成長した君をたっぷりと味わいたい。
今生の別れみたいになし崩しな流れで、今の君とはしたくはない。」


「・・・俺は・・・」


紛争根絶。ガンダムをもってしても、その道は果てしなく遠い。
有史から人は争い、傷つけあってきたのだ。

そして、2300年たった今も、愚かに傷つけあっている。

それを、とめようというのだ。きっと無事には帰って来れない。

もし、刹那の命があるうちに終わっても、途方もない時間が掛かるのだ。


そしてそのときには、グラハムの隣には別の女性がいるのかもしれない。子供もいて、軍やガンダムのことなど忘れて、幸せに暮らしているかもしれない。

刹那のことも忘れて。

そちらの方が、彼にとっては幸せかもしれない。血にまみれ、屍の上を今も昔も乗り越えようとする女とではなく、一般人と一緒になった方が。

グラハムの視線から逃れ、うつむく。

彼の瞳によく似たエメラルドが、きらりと硬質な輝きを放つ。


出来ることならば、彼の元に返りたい。

この腕の中にい続けたい。

許されることならば。

でも、帰れるかわからない女を待つなんて、彼にとっては枷になりかねないのだ。

もし生き残っても、俺は思い出だけで十分だ。グラハムと生きた、記憶とこのペンダントがあれば。

彼には、幸せになる権利が残されているのだから。




「その様子だと、私を信じていないようだな」



むっとした声が頭上に落ちてくる。

顔を上げればふくれっ面なグラハムと視線が合う。


玲瓏に輝く宝石とはちがう、柔らかな輝きに胸をしめつけられた。

やはり、ペンダントと同じ色とはいえこちらの方が欲しかった。



「この我慢弱い私が待つと言っているというのに!君は酷い女だ。」

「だがやはり・・・俺は・・・」

「さっき約束しただろう?真実を話したら、帰ってくると」

「そうだが、でも」




食い下がる刹那に痺れを切らしたのか、最初は優しく諭す様に刹那を撫でていたグラハムは痺れを切らしたのかやり取りを何度か繰り返すとふん、と鼻息を荒くすると自分の手を胸に当て、ペンダントを引きずり出した。

彼曰く、自分と同じ色をしているというレッドベリル。



「私は君が帰ってくるまでこれを君の代わりにする!これを見て、毎日君のことを思い浮かべる。私の執念深さを君は知っているだろう!!」

「だが、俺は・・・ガンダムの、パイロットなんだぞ!!きっと帰って来れない」

「それがどうした!!!」




思わず諦めさせようと重要機密を口論のさなかこぼしてしまった。

苛立ったようにグラハムはペンダントを握り、唾が飛ぶくらいに大声を出してきた。刹那はあっさりと流されたのと、大声に面食らい反論をとめてしまう。




「パイロットだろうが関係ない!!君は生き残る!!生き残って、帰ってきて、私と結婚するのだ!!」

「け、結婚?!」

「ああ、そうだ、結婚だ、結婚して、子供をもうける!!!ああ、子供は三人を所望する!!

そして老いて、日本に邸宅を建て死ぬ瞬間も、そしてその先も一緒だ!!!
それが君に課す約束だ。異論は聞かない。

いいかい、君は帰ってきたら、私の元に真っ先に来るのだよ?
それが私を惹きつけた責任・・・そして私を愛した責任だ、刹那。

我慢弱い私が待つと言っているのだぞ?!そのくらいの責任は当然だ!!!
その分帰ってきたら、たっぷりとかわいがってあげよう!!」




わかったか!!!?部屋を突き抜けマンションの廊下まで聞こえそうな声に刹那は鼓膜がおかしくなりそうだった。

一気に嵐のようにまくし立て、息を荒げているグラハムはそれでも刹那を睨むように、穴が開くぐらいに見つめてくる。



「約束を違えるようならば・・・私は君を追いかける。それこそ、地獄の果てまでもな!!」



金髪を振り、刹那がのけぞってしまうくらいに言葉をぶつけるグラハムに刹那が二の次を言えず目をぱちくりさせるしかなかった。



「本当は、行かせたくないのだから・・・」



息をはあはあと荒げ、そして泣きそうな顔を彼は向けた。

そしてグラハムはずるずると、刹那の胸に抱きついた。

まるで欲しいものが手に入れられず、手足を振りかざし泣き喚いて最後に力尽きてしまった子供の最後の抵抗のような、その態度。

ああ、なんて愛しい男。

刹那は眦に水分が溜まる。


きっと刹那が生きるうちに、ここまで愛してくれるのはこの男くらいだ。

そして彼もまた、そうだろう。

死体を掻き分け、そして争いを止めるために屍を築くという矛盾に生きて、なおその先で幸せを求めるなんて、許されるわけがない。

それでも、俺は。

この、温かい腕に、そして心地よい心音に、耳を傾けたい。




「・・・帰ってきて、いいのか?」

「当たり前だ、むしろ、義務だ」

「時間がかかるかもしれない」

「我慢弱いが待ち続けるといった」

「あんたが知っている俺ではなくなるかもしれない」

「刹那は刹那だ。私が愛した刹那が帰ってくるなら構わない」




胸の中に、じわりと苦くて甘い何かが広がる。

その甘さで脳がしびれたように重くなり、眦でとどまっていた雫が、ついに許容範囲を超えた。

グラハムの金髪に、それはぽとりと落ちる。

刹那が生き残る可能性は低いというのに、無邪気なまでに待つという、この男。



「俺も、あんたも馬鹿だな」



自重するように微笑む。グラハムは答えない。しかし、胸元にじんわりと温かく湿った何かが広がっていくのを感じた。


先生として目の前に現れ、常に大人として前を進んでいた彼が、泣いている。
自分を想ってくれている。

嬉しかった。

そして、彼が信じてくれるならば、自分も答えなければならない。




「・・・帰ってくる」


胸に押し付けるように彼の頭部を掻き抱いた。



「必ず、帰ってくる。あんたが信じてくれる限り。
あんたと同じように、これを見てあんたを思い出すから・・・」



そして、震える両の掌でグラハムの両頬を挟む。

グラハムの頭が上げられる。

もういい大人だというのに、翠の瞳からは涙が溢れ、秀麗な顔は普段からは想像できないくらいにぐちゃぐちゃだった。

本当に子供のようだ。

いつもすまして、宝石のように輝かせていた瞳は濡れて歪んでいて、でも貰ったペンダントよりもずっと綺麗だった。

刹那も恐らく酷い顔だろう。

しかし無理に微笑を作り、少し大人ぶってみた。彼を心配させないようにと、精一杯に強がってみる。




「だから、そんなみっともない顔で俺を見送るな」





そして答えを聞く前に、グラハムの唇に自らのものを重ねた。





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