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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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続きです。




「私が知っている真実は以上。質問はないかね?」

「・・・いや、いい。」

「疑わないのかな?」


もしかしたら君を欺いているかもしれないよ?

窓明かりの青みを帯びた光で、ガラス玉のようによく光る瞳が刹那を試すように覗いてくる。

しかしグラハムのまじめくさった演技に、刹那はグラハムの首に腕を回しからかうように喉奥で笑った。




「あんたが嘘をつける程器用なわけがない」

「信用されているのかな?」

「それ以前の話だ。嘘をついているならあんたをとっくに刺し殺している」




そんなこと、グラハムと接していくうちに嫌でもわかった。

初潮でふらついていた俺を保健室に運んでくれた。

煎餅みたいに固いブラウニーを、心底美味しそうに食べてくれた。

ホワイトデイで、今も胸に輝くペンダントを、瞳の色だからとくれた(結果的に交換したが)

血にまみれた汚い俺を、それでも好きだと言ってくれた。

何より嘘をついていたのに、



こうして抱きしめてくれるのが、何よりの証拠だった。





「あんたは馬鹿な男だ・・・」



こんな俺を、好きだなんていうなんて。

俺のせいで怪我をしたのに、それでも愛してるだの信じてくるなんて正気の沙汰ではない。

彼の自分に対する思いが真摯なだけに、これから彼の元を去ろうとする気持ちが揺れていく。

離れたくない。

それでも、俺は離れるだろう。この世界に紛争がある限り、CBにいる限り・・・グラハム・エーカーは刹那・F・セイエイの一番になり得ないのだ。
それをわかっていながら、グラハムは真実を話してくれた。好きだと、愛しているといっていたくせに。

なんて愚かな男。

そしてなんて愛しい男。

嘘をついていてくれたほうが、よかったかもしれない。割り切って、切り捨ててただの情報源としていられたから。

こうして無条件に信じてくれて、そして愛を注いでくれた故に、罪悪感が疼いて胸が苦しい。

ぐっとグラハムの首筋に爪を立てる。

騙していてくれたら、このまま頚動脈まで爪を立てて殺して、未練もなく振り払えたのに。




「ああ、君のためならいくらでも馬鹿になれる」



眦に水分を感じ、きつく閉じていた刹那の顔をこちらに向かせ、グラハムは真摯な声を、眼差しを向ける。

そこにいつも笑みでごまかしていた余裕は、なかった。



「本当は君をこのままここに閉じ込めて、結婚して、子を儲け、平穏の中暮らしていたいくらいだ。だが君はそれで納得するか?

志半ばの絶望を味わうのは、私だけでいい。・・・君の意志の強さに私は惹かれたのだから、空虚の中で生きる君の瞳なんて、みたくない。

それに君がいつか、私の手に届かない空に言ってしまうのは初めからわかっていたから。

だが、それでも私は君を」




何回目の好きを、言おうとしたのだろうか。

しかし刹那はとっさに手を伸ばし、彼の口をふさいだ。

今は言わないで欲しい。あのテノールで囁かれたら、きっと決心が揺らいでしまう。

拒絶されたのかと、翠の瞳が哀しげに歪む。

刹那の手の中で、言葉になれなかった吐息を感じた。

そうじゃないんだ、グラハム。

これは俺のわがままなんだ。きっと好きだといわれたら、この腕から出られなくなるから。

でも、この気持ちは。

想いは通じたけど、言われてばかりでまだ言葉に出していないこの気持ちは、・・・多分グラハムと同じだ。





「好きだ」




一瞬で言い終わった三文字。

しかし口を塞がれたグラハムは、その小さな声に目を丸くした。




「あんたの俺への気持ちに多分負けないくらい・・・俺もあんたが、グラハムが好きだ」




だから、もうあんたが好きだと言わなくてもいい。

確認するように、何度も言わないでも大丈夫。

好きだと想ったのは、16年の人生でグラハムだけだから。



その想いを込め、これから戦いに行くには不要だと今まで切り捨てていた微笑を浮かべてみる。

きっとぎこちなくて、女の子らしいとは到底いえないものだろう。

その瞬間、しっかりとグラハムを抑えていた手が剥がされる。



そして両の手がぐっと、刹那の掌をしっかりと握り、ソファに押し付けられた。

その力に、刹那は驚くも無抵抗のままグラハムを見つめる。





「・・・これ以上言うと、調子に乗ってしまうよ?」



低く抑えられた声が、耳元に響きびくりと身体が跳ねてしまう。





「折角手放そうとしつこい私でも手を引こうとしたのに・・・そんな可愛い事を言われたら出来なくなってしまうではないか」


「・・・」



穏やかな笑みも、余裕も消え去り刹那を見下ろすグラハム。

その瞳には今までみせることがなかった、獣のようなむき出しな欲望が渦巻いていて、刹那は一瞬気後れしてしまった。


怖い。

ルイスやネーナと話していると、たまにこういった話になることはなかった。
だがクルジスにいた刹那にとって、そういった話は嫌悪の対象にしかならなかった。

紛争の厳しい生活の中で、限界で生きる男達は生殖本能のままに襲っているところをみかけることもあったから。

でも、グラハムになら。


この子供のように純粋に、行為を向けて愛を注いでくれたこの男になら。
彼の元を、気持ちをわかっていて去るのだからこのくらいしかあげるものがないのだ。

目をきつく閉じる。強ばって閉じていた足を、ゆっくりと緩める。




「構わない」



我ながらみっともないくらいに震えてしまい、蚊の鳴くような声だったかもしれない。


しかし静かすぎるこの部屋では十分に聞こえたらしく、グラハムは無言で片方の手を解くと、胸元に手を置く。表情は目を瞑ってしまっているせいでわからない。

何をされるか、検討はついているが自分には縁のないものと思っていたために、未知への行為が恐ろしくかたかたと僅かに足が震えてしまった。


元から外されている第一ボタンを飛ばし、第二ボタンが外される。

だが、それ以上先に進むことはなかった。



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since:20071112


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