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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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これにて学園パロは完結しました。
紛争根絶を気合で4年で終わらせたCB・・・ありえないですけどハッピーエンドにしたいので。

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AM08:49。




腕時計の液晶画面に表示されている無情な数字に口元のストローを噛んで、女性は足を速めた。スーツの上で踊るペンダントが、新緑色の輝きを放っている。




―大丈夫、自分の身体機能なら0850には校門に滑りこめるはずだ―





















AM09:00



―4years ago...―



















今日は朝から最悪だった。

何故か目覚ましがわりのハロが起動せずに全員が寝坊。

ティエリア、アレルヤは一限からとっておらず、ロックオンは主夫業なので特に関係なし。

よって、一限からきっちりとある刹那だけがこうして急がなければならないのだ。

特に、刹那は新入生として入学式があるのだ。なるべくなら間に合いたい。

せめても、とロックオンから350mlの牛乳パックを渡され、飲みながら全力疾走する。

タイトスカートのため足をあまり開けず、思ったようにスピードは出せない。

さらに刹那は履きなれないピンヒールを履いていた。カツカツとヒールが不快な音を立て、早速足の裏が痛い。

こんなもの、履くんじゃなかった。

しかし一応新入生。いつもの格好では流石に罰が悪い。

スメラギもせめてパンツタイプを貸してくれればいいものを、とストローの先を噛みながら恨んでみるが、もう遅い。



学校の校門が坂の上から見えてくる。日本経済特区にあるこの学校は、中高大が
同じ敷地にあるマンモス校である。無駄に大きいので最初は迷ってしまうぐらいだが、この学校には刹那は馴染みがあるのでもう迷わないだろう。



学校に通じるこの並木道に制服を来た生徒は殆どいない。変わりにいるのは私服の大学生か、刹那のようにあきらめて歩くスーツ姿の新入生。

諦めたのかトボトボ歩いているものが大多数である。




好都合。


腕に目をやる。

AM08:53。

大丈夫、まだ間に合う。



ラストスパートをかけるべく、パックの底にちょっぴり残っている牛乳を飲み干そうとストローを加えた、その時。






衝撃。

走って勢いのついていた躰は、目の前の人間の壁によって弾き飛ばされる。
牛乳に気をとられ、前をみていなかった。迂闊。




空のパックが飛んだ。

手提げ鞄が手から離れ、一拍置いてどさりと地に落ちた。



例に漏れず、刹那も重力の法則に従ってアスファルトに体を打ち付けるはずだった。
刹那は受身をとろうか考えたが、タイトスカートとピンヒールではまともに出来ないだろうと諦め襲い来るであろう衝撃に体をこわばらせた。



空パックが遠くで乾いた音を立て落ちた。

しかし、刹那の体はいつまでたっても予定していた衝撃にあわない。





「大丈夫かい?」




疑問に思って薄目を開くと、黒いスーツの腕が刹那の体を支えていた。

上方を見上げると、混血が進んだ今となっては珍しく、混じりけのない見事な金髪が陽光を受けてきらきらと輝きを放っていた。

曇りなき翠玉のような瞳が、こちらをじっと見据えている。しかし、口元には笑みが浮かんでいた。

白色人種の、典型的な二枚目だ。スーツは着ているがどうみてもサラリーマンには見えない。

そして首元には、血の色の石がきらりと光を放っていた。



不覚にも綺麗だと思った。

そして同時に、今まで足りないと思っていた何かが、埋められていくのがわかる。
エメラルドの硬質な輝きではない。陽光に柔らかく輝き、笑んでいるせいか細められているペンダントと同じ色でもずっと欲しかった瞳。

この4年間、ずっとペンダントを通して思い浮かべていたが、実際はもっともっと綺麗だった。




「大丈夫です」



しかし喜んでいるのは自分だけと思いたくなくて、
わざと他人行儀に呟くように言って離れようとするが、彼の手が自分の肩を掴んで離さないことに気づく。

そして、目はいまだ刹那を食い入るように見つめていた。

刹那も黙って見返している。

そういえば、初めてであったときもこんなことがあったような、と思い返しながら、言葉を返さずに彼に体重を預けていた。

言葉をかけたかった。

だが、気持ちだけが先走り、言葉は見つからなかった。

彼もまた何も話そうとしない。

ひょっとして彼が求めていた自分とはかけ離れた姿になっているのだろうか、と不安になっていく。



その態勢で30秒経過。




「・・・本当に」




ぽつりと薄い唇から言葉が漏れた。

周囲に人はいて、視線が突き刺さる。はたから見ればおかしな二人組みだろう。

だが刹那は静かにグラハムの言葉を待った。

もう視線も、風も、気にならない。





「本当に、刹那、だね?」

「当たり前だ」

「ここに、いるのだね?」




グラハムの言葉に答えるために、刹那は掌を伸ばした。

そして、彼の胸元で静かに輝くペンダントをつかんでみせる。

自分と同じ色の紅。

刹那がエメラルドを見ていたとき、彼はこのレッドベリルを見ていてくれたのだろうか。






「俺はここにいる」




あの時の俺とは変わってしまっているかもしれない。

だけど、もうこれを見なくてもいい。

ぎゅっとペンダントを握りそう微笑みかければ、グラハムもまた刹那のペンダントを握る。

そして、ここが往来であることを忘れて顔を近づけてきた。








「我慢弱い私にしては、よく待ったと思わないかね?」

「・・・そうだな」









遠くで、無常なチャイムが聞こえた。

だが、二人にはもう聞こえない。

むしろ、無骨な電子音ですら教会の鐘と思える程に堂々と、二人は唇を合わせていた。































「おかえり、刹那」



























朝の澄み渡った青空の下。

木漏れ日に祝福され、二人は日常に回帰した。


























Finish the promise


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