OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。

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完結編です。
完結編です。
よくもここまで人に見つからずこれたものだと、刹那は呆れとも簡単とも取れる
溜め息をついた。
幸い傷は思ったよりも浅く公園で大方の出血はとまり、マンションの廊下に点々
と血痕が残る、なんてことはなかったが、刹那が半ばグラハムの傷口を隠すよう
に抱きつきながら歩いていた為かなり不審であっただろう。最も酔っ払った馬鹿
ップルということでさして気にされなかったのかも知れないがそれはそれで嫌で
ある。
この光景を知っているものに見られたら…と考えるとぞっとした。
玄関に転がりこむかのように入り、電気ををつけるまもなくシャツを脱がせ消毒
液や真新しい包帯を巻き、大方の処置は終わったことで刹那はようやく一息つき
、ぺたりと座り込んだ。
ツンと鼻をつく消毒液の匂いも、この時ようやく感知することができた。無我夢
中で突き進んで来た為に、気づかなかったのだ。周囲を見回す余裕すらもなかっ
た。
グラハムの部屋は、思ったよりも物が少なく小綺麗というよりは生活感があまり
なかった。
小洒落た家具があるものの、どこか閑散としていてこれが喧しいあの男の部屋な
のか、と意外に思う。
「すまない」
「…責任を取れといったのはお前だろう」
本当に申し訳なさそうに見上げてくる男が居たたまれなくて、刹那はうつむく。
襲撃者を切り裂いた時は特に何も感じなかった手応えも、グラハムに事故とはい
え突き刺してしまった時の感触をありありと思い出させ、気分は最悪だった。震
える右手が嫌でもその時を思い出し、振り払うかのようにぎゅっと力を込めて握
り締める。
死んでしまったらどうしようと、目の前が真っ暗になりかけた。
大切な人を、また手にかけてしまうのかと恐怖で、体がぶるりと僅かに震える。
母を殺した時は、何も思わなかった。洗脳が解けた後に津波のように後悔で押し
潰されかけたけど。
グラハムの時は、これから屍の上を歩いて前に進む自分から遠ざける為に、離れ
て欲しかったから脅しただけ。それだけだったのに。
内通者だったら真っ先に殺すと言ったのに、何とも自分勝手で弱い意志だ。いざ
失うかもしれない場面になると、こんなにも取り乱してしまうなんて。
俺はこんなに弱かったのか?と自嘲するかのように口元を歪めれば、頬に温かい
ものが当たった。
グラハムの、白磁のような滑らかな掌。
それは血がこびりつき穢れた刹那の肌に触れるのもいとわず、そっと頬を包み込
んでいく。
こいつは今、生きている。
生きて熱を与えてくれている。その事実が、無性に嬉しくて。
瞼を閉じ、その普段よりは冷たい掌に擦りよった。
心から温かいものが込み上げてくる。
また、この暖かさに触れることができるなんて。
涙は溢れない。だが潮が磯に満ちるように、胸にじんわりと安堵が広がっていく
。
静かな時の中、そんな状態がしばらく続いた。
永遠に続くかと思われた静寂の中、口を開いたのはグラハムだった。
「ああでもしないと君を引き留められないと思ったから…」
心配させてすまない、とぽつりと呟いたグラハムの声はらしくなく小さかったが
、しかし迷いはないらしくきっぱりといい放つ。
「だからといって…」
予想だもしない行動だっただけに心配をかけてと腹がたち、死にたいなら別を当
たれ、と張り手でもかまそうとしたが、事実二度とグラハムの目の前に現れない
覚悟をしていたのだ。
そんなことまで見抜いていたのか?
疑問の眼差しを向けるもわかっているのか曖昧な笑みをグラハムは浮かべ、優し
く頬を撫でた。
「一先ず、シャワーを浴びたまえ。血濡れの君は見ていて心が痛い。」
話はそれからだ、そう言われて刹那は顔から制服にかけてべったりと返り血やら
グラハムの血やらがついていることを思い出した。
しかしグラハムも同じこと、と見やれば、自分は傷口がまだ完全に塞がっていな
いから、とやんわりと断られ、釈然としない思いは残るものの、べとつき不快な
匂いを一刻も早くぬぐい去りたくて、素直にバスルームに向かうことにした。
着替えは当然持ち合わせていなかった為にグラハムから渡されたブカブカのシャ
ツを羽織り、スカートばかりは仕方がないので血をざっと拭いて履く。
やっと落ちたべとつく血に安堵しずぶ濡れの髪を拭きながらリビングに戻ると、
グラハムが二人分のカップを持って待っていた。彼も着替えてざっとタオルで汚
れを拭いたのか、こざっぱりとしている。
血の気の失せていた顔は大分赤みが戻っていたので安堵していると、
「うむ、中々そそるな」
とグラハムが意味不明なことを呟いていた。
「今日は君としても不測の事態だから手は出さないが、…ストラトス君達にもそ
んなに無防備なのかい?全く過保護な割には教育がなっていない…」
「…何をぶつぶつ言っている!」
前言撤回。やはり刺したまま放置しておけばよかった。
しかしグラハムは詫びる姿勢すらみせず風呂上がりの刹那をなめ回すように見つ
めてくる。
嫌な予感に慌て胸を隠すが、もう遅い。
「…刹那、ひょっとしてノーブラ」
「言うなっ!」
胸元を覗こうとしたグラハムに思いっきり踵落としを食らわせた。
夏服の薄い生地ではブラジャーにまで血が浸透してしまっていたのだ。
流石にグラハムの家にもブラジャーはないようなので仕方なくノーブラだが、変
態を喜ばす結果になってしまい歯噛みをする。
「ぐふっ…ぱ、パンツは流石に履いて…」
「当たり前だ!!」
貧血だった為かかわせずにもろに刹那の攻撃を喰らうもちゃっかり下着まで確認
している辺り、実はこいつ、殺しても死なないのではないかと頭が痛くなってき
た。
「そんなに無防備だと、狼さんに食べられてしまうよ、例えば私とか」
「だ、黙れ!次は本当に殺るぞ」
「まあ私を傷物にした責任は次の機会にして…いや待てよ据え膳食わねば男の恥
というし」
「断固拒否する!」
そう邪険に手を振り払えば「ぐっ傷が」とわざとらしく手で胸を押さえる辺りこ
いつも相当性格が悪い気がする。
選択間違えたか、と呆れる刹那の脳裏に、「男の家に簡単に行ってはいけないよ
」とアレルヤに以前言われたことを思い出したが、全くその通りであったことに
気づかされた。
次は絶対にこいつの家には上がらない、と目の前で未だにスカートから伸びる生
足に熱い視線を送る変態の前で、刹那は強く心に誓った。
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「非晶質。」にようこそ。
ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
初めての方は「ハジメニ」を読んでください。わからずに突き進むと大変なことになります。
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管理人:流離
since:20071112
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