OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。

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ルイスが出張っています。
「最低!」
「…っ」
「なんでそんなに不器用なのよっ、刹那の馬鹿!」
何故怒られているのかわからず目を白黒させる刹那を見て、ルイスは微かにビリ
ビリと痛む掌を握った。
無愛想で、付き合い悪くて陰気で変な子というのが、最初の印象。むしろ、何故
沙慈がこんな子に構うのかと嫉妬した位だった。
だけど付き合っていくうちにわかったのは、寡黙だけどごり押しすれば渋々なが
らも付き合ってくれるし、本当は優しくて其処らの男なんかよりは余程フェミニ
ストなのだ。ただ、感情を出すのが苦手で、沙慈と同じくらい鈍感なのが問題な
だけで。
グラハム先生に追いかけられていると聞いた時は、本当に嫌そうな顔をしていた
けど、感情をごまかさずストレートに言ってくる先生になら鈍感な刹那に丁度い
いくらいだと思っていて。
ようやくくっついたと喜んでいたら、今度は喧嘩しただけで絆の証を捨てるなん
て。
育った国柄か、愛情表現に割りと率直なルイスにとって、素直に愛情を認めず疑
って、想いをこの期に及んで否定しようとする刹那は歯痒くて、苛立って仕方な
かったのだ。
あーもう、じれったい!
今も足をばたつかせて、言葉を荒げたくなるくらいだ。
「何とも思っていないなら、あんな顔をするわけないじゃない!」
ネックレスを投げ終わった時の刹那の横顔は、大切なものに蓋をして、永遠に封
印するかのような顔だった。
本当に何も思っていないなら、刹那ならば、どんな高価なものでも簡単にゴミ箱
に突っ込む位はするだろう。
それが今まで大切に身に付け、何度も捨てるのを躊躇した位のものなのだ。
それも、無表情な刹那があんなに苦しそうな顔をして、ようやく出来たことだ。
刹那にとって、グラハムの存在が思っていた以上に大きいかわかる。
「何があったかは聞かないけど…でもっ、せっかく貰ったものを捨てるなんて、
最低よ!沙慈 から貰ったもの捨てるなんて、私には出来ないもんっ…」
そう言って、指にはめられたリングをそっと撫でた。夕陽に染められて、黄金色
に輝くそれ。
かなり無理を言って、沙慈に買って貰ったものだ。自分のお小遣いで買えなくも
なかったけど、プレゼントしてもらいたくて、思わず我が儘を言ってしまったも
の。
しかし真に受けた沙慈が、バイトを限界までいれて本当にプレゼントしてくれた
のだ。それもルイスが忘れていた頃に。
どれだけ頑張って、勇気を出してくれたのかわからない。
鈍感で真に受けやすいけど、恐ろしく実直な彼の思いが、嬉しかった。
「先生は大人でお金ありそうだけど…本物のエメラルドって、凄い高いんだよ?
それを刹那に贈るってさ、…勇気いると思わない?先生だから恥ずかしがらない
と思うけど、決心はあったと思う。プレゼントってね、貰う人が思っている以上
に気持ちが籠ってるのよ
その人の為に選んで、似合うか考えて…」
グラハムだから尚更、そう言う所には拘りそうだと想像してみる。
好きな人には歳が離れていようが生徒だろうが全力で思いをぶつけるような人だ
し。
「それを捨てるなんて、…女として最っっ低よ!それも、好きな人から貰ったの
に」
びしりと指をさせば、ルイスの剣幕に完全に呑まれ、唖然としていた刹那が、我
を取り戻し何かを言いたげに口を開いた。
だが言葉は出ることがなく、刹那はまたうつむいてしまう。
言いたくても言葉が見つからないのか
それとも言えないことがあるのか。
どちらにしろそんな刹那が歯痒くて、いじらしくて。
何が何でも仲直りさせないと、と思ってしまう。
「刹那、何があったの?このルイスちゃんがどーんと聞いてあげる!」
言いたいことは全部言い切ったので怒りは収まり、なるべく明るく振る舞い刹那
の顔をじっと見つめる。
この顔に弱いことを、知っているから。刹那は意外と押しに弱い。だからこそあ
の先生とうまくいくのだろうけど。
「…信じられないんだ」
「え?」
「あいつを、信じられない…」
ようやく刹那が口を開いた時、その弱々しい声に今度はルイスが驚いた。
寡黙でぼそぼそ喋るけど、基本的に刹那の声は芯が通っている。
しかし、今回は迷っているのか、蚊の鳴くような声で、いまにも消え入りそうだ
。
「あいつが、好きだ…でも、わからない。信じられないんだ
…裏切られたら、どうすればいいか、わからない…こんなの、初めてだったから
」
いつも凛とルイスを見つめる勝ち気な石榴石は、うつむいて苦しそうに歪められ
ている。
「捨てれば、こんな煩い消えると考えた…だが、消えなかった。
もう、どうすればいいかわからない、わからないんだ…」
前髪をくしゃりとあげ、眉を潜めるのは、いつも傍観するように見てくる刹那で
はなく、ただ恋に苦しむ一人の少女だった。
うわ、本当に好きなんだ。
両想いになったと聞いてからも、刹那は中々顔には出さなかった。一方的にグラ
ハムが好いているかも、とさえ思ったこともある。
刹那は初恋の対処方法に悩んでいたのか。
喧嘩でもしたのか、素直な刹那は真に受けて、煩う位ならと思い切り過ぎた行動
を取ったのだろう。
ある意味、刹那らしい。
そう思うと、目の前の少女がとても可笑しくて、可愛らしく見えてくる。
不器用過ぎるにも程がある。
「馬鹿刹那」
そうばしんと肩を叩くと、少しだけ不機嫌そうに刹那がじとっと見つめてきた。
だが慣れているので気にしない。
「彼女の刹那が信じないで、誰が信じるのよ!」
「…」
「あの猪突猛進な先生が、嘘つくように見える?喧嘩した位で捨てちゃうなんて
、沙慈なんて死んじゃうわよ!」
ルイスだって喧嘩したことはある。信じられない時だってあった。
だけどルイスが自覚している我が儘や強引さに喧嘩することはあっても、沙慈は
隣にいてくれた。
喧嘩をしても、戻ってきてくれると信じていたから。
そんな彼に甘えているのかもしれないのだけど。
「だから、信じないと!」
そうにこっと笑いかければ、刹那は何か言いたげに口を開いたが、後ろからかか
った声に中断させられた。
「見つけたよ!」
ずぶ濡れになった沙慈が、ふらふらと上がってきた。
手には夕陽に濡れて輝くエメラルドのペンダント。
「ほら、手遅れにならなくてよかったじゃない!」
よくやった沙慈!と恋人を誉めると、沙慈ははにかんで、刹那に向かってネック
レスをつきだした。
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「非晶質。」にようこそ。
ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
初めての方は「ハジメニ」を読んでください。わからずに突き進むと大変なことになります。
にょただらけなので苦手な方はご遠慮ください。
感想、誤字脱字、その他管理人に突っ込みたい方は最下部のメルフォからか、↓の☆を@に変えてお願いします。
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管理人:流離
since:20071112
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