OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。

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学パロ続きです。
足取りが、異様に重かった。
太陽は傾き、日光は眩いばかりの白さから半熟卵の黄身のような、とろりとした
やわらかい光になっていた。
しかし熱さを失い穏やかで柔らかな光に照らされる刹那の顔は、何時ものような
凛とした表情はなく、感情が入り交じりどこか呆然としたものだった。
念のために学校に確認するためグラハムの元に行くも、昨日も今日も、彼は来て
いなかった。
丁度、刹那逹マイスターにあの指令が入った日からだ。
どうやらカタギリと共に他校との交流の為に交換授業に行っていると言われたが
、すぐに嘘だとわかった。
担任を持つ人間がそんな簡単に受け持つクラスを放り出して交換授業等にいくわ
けがない。
グラハムのクラスに潜入しているフェルトも前日までそんなことは言っていなか
ったと証言したのだから、急に決まったこと…いや、急にその口実を使わなけれ
ばならなかったということだろう。
「きなくせぇな」
報告された出来事をまとめた書類を見て、ロックオンは顔をしかめた。
「しかも消えた二人、グラハム・エーカーとビリー・カタギリは元ユニオンで第
二世代滷獲に関わってたんだろ?だったら機密も知ってるに決まってる」
怪しいのはどう考えてもこいつらじゃねぇかとロックオンはいい放ち、ティエリ
アがうなずいた。
かつての刹那なら躊躇いなく同意したのだろう。
しかし今は、ただ俯くことしか出来なかった。
「でも何で今になって情報漏らすのかな?軍を止めた時からさっさと情報を売り
渡せばいいのに」
「ユニオンの監視が厳しかったのではないのか?滷獲されたのは2年前…近年よう
やく監視が緩んだのかもしれない」
金や地位と引き換えに、あいつも所詮俗物だったということだと切り捨てるよう
に言うティエリアの言葉に、刹那はふと疑問を抱いた。
ガンダムという圧倒的な技術を用いられた機体を、性能では遥かに劣るMSで滷獲
した男を、ユニオンは何故高官に祭り上げなかったのか。
それが原因で体を壊してパイロットを辞めるにしても、そういう男を英雄に奉ら
ないのはおかしい。何も一介の教師にならなくとも、教官から指揮官まで幅広い
職種が用意されているはずだ。
そもそも何故、ユニオンはガンダムを所蔵していることを告げていなかったのか
。
厳重なセキュリティがかかっているとはいえ、ユニオンとて無能ではないから少
し位なら解析ができているはずだ。
そしてそれが、三国の辛うじて釣り合ってい
たパワーバランスを、一瞬にして崩すようなくらいの戦力を持つことくらい。
ならば最初からそう言い、脅すなり解析出来た部分までの技術を高額で売り渡す
なりすればよかったのだ。
不可解だ。
グラハムを贔屓目に見ていなくても、何かがおかしい。
ユニオンは…グラハム逹は、何を隠している?
「刹那・F・セイエイ、話を聞いているか」
思考の淵に入り込もうとした刹那の顔を、じっと麗質な顔が覗きこんでいた。
はっと顔をあげればレンズ越しでも紅の瞳は鋭く冷ややかに輝いており、内心を
見透かされているようで居心地悪く、思わず刹那は視線をそらした。
「問題ない」
「…あの男のことを考えていたのか」
動揺しないようにと、極力落ち着いていたはずだ。しかし声は、刹那でも制御で
きず僅かに掠れている。
「関係ない」
しかしティエリアの追求の視線からは逃れられず、彼のすっと通った眦がきっと
上がる。
「任務に私情を挟むな」
「…っ」
そんなつもりはない。
だがそう言おうとしても声がでず、ますますそれに気を悪くしたのかティエリア
が睨み付けてくる。
「君はあの男に近づきすぎた…彼を篭落させる立場が、逆に篭落されてはどうす
る」
「ティエリアっ!」
「やはり君には対人任務は向かない、君はまだ精神が単純すぎる。あの男の口車
に乗せられたんだ」
一番言われたくなかった言葉が、刹那の中で唯一弱く柔らかかった部分に刺さっ
ていく。
篭落。
そうだ、俺はあいつを騙すためにここにいたのだ。
なのにあの男の見せかけの誠意に騙された。愛してると囁きながら、何一つ、あ
いつは自分の手札を見せなかったのだ。
刹那の未発達な感情を利用して。
「君はガンダムマイスターに相応しくない…敵に感情移入をするな」
「そんな、こと」
目の前がぐらぐらと揺れる。
初めて感じた感情に惑わされ、このままでは与えられた任務すら全う出来なくな
る…
紛争根絶という大義を掲げ、その為にも第二世代の後始末をしておかないといけ
ないのに。
まだスタート地点にも立っていないというのに、私情に振り回されるなんて…
己の甘さと弱さを突きつけられ、愕然とした。
俺は、こんなにも弱かったのか…?
「ティエリア、もうやめろ」
黙りこくった刹那へまだ何か言いたげに詰め寄るティエリアの肩を、ロックオン
がそっと掴んだ。
「誰だって失敗するし、刹那だって人間なんだ、感情はあるし情はうつるさ。…
それがあの金髪に、ていうのは腹がたつけど。」
優しい、刹那をかばうような声色だった。
だが瞳はそれと裏腹に笑っておらず、底にはいつも温和な彼からは想像つかない
ような暗く冷たい青色が広がっていた。
だけどな、と言葉を続け、刹那はぴくりと肩をすくませた。
「…あいつは少なくとも、今は限りなく黒に近い。そしてどっちにしろグラハム
・エーカーはあんななりして第二世代を滷獲したんだ。つまり、元敵だ。
それに、あいつのせいでお前も狙われたんだろ?あいつをかばえば、ユニオンま
で敵にまわす。お前がやられるなんて思っちゃいねぇが、なるべくCBが正式に立
ち上がるまで波風は立てたくない。」
そこの所、ちゃんとわかっておけよとロックオンは締め、ぽんっと頭に手を置い
た。
それはいつもティエリアと喧嘩した時や宥める度にやられる、優しい行為のはず
だったが、刹那にとってはその手が何よりも痛く、重く感じた。
アレルヤが気遣わしげに此方を見つめてくる。
しかしアレルヤも内心はティエリアやロックオンと同意見なのだろう。
わかっている、これが正論であると。
しかし、まだ胸の奥ですがるようにくすぶる気持ちは、消せなくて。
「…わかっている!」
思わずロックオンの手を振り払い、刹那は背を向けた。
ロックオンの声が聞こえたが、気にせず靴を履き、いつの間にか外に飛び出して
いた。
そして、あてどなく道を歩き、今に至る。
ふらふらと混乱した頭で歩いていれば、さっきから鎖骨にこんこんと当たるもの
に気づいた。
取り出して見れば、それは彼と同じ翠を内包する石で。
柔らかい光に照らされるそれに、堪えきれない思いと、好いてはいけなかったと
いう後悔に近い悲しみと、騙され、弄ばれていたという怒りがごちゃ混ぜになっ
た。
迷いは、任務の妨げとなる。
気づけばほぼ衝動のままむしりとるようにネックレスをちぎり、ぐっと爪が刺さ
るほどに拳を握る。
そして、せらせらと流れ、夕陽を反射する小さな川に、それを投げ捨てようと右手
を思い切り振り上げた。
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「非晶質。」にようこそ。
ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
初めての方は「ハジメニ」を読んでください。わからずに突き進むと大変なことになります。
にょただらけなので苦手な方はご遠慮ください。
感想、誤字脱字、その他管理人に突っ込みたい方は最下部のメルフォからか、↓の☆を@に変えてお願いします。
ham_otomeza_12g☆yahoo.co.jp
管理人:流離
since:20071112
更新停止中。twitterで色々妄想してます。
サイト FE覚醒ブログ(NL中心)
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