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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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続きです。



何故、お前たちがそこまでする?

赤の他人なのに。

つき出され、ネックレスが風に揺れてキラキラと雫と輝きを溢していく。

ずぶ濡れになっても笑う沙慈と、何故か得意げに笑うルイス。

胸に、何かが突き刺さった。

痛いけど、熱いものがその先からこぼれ、がちがちに凍った心を溶かしていく。
少しずつ。少しずつ。


「ほれ、沙慈がせっかくとってきたんだから、受け取って!」

「だが」

「グラハム先生の想いが、籠ってるんでしょ?」



沙慈がゆっくりだが、ずいとより近くにそれをつきだした。

彼と同じ翠。

血に濡れたような自分の赤い瞳のような石よりも、新緑のような柔らかい翠がい
いと交換したそれ。

彼の胸には、今も自分の赤が輝いているのだろうか。思いを込めた、赤が。

これを受けとれば、自分はガンダムマイスターになるものとしては、失格なのか
も知れない。

私情を挟み、任務を失敗させるかもしれないから。

しかし、それでも。

切り捨てたはずの自分の弱い心が、暖かい部分が叫んでいた。




信じたいと。








震える指先を伸ばせば、沙慈はそっとそれを置いてくれた。

持つべきものの元に戻り、静謐な輝きを放っていたそれが、一瞬強く輝いた…気
がする。


「もう捨てちゃ駄目だよ」

そう苦笑する沙慈に僅かに頬を染め、カクンと頷き濡れたままのそれを首に回す



「うん、似合う似合う」


ルイスが笑った。心からの、大輪の花のような笑みが、同じ女として羨ましい。

彼を信じ、もし機密を漏洩していなければ。

自分もこんな笑みを、グラハムに向けられるのだろうか。



あともう少しだけ、見極めよう。

このネックレスに誓って。







「でも、やっぱり私も欲しいなーあんな宝石」

「ルイス、僕を破産させる気…?」

「いいじゃない私が好きなら買ってー!!」

「沙慈、ルイス」




日がくれ始めている。

早く確かめないと。

一刻も、早く。


再び痴話喧嘩を始めた二人に背を向ける前にそう呼び止め、二人がぴたりと口を
閉ざした時に僅かに顔の筋肉を動かして。




「有り難う」




そう言うと、逸る気持ちに耐えきれず、ぽかんとしている二人の顔を見ずに背を
向けて。

夕闇の紫が空を染め、ポツリポツリとダイヤモンドが一粒ずつ落とされるような
夜の中を走り出す。

以前聞いた、彼の家に向かって。

胸の上を、早く早くとせかすかのように、ペンダントが跳ねていた。



「刹那、笑えるんだ…」

脱兎の如く夕闇の中に消えた刹那を、ぽかんと二人は見つめていた。
かなりぎこちなかったが、刹那は笑みを見せた。今まで鉄仮面のような表情しか
浮かべなかった刹那が、だ。


「愛って偉大って奴?」

「…そうなのかな?」


グラハムの前では、笑顔を見せているのか。

少しだけ疑問に思い想像したが、思いつかず、何を勘違いしたのかむすっとした
ルイスに耳を引っ張られた。



「それよりもほら、カフェ行こ!雑誌に載ってたの!」

「えーもう遅いよ、また明日に」
「行くの!

ぐっと手を引っ張られ、街へと歩き出すルイスに家は大丈夫なのかと心配するが
、これ以上彼女の機嫌を損ねると後々大変である。


仕方なく彼女についていくと、もう機嫌をよくしたのかルイスは鼻歌まで歌いだ
した。


「仲直りするといいね!」

「うん」




不器用な少女の恋が叶えばいいと、二人手を繋いで幸せな時間を過ごしながら、
沙慈は心から思った。












PM7:12






なるべく次の指令が入る前に、グラハムと会っておきたい。

ロックオン達に知られたら、また叱られて私情を挟むなといわれるだろうから。
スメラギもそんな刹那を予想して学校潜入の任から降ろすかもしれない。

もう何の手段を使っても構わなかった。直接彼を問いただし、ガンダムのことを
何処まで知り、単刀直入に機密を他国に売り渡すなんて真似をしていないかを聞
き出すに他はない。


しかしもし彼が、裏切り者だったとしたら。

足と腰に隠されたダガーの重みを感じ、刹那はきっと前を見据え覚悟を決める。



―その時は、自分の手で彼を。

他の人間にはやらせやしない。

それが信じることを決めた刹那の責任だ。もし彼が裏切り者であったら、情はあ
ろうと切り捨てなければならない。そうでなければCBは活動前に打撃を受ける。
扮装根絶という大義をなせなくなるのだ。

それが刹那の、けじめであった。





夜の帳が急速に街を覆っていく。

端末を見ながら、彼の住所に向かって刹那は走り続けていた。

人とぶつかっても気にせず、マンションに向かって。

きらびやかな色とりどりのイルミネーションで埋め尽くされている繁華街を抜け
、帰宅途中のサラリーマンや学生がまばらに歩く閑静な住宅街に入る。
もうそろそろ彼のマンションか、と思い、ふと立ち止まった。

緑化運動で作られたのか、マンション手前の大きな公園が目の前に広がっている


昼間は親子連れでにぎわうだろうそこも、今は黒々とした木々が立ち並び、街灯
も少なく当然人が好んでくるようには思えない。


気のせいか、僅かに殺気を感じた。

何故か気になって、気配を殺し公園の中に足を踏み込んでいく。

大木に隠れながら少しずつ進んでいくと、微かにだが話し声が聞こえた。

見知らぬ男と、何処かで聞いたことがある甘いテノール。

静かながらも、言い争いをしているように聞こえた。




(…グラハム?)


木々の隙間から覗きこめば、仄かに青みがかった街灯に金色が輝き、刹那が探し
求めていた人物がそこにいた。


やはり交換授業など、嘘だったのか。

息を殺して、彼等に近づいていく。

一方的に話しかけてくる黒づくめの男と対象的に、グラハムは普段浮かべている
はずの笑みを消し、目の前の男を見たこともないような絶対零度の視線でみつめ
ている。嫌悪感と、呆れを要り混ぜた表情だ。





「…だから何も知らないと言っている。私はガンダムを滷獲し、軍に全面的に任
せただけの男だ。今さら君達に教えられる情報などない」

「嘘をつくな、元エースパイロット。貴方はあのカタギリ技術顧問やエイフマン
教授と近しかったのだろう?彼等から話しは聞いていたはずだ」

「ガンダムのセキュリティは現状では解析しようがないものだった…教授もそう
報告書を出している。教授がわからないものを私が知るよしもない」

眉を潜め男を見下すグラハムの声は、ゾッとするほど冷たく、これ以上話すこと
はないと暗に言っているようだった。


「話は終わりかい?失礼する」

君達がうるさいせいでろくに寝れやしないと皮肉をいい放ち、背を向けようとするグラ
ハムに、それでも男は食い下がった。




「…理由あって解析出来ていたはずの情報を提出拒否したから、三人そろって軍を辞めたのだろう?グラハム・エーカー元中尉」



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