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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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二人の想い。






鉄分の香り。


浴びる血潮は、熱かった。











少しだけざわついていた公園は、数分も立たないうちに静かになった。
そういえば制服のままだった。

また一着駄目にしてしまった、とどうでもいいことを考えながら赤く染まった制
服の裾を掴む。

血糊でぎらつくナイフ。

的確に急所を切り裂き、最初の男は引き金を引く前に殺した。

第三者の介入に動揺した男達を蹴散らし、致命傷を与え、気づけば刹那は血溜ま
りの真ん中にいた。柄を握る手からは止めどなく液体が流れ、仄かに感じる温か
さの名残に自分が彼等の命を絶ったことに気付かされる。

血濡れたままの手で端末を操作し、エージェントに居場所と簡単な報告をする。
これで数分もしたら、優秀なエージェントが訪れ刹那の痕跡も物言わぬ肉塊とな
った彼等も血痕一つ残さず消してくれるだろう。

泥がこびりつき、さらに血で赤く染まった名刺を拾い上げれば、AEUらしき軍関係
者の名前が書いてあった。


これでユニオンだけでなくAEUにも恨みをかったか。

ため息をつくが、そのうち三世代としてガンダムを駆り大々的に宣戦布告するの
だから気にしないことにしておく。

不用意にガンダムに近づけばこうなる、と今から刻みこんでおけばいい。

最も勝手な行動だと、厳重処分に処せられるかもしれないが。


布を取りだし軽く血糊を振り払う。顔から汗と赤いものが滴り落ちる。
そしてようやく、立ち尽くすグラハムの様子に気づいた。




綺麗な翠玉に映る自分の姿は、一体どれだけ醜く血濡れているのだろう。
構わない。

元々成就せぬ思いだったのだ。

CBとして世界に楔を打ち込む者が、元ユニオンの男と結ばれてはならない。

そもそも刹那・F・セイエイは、ガンダムマイスターになるために生きることをよ
うやく許された存在なのだから。








「グラハム・エーカー」



どう思われても構わない。

彼につかつかと近づいていく。ナイフを握ったままで、それは手元で獲物を狙っ
てぎらついた光を放っている。

殺すつもり等、毛頭ない。勿論傷つける気も。

しかし、彼の心を突き放すには、これくらいが丁度いいだろう。

立ち尽くすグラハムの前に立つ。

ペンダントと同じ翠の瞳を、ここ数日見れなくて。どれだけこの色に思いを馳せ
たことだろうか。

見納めかもしれない大好きな色を、目に焼き付けておこう。





「あんたは、内通者なんかじゃなかったんだな…」




そっと自らの胸に手をあて、ペンダントを取り出す。


そこも盛大に血飛沫を浴びて所々赤くなり、折角綺麗な色なのに穢れてしまった
、と少し眉を潜めた。




「刹那、君は」


僅かに掠れ、しかし思った以上に落ち着いた彼の声に安堵している自分がいた。
自分はもう、正体を知られた以上は傍にいれないというのに。


「わかっただろう、」



ナイフの切っ先をすっと向ける。害意はないのだけど、十分なおどしにはなるだ
ろう。

顔からは血が滴り、雫となり首筋を滑り、制服を赤く染めた。



「これが俺の生きる世界だ」


あんたが好きだと言った目も、所詮血が染み付いた色なんだ。

グラハムの胸元で静に輝く赤い石。エメラルドど同じ組成式で出来ているそれは
、色こそは燃えるような赤でも輝きの奥には安らぎと静けさがただよっている。
ナイフの先でちょん、とペンダントに触れ、こつんと感じた確かな感触にそっと
目を伏せる。


こんな綺麗なものではない。






「今後ガンダムのことを口外しなれば、その時は即座に俺が、俺達が動く」

「…」

「命が惜しければ今後一切関わるな」




ぐっと力をいれ、あと少し押せば肌が裂けるだろうところまでナイフを突きつけ
る。

容易く命を絶てるという本気の意思。

しかし怯むことなくグラハムは刹那を見据えていた。

流石元ユニオンパイロットだ、と刹那は感嘆に目を細めた。みっともなく命請い
をするとは到底思えなかったけど。




「…断る」



だが予想に反して細められていた翠の瞳が、いつの間にか動いていた。





「!?」


熱いものが右手に降り注ぐ。

左手は、大きな掌に掴まれ血流が止まるかと思った。

「グラハムっ?!」

ナイフの先からは赤いものがとめどなく滴り落ちていた。

グラハムが前屈みに動いたことにより、刹那の持っていたナイフが突き刺さった
のだ。

スーツ越しでも血が滲み出しているのがわかり、薄く笑みを作ってはいるが彼の
眉は痛みに潜められて、汗まで落ちている。




「何をしているんだ!」


慌てて右手を引けばずりゅっと生々しい音を立て、ダガーナイフは抜けた。

幸い数cmしか刺さっていなかった為に傷は深くはないようだが、それでも殺傷す
るための道具だ。

どくどくととめどなく血は溢れ、シャツを、制服を、ペンダントを濡らしていく





「何をして考えているんだあんたは!」

右手で懸命に止血点を圧迫しつつ端末を開き救急車を呼ぼうとするが、グラハムの手によ
って阻まれた。




「…問題は、ない、家、が近いから、そこ、で手当てすれば…」


「問題ないはずがない!この出血ではっ」


「死に、やしない、さ。それに、病院に、もあ、まりお世話、になりたく、ない
もので、ね…」


普段と同じ人を食ったような笑みを浮かべようとしているのだろうか、しかし痛みのためかひきつった表情しか浮かべられず、脂汗がこちらにまで滴り落ちてくる。




「そんなことを言っている場合じゃない!馬鹿かあんたは!」


「・・・ほら、傷つける気なんて、さらさらなかったじゃないか・・・」

傷物にした責任は、とってくれるだろう?そう痛みに震えながらもウインクをし、腕を引こうと力をこめるグラハムの手に、刹那ははっとした。

こいつは最初から俺の魂胆を見破っていたというのか。


「私の、家は・・・すぐ、近くだ。なるべくなら、君の仲間にも病院にも、お世話に、はなりたくない・・・」


では、責任をとれとはどういうことなのだろうか。

理解できずに彼の顔を覗きこむと、貧血のためか蒼白になってはいるが、翠の瞳は相変わらず輝いている彼の視線とかち合って。



何か、話したいことでもあるのだろうか。それも刹那だけに。


噴出す血をそのままに刹那の腕を引いて歩き出そうとする彼に、刹那は舌打ち一つして彼のスーツを脱がすと、適当に引き裂いて簡単な止血帯を作った。

そして簡単ながらもしばらくはもつように処置を施し、ふらふらと歩き出そうとする彼の左手を引き、バランスを崩したところで手を回し、肩を担いだ。
見た目以上に筋肉質なのか、意外とずっしりと重くのしかかる彼の体重によろけないように気をつけながら進みだす。




「住所は・・・」

「知っている。お前がしつこく送りつけてきただろうが」



追われている立場の人間がすることか?と呆れたように睨み付ければ、「刹那のためなら、死んでも構わないからね」と弱弱しく笑ってみせる彼がいて。
いつもの冗談だ、と思ったが、背中から伝わる彼の血液と匂いを感じ、あながち嘘ではないかもしれない、と思った。


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