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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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ハム先生が恥ずかしすぎます、先生!
そして次からシリアス?




「刹那」


優しく呼ばないでくれ。その偽名は闘いの道に生きる証なのだから。


「・・・グラハム、帰らないと」
「わかった、本当は試験のときと同じテーマを課題に出そうと思ったのだが・・・テーマ変更だ。」


困惑したように刹那はきつく抱きしめられていると、グラハムはそっと刹那の首元に手を伸ばした。そして胸元からネックレスを引っ張り出す。
「・・・っ?」
「ああやっぱりつけていてくれていたんだね、嬉しいよ」
そう微かに微笑むと、突然のことに身動きを取れなかった刹那の体をこちらに向け、そっとペンダントに口付けを落とした。



「補習課題テーマ、私との思い出」
「・・・えっ?」


目を見開いた刹那ににっこりと微笑みかけると、グラハムは刹那の頬に手を伸ばし、そっとなで上げた。


「過去に何があったかは人それぞれだから聞かない。その代わり原稿用紙一杯に、私との想い出を書くこと。枚数は問わない。」


ちなみに私なら一冊の本にしても足りなくらい君への愛をつづれるよ、と本気で言ってくるグラハムに刹那は最初目を白黒させていたが、思わずふっと笑みを漏らしてしまった。

「・・・バカか、あんたは」
「心外だな!ちなみに可愛い君とはいえ私も教師だ、提出しなければ単位は落としてしまうよ」
「え」
「・・・私は嘘を言う男ではないよ、刹那」
さあ、存分に愛をつづりたまえやらシャイな君でも文章にすれば正直に愛を言えるだろう、とか聞いていて恥ずかしいことを平然と言う男に、刹那は呆れ、しかしどこか安堵したような表情を浮かべた。


「・・・いいのか?」
「?」
「あんたは本当に俺なんかで、いいのか?」


傷跡がチリチリと痛んで、語尾が若干揺れる。過去を隠す不審な生徒でも、グラハムは許してくれるのだろうか?
グラハムはそのまま手を上にやって刹那の少し汗で湿った髪を掻き揚げると、そこに自分の額を押し付けて無邪気な子供のように言い放った。


「当然だろう」


ああ、馬鹿な男。
視線が間近で交錯する。今刹那の胸元で輝いている宝石と同じくらい、いやそれ以上に綺麗な若葉色に吸い込まれそうになる。
お互いにまだ何も知らない。だけど、この無邪気な瞳に胸の中で渦巻いていた不安定な気持ちは、うずいていた傷跡はゆっくりと波のように収まっていた。勿論罪悪感はわだかまり続けているのだけれど。


「好きだよ、刹那」


何度言われた言葉だろうか。かつての自分だったら絶対信じない言葉を嬉しいと思う自分がどこか滑稽で、それでもやはり嬉しくて。


下校鈴が校内に大きく響いた。

日も沈み薄暗くなった部屋の中、どちらともつかず二人の影は重なり合った。
マフィンが少しついた、少々甘ったるすぎる口付けだったけど。不思議と、校内でやっているという恥ずかしさはなくなっていた。











車で送る、というグラハムの言葉を刹那は断り、すっかり暗くなった通学路を刹那は急いだ。
送っている所を見られたらそれこそロックオンとティエリアが口煩く追及してくるのは目に見えてわかる。でも夜道に一人は心配だ、と言われたが元々刹那は並の男よりは遥かに強い。それよりも真相がわかるまで問い詰めてくるロックオン達の方が厄介だ。食事中や風呂に入っている時まで聞かれた時は流石にキレてハロを投げつけたが。


しかしよくあんな恥ずかしい台詞をまともに言えたものだ。
思い出すだけで刹那は顔に熱がのぼっていくのがわかる。

思い出、か。

確かにインパクトだけは無駄にある。初めて出逢った時から好きと自覚するまでそんなに月日がたっていないはずなのに、グラハムに関する思い出は沢山あった。

ふと胸元のペンダントを取り出してみる。先程彼が口づけをしてくれた、所謂思い出の品というものだ。
今まで刹那の本に残っていた記憶の痕は、傷痕しかなかったのに。


今手元には、こんな綺麗なものが残っている。いつでもグラハムの瞳を思い出せるような、鮮やかな新緑を結晶化したような色。
そして彼の胸元にもまた、刹那の瞳に似たレッドエメラルドが輝いている。

街灯の仄かなオレンジ色の光に照らされたそれを、グラハムの熱を思い出したくて彼がしたようにそっと自らの口元に持っていこうとした。その時。



「刹那!」


聞き覚えのある声に思わず肩を震わせた。その隙にペンダントを手から離してしまい、するりと胸元に再び落ちた。鎖骨にこんと当たったがあわてていたので気にしない。


「ロックオン?」


珍しく切迫した顔でロックオンが駆け寄ってきた。ただ帰りが遅いのを心配している、という風には見えない。


「こんな遅くまでどうした!」


そう言われるなり手首を捕まれ、ロックオンはつかつかと歩き出した。常に明るく飄々としている表情が陰って見えるのは外が暗いだけというせいではないだろう。


「ろ、ロックオン?」
「いいから早く帰るんだ!」


緊迫した整った横顔は、どこか鬼気迫るものがあった。
ロックオンがここまで強引なことは滅多に無い。余程のことがあったんどあろう。


「…すまない、補習があって」
「お前端末みてないのか?」
「あ、ああ・・・」
今日は答案返しと補習とで端末の電源を切っておいた為、任務用の情報を見ていなかったのだ。もっとも最近は個別での諜報活動が多かったためあまり使用をしなかったのだが。
迂闊だった。
鞄を勢いよく開け、急いで確認すれば緊急暗号通信が届いていて。



「え・・・?」


鞄を取り落とし、教科書とペンケースが勢い良くぶちまけられる。
だが拾おうともせず、刹那は画面を食い入るように見つめた。








『太陽炉Sランククラスノ秘密ヲ人革連二売リ渡ソウトスルモノガイル、捜索シ、速ヤカニ処分セヨ』






そして恐らくユニオンにとっても裏切り者となる存在は・・・刹那の潜入している学園にいる可能性が高いと、黒いモニターに浩々と表示されていた。



まさか。



アスファルトに黒い染みが、ぽつりぽつりと少しずつ広がり、やがて地面全体を染めていった。
刹那はロックオンに手を引かれ、突然の雷雨の中をただ呆然と進む。
シャワーのような雨に制服がぴっちりとまとわりつき、拘束着のようになって刹那の体を重く締め付けているかのようだった。
折角思いが通じたのに。ようやく素直に彼の愛を得られるようになったのに。
グラハムの笑顔と、モニターの無機質な表示が、刹那の小さな胸をぐらぐらと揺さぶった。
ずっと続くと思った、小さな日常。
あまりにもあっさりと崩れ去るそれに、刹那は身体も心も、雨に濡れるうちに再びかつてのように冷え切っていった。





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