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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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補修編続き。なんかかんだで馬鹿ップル。



「ではそろそろお仕舞いにしようか」


太陽が傾き、室内が青っぽくなってきた頃グラハムは唐突にペンを置いた。時計を見れば随分と時間がたっていて、ペナルティという名のセクハラを受けぬよう随分と集中していたことに気づかされる。の模擬戦並の集中力を要した気がする。
ふぅっと脱力して椅子にもたれ掛かると、グラハムがご褒美、と冷蔵庫からチョコレートマフィン(カタギリが持ち込んだらしい)を取り出してきてくれた。


「ということで今から愛の語らいタイムに」「帰る」


マフィンを頬張りながら荷物を片付けを始めると、「つれないなぁ」と苦笑しながらグラハムは椅子に戻り、刹那の顔をまじまじと見つめた。


「私に何か話したいことがあるんじゃないかい?」
「え?」


先程ぼんやりしていただろう?そう微笑む男に刹那はドキンとした。
彼の異常な勘の良さには毎回舌を巻く。だがもしかしたらガンダムに関わる有益な情報を聞き出せるチャンスかも知れない。特に躊躇いはなく、刹那は率直に口を開いた。


「あんたみたいな奴が何故教師をやっているのか、と疑問に思ってた退役軍人で士官だったのならもっとよい就職先があっただろうに」


子供が好きそうな顔でもないしな、と付け足すと「失礼な」と頬を膨らましてきた。20代の男にやられても可愛くもなんともない。


「未来を担う子供を導くなんて、素晴らしい職業じゃないか」
「あんたが言うと嘘くさい」
「ばれてしまったか」


というか君は私のことを何だと思っているのかね?と不貞腐れる男に何処か違和感を感じた。

話題を逸らそうとしている?いつもは率直に意見をぶつけてくる男が。


「で?」


何かあるかも知れないと直感が告げる。そう思い視線を鋭くグラハムに向ければ、案の定一瞬視線をさ迷わせた。

何か知られたくないことがあるのか。怪しむように視線を逸らさず見つめると、グラハムは観念したかのように溜め息をつき、ここからは見えない空を仰いだ。



「偉大な功績を上げた人間が、必ずしも英雄になれるとは限らないのだよ」
「?」

「私は知りすぎてしまった、ということさ」



何時もは太陽のような輝きをもつ若葉色の瞳が、一瞬哀惜とも取れる憂いを帯びたものになっていた。名残惜しげで、何処か怒りを感じて、尚且つ諦念に近い色に、刹那はどくりと鼓動が早まる。

知りすぎた?

何を…まさか、ガンダム?しかしセキュリティが解除されたとは聞いていないから内部はまだ手付かずのはずだ。
追及しようと口を開きかけるが、突如グラハムに人差し指を口元に立てられた。


「おっと、これ以上は勘弁してほしいな」


私も青かったということさ、そう悪戯っぽく微笑まれ、刹那は唐突のことにグラハムの白い指を見つめ言葉を失ってしまう。
この先に、何か大きな秘密が隠されているかもしれない。
だが無理にこのまま問い詰めても今度はそこまで聞こうとする刹那が逆に怪しまれてしまうだろう。仕方なく引き下がり、手持ちぶさたなので余りのマフィンにかじりつく。


「じゃあ今度は私から質問だが…」


野生のリスのようにマフィンを頬張っている刹那を愛しげに見つめつつ、グラハムは口をゆっくりと開いた。



「なんで答案用紙を白紙で出したのかい?」



刹那の口からポロリと欠片が落ちた。それを掬って自らの口元に運び、問いを続ける。


「私が見る限り君は文章構成が単純すぎるのと単語が少なすぎる位で普通に書けば赤点なんてとりそうもないのだが…」


テーマは家族なんてありきたりなものならば尚更だろう?と刹那の真っ白な解答を見て首を傾げる。
こいつの勘はやはりおかしい。
「別に」とそっけなく返しても良かったが、先程グラハムに質問した手前答えないのは公平ではないし、かといって家族は自分が殺したなんて言えるはずもない。ここでは刹那は一介の学生なのだ。もっとも常人ならば信じてくれないとは思うけど。

それに、こいつにだけは自分の過去を知られたくなかった。
浅はかにも盲目的にいもしない神を信じ、「神の為に」と家族を含む数多の人間をこの手にかけ、硝煙の匂いを常に纏い全身を血で染めていた醜い過去を、知られたくなかった。
こんなにみずぼらしい子供を初めて大人の女として扱ってくれた存在に。いつの間にか刹那にとってグラハムは大きな存在になっていた。

知られたくない。

マイスター候補としてでもなく、元少年兵でもない刹那・F・セイエイとして見てほしいから。

無意識にかつて全身についた傷痕がざわめくかのように疼いた。
暴いてしまえ、お前は世界に喧嘩を売る地塗られた子供だ。
恋愛感情なんて任務の妨げになるから自ら切り捨ててきたじゃないか。今更恋なんてしていい気なものだ。女を切り捨てて闘ってきたお前が…
もう治り痕だけが残った箇所が、あの時のことを思い出させるかのようにチリチリと熱を持った。


「…っ」


言えるはずがない。
唇を少し噛み、必死でこの場をやり過ごせる嘘を考える。

だがじっと見つめてくる翠の瞳に、なにもかも見透かされていそうで、怖い。
胸に隠しているペンダントがやけに冷たく、重く感じて思わず服越しにぎゅっと掴んだ。

ふと、ふわりと暖かいものが肩に回る。


「…すまない、そんな顔をさせるつもりはなかった」


机越しに抱きすくめられ、柔らかい紅茶の匂いがふわりと鼻腔をくすぐった。


「家庭の事情は人様々なのに、デリカシーがなかった。すまない」


本当に申し訳なさそうな顔が頭上から降ってくる。すこし屈んだ為グラハムの胸元から刹那のペンダントと同じデザインのネックレスが輝いた。
自分の瞳によく似ていると言ってくれた、綺麗な赤い石がカット面によって多彩に輝く。グラハム曰く、色は対称的でも成分上はエメラルドに変わらないという石。
ああ、この男は暖かいのだ。ロックオンやアレルヤは慈しんでくれるが、こちらは仲間のような、家族のような優しさなのだろう。だが、グラハムは違う。一人の、ただの『刹那』として。
その暖かさと優しさが、真実を告げれば、逆に失ってしまうのではないかと恐れてしまうのだが。

俺は、こいつを利用しているのだ。
情報目当てで近づいているというのに。


「すまない」


抱きすくめてくれたグラハムにそっと手を置き、体を離そうとする。気遣わしげな翠の瞳が刹那を覗き込んできた。
なんであんたがそんな情けない顔をするんだ。いつも人を振り回すだけ振り回して、いつも自信満々に笑っているのがあんただろう。


「すまない・・・」


いたたまれなくなって視線を逸らした。
普段は逃げるだけ逃げて、都合が良いときに彼の優しさにすがろうとする自分が、愚かなで弱い存在に思えて。
ごめんなさい。

口の中でそっとそう呟いた。あんたは俺にいろんなものをくれた。だけど俺は、あんたに返すものはないどころか利用して情報のために擦り寄ろうとしている。汚い人間だ。あんたに優しくしてもらう権利なんてない。


何処に行っても闘って奪うことしか出来ないのが、刹那という存在なのだから。


「・・・帰る」


一刻も早くこの温かい腕から抜け出したい。そう思い背を向けようとすると、グラハムの腕にぐっと力が入った。







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