OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。

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グラ刹♀学園モノの続きです。今回は補修編。
AM07:15。
あちらこちらに跳ねる髪に水をかけて強制的にねじ伏せ、制服に雫が落ちるのも気にせず顔をあげた。
洗面所の鏡に映る己の姿を刹那はしばし凝視する。
やはり、少し大きくなっている?
セーラー服から、本当にささやかだが胸の膨らみが見て取れるようになった。前はまっ平らだったのに、ほんの少し布を押し上げている。そういえば下着も最近少しきつい。ロックオンに頼めば新調してくれるだろうか。
(あいつと会ってからだ)
小さな、しかし確実に女になりつつある体。思えば刹那に初潮が来たのも彼と出会ってからだ。(しかも恥ずかしいことに助けられた)
胸元にキラリと輝く彼と同じ翠。学生には不釣り合いな値段であろうから大切に保管しておく方がいいのだろうが、刹那は毎日なんとなくつけてしまっている。一人になった時にこっそりと胸元から引っ張り出してみると、いつでも彼のことを思い出して。
(馬鹿な奴だ)
こんな男みたいな奴を好きだと言って、拒絶しても諦めず、拙い刹那の菓子を美味しい食べてくれた。
ぎゅっとエメラルドを握ると、硬質で冷たいはずのそれが暖かい気がした。ほんの子供である刹那を大人の女性として好きだと言ってくれた、とんでもない愚か者。
しかしその事実が嬉しくて、刹那はかすかに微笑んだ。
「あれ、刹那?」
「!」
アレルヤの声に慌ててネックレスをしまい込んだ。こんなものつけているとばれたら、ロックオンにしつこく勘繰られるに違いない。
「刹那がこの時間に着替えてるなんて珍しいね。髪濡れてるよ?」
「あ、ああ…」
アレルヤがタオルで刹那の頭を優しく拭いてくれる。「女の子なんだから」とその後ブラシを丁寧にかけてくれるのもアレルヤの日課だ。くすぐったいような感触に猫のように目を瞑っていると、アレルヤがクスリと笑みをこぼした。
「でもどうしたの?」
「?」
「刹那が癖毛直そうとしてるなんてさ。いつもはそのまま出掛けるよね」
ティエリアに言えばヘアアイロン貸して貰えるよ、との言葉に刹那は顔をしかめた。あいつにそんなことを言ったら小馬鹿にされるうえに代価が高くつくのでろくなことがない。第一そこまで時間に余裕があるわけでもないのだ。
途端に憮然とした刹那にふふっと笑みをこぼすと、アレルヤは再び髪をとかし始めた。
「刹那も随分女の子らしくなったよね」
「…そうか?」
「うん。ちゃんとリップクリーム塗るようになったし、制服もしわくちゃじゃなくなった。」
前はロックオンにしつこく言われなきゃやらなかったのにね、とからかわれ情けないやら恥ずかしいやらで思わずうつむいてしまう。
悔しいことにアレルヤの言う通り前まで買ってきてくれた林檎の香りがするリップクリームは其処らに放置してあったし、制服も吊らずに適当に放置してあった。あまり外見に頓着しない性格だった為ロックオンが無理矢理やらされたりティエリアに小言を言われたりしてたのだ。
「…悪かったな。」
「ううん、いいことだと思うよ。これもやっぱりエーカー先生のお陰?」
「はあっ!?」
思わず顔をがばっと上げてしまう。火を噴いてしまうのではないか、という位顔が火照り、きっとアレルヤを睨み付ければ「あれ、本当に?」と目をパチクリさせた。
「あ、あんな変態関係あるかっ!!」
しまった。アレルヤは天然だった。
慌てて全力否定しようとするも時すでに遅く、「ロックオンとティエリアには秘密にしとくからさ」と悪戯っこのように笑われ、さらに誤解を解けなくなった。
「前はストーカー並にしつこいらしいから心配してたけど、この分なら安心したよ」
「あ、あんな変態嫌いだっ」
「素直じゃないんだから…ほら、そろそろ行かないと」
幾分と寝癖がおさまった柔らかい髪を一撫でし、アレルヤは刹那を促した。洗面所にかかっている時計はギリギリの時間がしめされており、我に返る。
「ありがとう、アレルヤ」
慌てて飛び出そうとしたが、一度振り返り礼を言えば、アレルヤは一瞬キョトンとした後「どういたしまして」と柔らかく微笑んでくれた。
牛乳パックを片手に玄関を飛び出し、全力疾走を開始する。
リズムをつけてるかのように制服の中で跳ねるペンダントの存在に、刹那は彼のことを思いだし、流れ行く景色の中一人頬を赤らめた。
「あれアレルヤ、刹那はどうした?」
「もう出掛けましたよ。髪を整えるのに時間がかかって…」
「あーまたあいつ飯食べないで…だから大きくなれないんだよ…ってええ!?」
朝食を食べていたロックオンの口からぽろりとブルーベリージャム付きトーストが落ち、シャツに染みを作った。新聞を読んでいたティエリアも若干驚いてる。
「あの刹那が!?あいつ今まで身だしなみなんて気にしてなかったくせに!」
「そ、そこまで驚くことかな?」
「そうですよ。今までの刹那・F・セイエイに女らしさがなさすぎただけだ」
そもそも前日にしっかり髪を乾かしておけばよかったのにとか俺にヘアアイロンを貸すよう頼めばよかったのにとぶつぶつ小言を言っている。
「はぁ…あの刹那がねぇ」
彼女の生い立ちがいかなるものか、守秘義務で詳しくは知らないが、治安が悪い地域だったらしくいつも少年らしい格好をしていた。特殊傭兵としての活動やマイスターの訓練により年頃の少女らしいお洒落なんてものも出来ず、またガンダム一途だった為か興味すら無かったのだろう。
普通の少女の身だしなみとしてはまだまだだが、刹那にとっては大進歩だ。
「いや、刹那が可愛くなるのはいいんだけどさ…いやむしろばっちこい、いややっぱり悪い虫がつくのは…ともかく、どういう心境の変化だ?」
「いや…あはは」
ロックオンとグラハムは仲が悪い。ここで「グラハム」なんて言ったらロックオンは彼の家までスナイプしに行くに違いない。
「まあ女性諜報員としての自覚が出来たのだろう」
ティエリアもまたバズーカを持ち出しそうだから言わないでおこう。
(刹那…君も大変だね)
過保護な兄貴分と、変態の恋人。初恋だと言うのに波乱万丈な妹分の恋路を不憫に思いつつも、朝食に手を伸ばしたとき。
三人一斉に、空気を切り裂くかのように電子音が重なる。
それは緊急用の端末、それも着信音はSランクの極秘任務用のもので。
「?朝っぱらから珍しいな…」
指令はたいてい夜にはいるというのに。朝の和やかな空気が切り裂くように一転、皆緊迫した面立ちで各々の端末を見た。
(え?)
画面に表示されていた文字を読み、アレルヤは息をのんだ。
そこに表示されてあったモニターの文字は。
今までの束の間の平穏が、終わりに近づいていることを告げていて。
小さな胸の痛みを隠して、刹那の淡い恋を応援しようと決意したのに。
彼女の幸せを祈ったのに。
(ああ、ハレルヤ。僕は憂鬱だよ)
窓から見えるのは春の淡いパステルカラーの青空ではなくなり、どんよりとした鉛のような鈍い厚い雲に覆われていた。
もうすぐ梅雨が来る。
湿った風が吹き込み、遠くで微かな雷鳴が聞こえた。
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ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
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since:20071112
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