学パロ3

ちまちま進んでいます。
ちなみにふたりがいきつけのホビーショップの店長はおやっさんで担任はモレノさんです。

「発売日が明日でないか焦ったが…買えてよかった」

ほくほくとした顔で歩く幼なじみから少し距離を置いて刹那は家路についていた。
グラハムは常連ということもあり、あっさりとダブルオーを手にいれられたのだ。もし買えなかったらどう言い訳しようかと考えていたので刹那はほっと息をつく。

「しかし刹那、足が遅いな…」
「…」

振り返り不思議そうな顔でこちらを見てくるグラハムをむすっとした顔で睨みつける。
隣を歩いていると帰り道で誰かに会った時色々と煩い。だから刹那はなるべくいざとなったら他人のふりをできる程度に距離を置いているのだ。
しかし刹那の苦労なぞわかっていないかの如くグラハムはまた前を向き歩き出す。それでも歩調を遅くしない所は彼らしかった。
刹那が距離を置こうとしてもづかづかとあっさり距離を縮め、周りが変わっても自身を変えようとしないのがグラハムだ。
刹那もその傾向はあるが、人間関係が面倒なので多少は意識しているというのに彼がまるで気にしていないのが腹立たしい。
一度距離を置こうと切り出したことはあるが、その理由を根掘り葉掘り聞かれついには喧嘩になりかけ説明が面倒になり以来放置状態だ。
ガンプラを抱え喜んでいる姿は幼い頃から変わらないのに、背中が遠く見える。
身長差が出来て首が痛くなるようになったのも最近のことだ。
変わらないのは互いの関係と、グラハムの内面だけ。
…刹那だって、本当は昔のようにグラハムの隣を歩いて心いくまでガンプラについて語り合いたい。
だが性別のしがらみが、外見が、対等だったはずの二人の差を引き離していく。

…俺が男だったら、いつまでもそんな関係でいられただろうか。
一方的に語りかけてくるグラハムの広くなった背中を見つめながら、ガンプラの箱を抱き締めた。
女らしさに興味を持てず、髪型も口調も体型も女らしさの欠片はないというのに後ろを歩く刹那はセーラー服、グラハムはブレザー。
自分たちは意識していないというのに周りは何故誤解するんだとため息をつけば、グラハムが声を弾ませ「どちらがより美しくダブルオーを組み立てられるか、今回は負けぬ！」と振り向いて宣言してきて刹那はさらに深くため息をつくのだった。