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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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なんと、相互記念ということで瀬々様から素敵小説を頂きました!!
「甘甘グラ刹」という本編ではまずありえない無茶なリクをしてしまいましたのですが、もう素敵過ぎてパソコンに向かって絶叫してました。(え)
恋人な二人に癒されます。瀬々様、どうも有難う御座いました!
そんな瀬々様のサイト、「true*north」は右のツリーからどうぞ!!
萌え小説の宝庫です。ぶっちゃけうちのサイトなぞより100倍萌えます

↓からどうぞ。

幼い頃は、空調設備なんて文明的なものには縁がなかったし。
寒さや暑さに体調を崩してる暇もなかった。
自然、身体は多少の気温の上下には動じなくなって久しい。

軍人だからと他の人間の前ではやせ我慢している(らしい)が、自分の前では隠さずに、夏はへばり冬には身を縮めているこの男は、本当に育ちがいいのだなと思う。

別に、そのことに引け目やら何やらを感じるわけでもないけど。



キミの体温 心にぬくもり



少々強引に予定を捻じ曲げ、無理やり設けた待ち合わせと夕食。
年下の恋人はどうやら食後のデザートがいたくお気に召したらしく、会計をし店を出る際に「また来ようか」と聞いてみればこっくりと頷いてくれた。
最近ではこの傍目には無表情のままにしか見えないであろう少年から、ずいぶんと感情を見出すことが出来るようになっている。
もっとも、彼自身が心を開いて、それを見せてくれるようになったからというのが一番の理由なのだけど。
そして、そんな刹那が今、存分に見せてくれているのは――――呆れの表情だった。


「・・・・・・寒い」
店を出て5分。同じことを既に何度呟いただろう。
とうとう隣から、ふぅと溜息が洩れ聞こえた。
「・・・・・・・・・・・・いくらなんでも寒さに弱すぎだ」
「君が強すぎなんだよ、刹那。そんなに服の厚さは変わらないはずなのに・・・・・・」
刹那はいつもの服装の上に白のダッフルコート、対する自分はワイシャツとセーターの上に黒のロングコート。
――――むしろ自分のほうが分厚かった。
「慣れてるだけだ。大体――そんなに防寒が必要ならなんでマフラーをしていない?」
「・・・・・・朝、慌てていたのを知っているだろう?」
さすがに任務中などならともかく、この時期自宅では――特にこの少年がいると、ついその存在に甘えてしまって、なかなかベッドから起き上がれないのだ。
結果、遅刻まではしないものの、いつもぎりぎりの出立になる。
今朝などは本当に危なくて、完全にマフラーの存在を失念してしまった。
「・・・・・・俺は、精一杯起こした」
「それは、毎回悪いとは思ってるが・・・・・・」
きまりが悪く、ついあらぬ方向に視線を流していたため、少年が足を止めたのに気づくのがわずかに遅れた。
「――――刹那?」
振り返るのと同時に、ふわりと視界を横切るものがある。
むき出しだった首筋に、まとうぬくもり。
つい先ほどまで刹那が自信の首に巻きつけていた赤いマフラーだった。
「・・・・・・貸す」
再び歩き出した刹那に慌てて並びつつ「でも」と躊躇う。
「それじゃ、今度は君が・・・・・・」
「俺はいい。服も首筋まであるから」
だからあんたが使えばいいという刹那の服は、確かに襟が高い。
対して自分はワイシャツなのでどうしても首が無防備なままだった。
そこを覆うだけでも、身体から奪われる熱の量は大分変わる。
正直この存在はありがたく、まして刹那のぬくもりも宿していたので二重に嬉しかった。
「・・・・・・すまないね、刹那。ありがとう」
「別に」
そっけない刹那ではあるが、しかし実は少し照れているのだとグラハムにはわかる。
なので、もう少し調子に乗ってみることにした。
「刹那」
見上げてきた視線に、微笑みかける。
「もうひとつ――――手を貸してくれるかい」
手袋をしてポケットに入れていた刹那のいる側の手からそれを外し、差し伸べる。
首をかしげた刹那だったが、同じようにポケットに入れていた手――こちらは素手のままだった――を素直に差し出し、そしてグラハムのそれに触れた瞬間、盛大に顔をしかめた。
「手袋までしていたのに、何でこんなに冷たくなってるんだ」
「いや、本当に寒いと末端はどうしてもこうなってしまって。君は本当に温かいね」
にこやかに言って、刹那の手を繋いだまま自分の手を引き寄せ、一緒にコートのポケットに入れてしまう。
「・・・・・・おい」
「だってそのまま出しておくと君まで冷えるだろう。でも離したくはないのだよ」
勝手な言い分であることは承知しているが、こういう時、刹那はあまり抵抗しない。
一言抗議くらいはするものの、結局無駄だと思うのかされるがままになっている。
もちろん最初はそんなことなかったし、これは比較的最近の話だ。
より気を許してくれたのだと見るか、単に諦められただけと見るかは微妙なところではあるが。
今回も例に洩れず、溜息ひとつでこの状態は受け入れられた。
「・・・・・・このままだと、温まるのは片方だけじゃないのか」
「まぁ、そうだけど。早く家に帰ってバスタブに湯を張って飛び込めばいいさ」
一緒に入ろうかと笑いかけると、途端に刹那は嫌そうな顔をする。
「・・・・・・のぼせるから嫌だ」
「君のような短い入浴のことを、日本の言い回しで『カラスの行水』と言うらしいよ」
「俺だって一人のときはもう少しゆっくりする」
「私と一緒の時は本当にさっさと出て行ってしまうのに? 説得力がないよ、刹那」
実は理由はわかっていたけど、素知らぬふりでからかうように言えば、案の定刹那はそれに乗った。
「それはあんたがのぼせるようなコトしようとするから・・・・・・っ」
とっさにしてしまった反論の内容に、はっと言葉を切った刹那である。
「・・・・・・・・・・・・」
ぷいっと視線がそらされ、無言で歩調が早められた。
思わずこみあげた笑いを必死にこらえるはめになる。
今、笑ってしまったらせっかく繋いだままにしてくれている手を、今度こそ引き抜かれてしまうだろうから。

大体、グラハムの住むマンションまであと10分ちょっと。
その頃には刹那の機嫌も直っているはずだ。あまりあとへ引くような性格ではないから。
そして多分、かなり粘れば一緒の入浴にも結局頷いてくれるだろう。
刹那は、実は結構押しに弱い。
少しずつ少しずつ許される距離を測っていたはずなのに、そのうちずいぶん大胆に振舞っても大丈夫なのだとわかった。
一度手を取ってくれた彼は、もうちょっとやそっとのことで離れたりはしないのだと知った。


赤いマフラー。握った手のひら。
彼の気持ちがここにあると、代わりに証明しているもの。

そこにあるのは、至福のぬくもり。


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「非晶質。」にようこそ。
ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
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