歪な子供

ロックオン幼少期について考えたら16歳ロックオン×24歳刹那を妄想してしまいました。
ロックオンは刹那と違って不安定な思春期の段階を踏んでいると思います。過去のトラウマもあって酒や女に走っていそう。尾崎豊的な。
刹那はミッションで動揺しなくなったりと優秀なマイスターになっていますが、中身は16と変わらず成長していそうです。
身長は刹那170、ロックオン178ぐらいだといいな（おい）

一瞬16ハム×27刹那も想像したのですがハイス○アのめぐみ両親みたいな関係になってそうで怖いです。ハムと刹那の子はきっと少し賢いめぐみだよ（え）

とりあえず120％捏造ロックオンに注意。

歪な子供





プトレマイオス休憩室。

扉が開くと甘いような、苦いような独特な匂いがし、刹那は顔をしかめた。

また、やってる。

艦内喫煙者は何人かいるが、この独特な香り―銘柄は忘れた―を好むものは一人しかいない。
呆れ気味に視線を向けると、案の定ミルクティー色のセミロングが、無重力の中ふわりふわりと揺れていた。
前方の展望テラスからはただ黒い宙が広がり、お陰で白い煙がゆらゆらと部屋に充満しているのがわかる。そこそこの本数を吸っているのだろう。

「止めろ」
そう言うよりも早く刹那は床を蹴って、彼の手から短くなった煙草と派手な柄の箱を引ったくる。
衝撃で、火の粉を伴った灰が宙に飛ぶ。赤い火の粉が光を失い灰になった時、湖を思わせる青と視線があった。

「なにすんだよ」
「煙草は体の機能に悪影響しか及ぼさない。ましてやお前は未成年だ」
「心配してくれてるのか？」
「健康管理もマイスターの責務だ。目的の前に使い物にならなくなっては困る」
「・・・ケチ」

そう言って、目の前の少年はにやりと口元を歪めた。
明らかに反省していない態度に、刹那は毎度ながらため息をつく。

自慢ではないが元々人付き合いは苦手な上に、子供は嫌いだった。
さらにこの子供―ロックオン・ストラトス―は8も年下の癖に、その年の割にませた行動といい、どこか人で遊んでいるようななめた態度といい、刹那にとって最も扱い辛いタイプの典型的な例である。
年下なのに自分より高い背も、街で行動していると兄弟（しかも刹那が弟に見られる）のも気にくわない要因でもある。
しかし何故かミッションでも組まされることが多く、さらに何故かなつかれ、いつの間にか彼のお守り役になっていたのだ。

「なあ、あんたさ」
「・・・ヴェーダに報告書がまだ出ていないとのスメラギからの伝言だ。」
「聞けよ」
「お前がだ。」

一瞬むっとした顔をするロックオンをさらりと無視して、口を開きかける。
話すことに気を取られ、ウェーブがかった髪の下でちらりと悪戯な光を見逃してしまっていて。


「至急提出し・・・っ」


気付いたら、ロックオンの顔が間近にあった。

濃く香る、煙草が口内に侵入してくる。


唐突突なそれに驚き、刹那は思わず煙草の箱を離してしまった。



「っ・・・？！」



柔らかく、生暖かい感触を唇に感じる。
非難の言葉をつむごうにも、すきではない煙と唇に塞がれてしまい息が出来ない。




ようやく唇と香りが離れた時、ひどく愉快そうにさざめく青い瞳が自分を見下していた。

「あまり子供扱いすんなよ」

歳の割には低く甘い声に、くらくらとしていた思考が正常に戻る。


またやられた。




年下に馬鹿にされたことと、キスされたことに気付き、刹那は顔に血が昇っていくのを感じた。

「あ、赤くなった。」
「・・・っふざけるな」

羞恥心と怒りで思わず手を振り上げたが、それこそ大人げない行動であることに気付き、一瞬手を止めてしまう。
その隙にロックオンは刹那の間合いから素早く脱出し、宙をあてもなくさ迷う箱を掴んで出入り口に向かっていた。

口には勿論してやったりの笑み。


残されたのは赤い顔した刹那と、離散した煙草の灰と、空気清浄器のおかげて薄くなりつつある煙草の残り香だけであった。





「あのガキ・・・」
悔しくて唇を噛み締める。口の中にじかに広がる、煙草の味が不快でしょうがない。

一刻も早く拭いさりたい。
唇のあの熱い感触とともに。


そう思い自販機に向かったものの、整備中と紙が貼られていて思わず蹴り飛ばしたのはここだけの話。