OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。

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続きです。ちょい電波。
「雪か」
ソランが眠ったことを確認し、グラハムは窓へと視線を向ける。しんしんと雪が降り積もり、古い城を白く装飾していくのに既視感があった。
「やはり私の元へ戻ってきてくれたのだね、刹那・・・」
少女の安らかな寝顔は、かつて愛した人の死に顔と同じで、違いは頬と唇に朱がさしているか否かだけ。
眠りについたソランの頬にそっと触れる。柔らかく、温かい。唇にそっと触れる。頼りない感触と、熱い呼気。
この子は生きている。生きて戻ってきてくれた、約束通り。
「神に見放された私が言うべきではないだろうが・・・君は、本当に天からの贈り物だよ、ソラン」
眠る少女の柔らかな黒髪をそっと撫で、グラハムは穏やかな笑みを浮かべ睫を伏せた。
聖夜に私は愛する者を失い。
そして再び手に入れた。
グラハムから受け取った上等な生地のコートを身にまとい、ソランは城の庭の道を歩く。
外では雪がしんしんと降っているというのにグラハムのマントと同じくこれをはおっていると寒さを感じず、城の外を守るように這わされている茨もソランの進む道を妨げぬように引いて行く。恐ろしい吸血鬼には見えないが、やはり魔の者には違いない、と感心しながらソランは長い回廊を進んだ。
「…これは」
茨がアーチ状に絡みついている門をくぐり、白い吐息が冷気に掻き消えた時ソランは自分の目を疑う。
雪は依然降っている。しかし目の前に広がるこの庭だけは薄くしか雪が積もらず、この世のものとは思えないくらいに冴えた青の薔薇が咲き誇っていたのだ。
青い薔薇なんて見たことが無い。まして、こんな真冬にこれほどまで見事に咲くなんて…!
ソランは思わずドレスを着ていることも忘れて駆け出していた。何処を見回しても青い薔薇が咲いており、薄く雪化粧が施された花弁は、ソランが見てきたどんな花よりも美しかった。
冬になると世界から色彩が消え失せてしまうと村に暮らしていたソランは思っていたが、この城だけは違う。青と白のコントラストが、世界いっぱいに広がっていたのだ。
庭の手入れなんて忘れてソランは庭を巡った。城ということだけあり所々に彫刻や噴水、東屋があり、しかし長い間放置されていた為かそれらはびっしりと茨に覆われ、僅かに隙間から覗く大理石も黒くくすんで年月を感じさせた。
かつて王族が目を楽しませていたはずの庭も、今は目にする者はこの城に生贄としてきた花嫁と、茨の吸血鬼しかいない。
最初は目に入れるものすべてが新鮮だったが、ソランの胸にはなんともいえない感情が渦巻く。
この城だけは世界から隔絶されている、いや、自ら茨によって隔絶していると言ってもいいのだろうか。
古城の庭はこの世のものと思えないくらい美しいが、寂しかった。人の営みの痕跡があるだけに、余計に寂しさが増していく。
こんなところでグラハムは一人。春になり雪が解ければ花嫁も去り、緑が戻った庭を独りで見ているのだろうか。
かけだしていた足もいつのまにか歩くような速さになり、なんともいえない感情に占められた胸で青薔薇を眺めていると不意につま先に固いものが当たる。
「剣?」
ソランが足をぶつけたのは台座のようで、視線を上にあげれば柄に天使の羽らしき装飾がされた、古びた剣が刺してあった。
柄も刃も黒変した剣には茨が守るように絡みついており、触れるものを拒むかのように、そして降り積もる雪から剣を守るように花弁が花を開いている。
不思議と気になってソランは屈み、台座から雪を払いのける。古びた大理石らしきそれは墓標のようで、文字が刻まれていた。
「Setsuna…」
この地域では聞き慣れない響きの名前。異国の者の名だろうか…だというのに、どこかしっくりとする。妙な懐かしさと既視感、そしてパズルのピースがはまった瞬間のような感覚。
ソランはなぜか柄に手を伸ばそうとした。鋭い棘が生えていることも気にせず掴もうとする。
案の定ちりっと皮膚が裂ける痛み。棘が肉を食い破る前に、ソランの腕は白い手に掴まれていた。
「グラハム」
いつのまにか来ていたのか、グラハムが阻むかのようにソランの腕を取っていた。
どこか哀しげに眼を細め、静かに頭を振りソランの腕を下させる。
「やはり君はそうだったんだね」
ソランの指から伝った紅い血が雪に落ち、紅い花を咲かせる。その光景にやはり既視感があり、首を傾げているとグラハムが掌を握ってきた。
ベルベッドで創られた黒い手袋に熱い血液が吸収されていく。
「ソラン」
翠の瞳がこちらへと向けられる。この庭に咲いているどんな薔薇よりも鮮やかな色。
何処に触れても冷たいのに、その金の髪と翠の眼だけは春みたいだ。
そう言おうとして口をつぐむ。かつて彼に同じことを言った気がしたのだ、まだ出会って数日しかたっていないのに。
グラハムは傷に覆われた眼を閉じ、ソランの掌を口元に持っていく。
冷たい舌と呼気が指先に触れ、紅い舌が血を綺麗に舐め取っていく。子供がミルクを舐め取るように、傷を治そうとするかのように。
唇の冷たさが指先の感覚をなくし、身体をじんわりと温かくしていく。また妙な感覚に襲われ倒れそうになった時、グラハムがマントごとソランの体を支えてくれた。
「昔話をしよう」
ソランが流した血が雪に覆われ始めたころ、茨の吸血鬼は甘やかな声で静かに語り出した。
ソランが眠ったことを確認し、グラハムは窓へと視線を向ける。しんしんと雪が降り積もり、古い城を白く装飾していくのに既視感があった。
「やはり私の元へ戻ってきてくれたのだね、刹那・・・」
少女の安らかな寝顔は、かつて愛した人の死に顔と同じで、違いは頬と唇に朱がさしているか否かだけ。
眠りについたソランの頬にそっと触れる。柔らかく、温かい。唇にそっと触れる。頼りない感触と、熱い呼気。
この子は生きている。生きて戻ってきてくれた、約束通り。
「神に見放された私が言うべきではないだろうが・・・君は、本当に天からの贈り物だよ、ソラン」
眠る少女の柔らかな黒髪をそっと撫で、グラハムは穏やかな笑みを浮かべ睫を伏せた。
聖夜に私は愛する者を失い。
そして再び手に入れた。
グラハムから受け取った上等な生地のコートを身にまとい、ソランは城の庭の道を歩く。
外では雪がしんしんと降っているというのにグラハムのマントと同じくこれをはおっていると寒さを感じず、城の外を守るように這わされている茨もソランの進む道を妨げぬように引いて行く。恐ろしい吸血鬼には見えないが、やはり魔の者には違いない、と感心しながらソランは長い回廊を進んだ。
「…これは」
茨がアーチ状に絡みついている門をくぐり、白い吐息が冷気に掻き消えた時ソランは自分の目を疑う。
雪は依然降っている。しかし目の前に広がるこの庭だけは薄くしか雪が積もらず、この世のものとは思えないくらいに冴えた青の薔薇が咲き誇っていたのだ。
青い薔薇なんて見たことが無い。まして、こんな真冬にこれほどまで見事に咲くなんて…!
ソランは思わずドレスを着ていることも忘れて駆け出していた。何処を見回しても青い薔薇が咲いており、薄く雪化粧が施された花弁は、ソランが見てきたどんな花よりも美しかった。
冬になると世界から色彩が消え失せてしまうと村に暮らしていたソランは思っていたが、この城だけは違う。青と白のコントラストが、世界いっぱいに広がっていたのだ。
庭の手入れなんて忘れてソランは庭を巡った。城ということだけあり所々に彫刻や噴水、東屋があり、しかし長い間放置されていた為かそれらはびっしりと茨に覆われ、僅かに隙間から覗く大理石も黒くくすんで年月を感じさせた。
かつて王族が目を楽しませていたはずの庭も、今は目にする者はこの城に生贄としてきた花嫁と、茨の吸血鬼しかいない。
最初は目に入れるものすべてが新鮮だったが、ソランの胸にはなんともいえない感情が渦巻く。
この城だけは世界から隔絶されている、いや、自ら茨によって隔絶していると言ってもいいのだろうか。
古城の庭はこの世のものと思えないくらい美しいが、寂しかった。人の営みの痕跡があるだけに、余計に寂しさが増していく。
こんなところでグラハムは一人。春になり雪が解ければ花嫁も去り、緑が戻った庭を独りで見ているのだろうか。
かけだしていた足もいつのまにか歩くような速さになり、なんともいえない感情に占められた胸で青薔薇を眺めていると不意につま先に固いものが当たる。
「剣?」
ソランが足をぶつけたのは台座のようで、視線を上にあげれば柄に天使の羽らしき装飾がされた、古びた剣が刺してあった。
柄も刃も黒変した剣には茨が守るように絡みついており、触れるものを拒むかのように、そして降り積もる雪から剣を守るように花弁が花を開いている。
不思議と気になってソランは屈み、台座から雪を払いのける。古びた大理石らしきそれは墓標のようで、文字が刻まれていた。
「Setsuna…」
この地域では聞き慣れない響きの名前。異国の者の名だろうか…だというのに、どこかしっくりとする。妙な懐かしさと既視感、そしてパズルのピースがはまった瞬間のような感覚。
ソランはなぜか柄に手を伸ばそうとした。鋭い棘が生えていることも気にせず掴もうとする。
案の定ちりっと皮膚が裂ける痛み。棘が肉を食い破る前に、ソランの腕は白い手に掴まれていた。
「グラハム」
いつのまにか来ていたのか、グラハムが阻むかのようにソランの腕を取っていた。
どこか哀しげに眼を細め、静かに頭を振りソランの腕を下させる。
「やはり君はそうだったんだね」
ソランの指から伝った紅い血が雪に落ち、紅い花を咲かせる。その光景にやはり既視感があり、首を傾げているとグラハムが掌を握ってきた。
ベルベッドで創られた黒い手袋に熱い血液が吸収されていく。
「ソラン」
翠の瞳がこちらへと向けられる。この庭に咲いているどんな薔薇よりも鮮やかな色。
何処に触れても冷たいのに、その金の髪と翠の眼だけは春みたいだ。
そう言おうとして口をつぐむ。かつて彼に同じことを言った気がしたのだ、まだ出会って数日しかたっていないのに。
グラハムは傷に覆われた眼を閉じ、ソランの掌を口元に持っていく。
冷たい舌と呼気が指先に触れ、紅い舌が血を綺麗に舐め取っていく。子供がミルクを舐め取るように、傷を治そうとするかのように。
唇の冷たさが指先の感覚をなくし、身体をじんわりと温かくしていく。また妙な感覚に襲われ倒れそうになった時、グラハムがマントごとソランの体を支えてくれた。
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ソランが流した血が雪に覆われ始めたころ、茨の吸血鬼は甘やかな声で静かに語り出した。
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「非晶質。」にようこそ。
ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
初めての方は「ハジメニ」を読んでください。わからずに突き進むと大変なことになります。
にょただらけなので苦手な方はご遠慮ください。
感想、誤字脱字、その他管理人に突っ込みたい方は最下部のメルフォからか、↓の☆を@に変えてお願いします。
ham_otomeza_12g☆yahoo.co.jp
管理人:流離
since:20071112
更新停止中。twitterで色々妄想してます。
サイト FE覚醒ブログ(NL中心)
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