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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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の初ティエ刹。一応15話派生です。
しかしティエ刹シーンがあまりありませんでした。
恐ろしくブラック無糖シリアス。



ただ、共に






降り注ぐ、弾丸、弾丸、弾丸。
いくら束になって襲ってきたとしても、無敵を誇るガンダムにはさしてダメージはない。
だが絶え間なくにコックピットに走る振動は、確実にパイロットの体力を削っていく。

荒く浅く息を吐く。だがその隙さえも許さず、今度は数機のフラッグが襲いかかって来た。

「っ」

GNバズーカのチャージ完了まであと110秒。
自分が出るしかない。
いつごろからか無意識に震えてしまう手を勇めるかのようにレバーを引く。
寸前まで近付いていた機体を、一閃。だがそれはフラッグの片手を斬り落とすことしか出来ず、追い付く間もなくすぐ後退していった。
爆撃の連続でめまぐるしく変わるモニターの光景に、大分目がやられてしまったのか。視界がちかちかする。
わかっている、奴らはこっちを疲労させる為だけに動いていることを。
本気で相手にする気はないのだ。

「チャージ完了。後退しろっ!」
ティエリアからの通信に意識を戻し、身を翻す。瞬間、青空を切り裂くかのような光と轟音。雷を束にして圧縮したような太い光線に、砂の海と敵機が瞬間的に溶解していくのがわかる。
バズーカの出力に耐えきれずじわじわと後退していくヴァーチェの背後の安全を確認しつつ、相手の損害を確認。
だが発射タイミングを読まれていたのか、前方にはまだ大量のMS部隊が残っていた。
えぐれたはずの砂漠も、風が吹けばすぐに戻ってしまう。
無意味な攻撃。そう大地にまで言われているようで、刹那は唇を噛みしめた。

「刹那っ」

だが直ぐ様畳み掛けるように襲いかかる衝撃に不意をつかれ、エクシアのバランスを失いかける。
しまった、無防備な体勢にかかる負担を思い操縦席で体を固くしたが、想像していた衝撃はない。

「・・・ティエリア?」
「油断するな」

モニターを見れば、緑の光粒子ごしに視界を埋めつくされるほどの弾丸が崩れていくのが見えた。恐らくヴァーチェの展開したGNフィールド内に引き寄せられたのだろう。

「しばらくこの状態で待機だ。もし砲弾がやんだら直ぐ様離脱する、気を抜くな」
「・・・了解」

狭いコックピットの中、ようやくゆっくりと息を吸えた。だがこの状態も長くは続かないことを知っている。一瞬たりとも気は抜けない。
15時間も前からはりつめた精神は、肉体の疲労以上に限界が近かった。それはティエリアも同じようで、いつもは自信に満ちている綺麗な顔が、モニターごしでも濃い疲労に歪められている。


似ている。クルジスでの戦場と。
無慈悲に掃射される銃弾、MSには役に立たない銃を軋む手で握り、日が暮れたのかすらわからぬまま、走る。撃つ。
歩みを止めるか、銃を手から落としてしまえば則ち、死。
今もそうだ。ガンダムを駆るのは生身の人間であり、今ここで意識を失ったりすれば、死に等しい。いや、ガンダムを奪われるのは死よりも恐ろしい。太陽炉の秘密をまだ暴かれてはならないのだ。
違うのはあの時手に持っていた鉄の塊が神がかりの力を振るう為のレバーであり、隠れる為の廃屋はなく目の前には砂塵と敵。
そして、あの時は傍らに屍だったが今は仲間がいる。

例え今まであまりはなさない、むしろ険悪とまで言えた仲だっしても。


「・・・ティエリア」
無意識に口から彼の名が出た。
怖かったのかもしれない。あの時と同じく、果てのない戦いを独りでいなければいけないことが。
仲間は目の前で死んでいき、圧倒的な暴力に独りで立ち向かわなければならないことが。

「ティエリア」

気付けばフルネームで呼びあわなくなっていた。単に戦場で長ったらしい名で呼びあうことは面倒だったからでもあるが、それだけではない気がする。

「・・・なんだ刹那」

モニターにティエリアの顔が写し出され安堵する。機体ごしに離れているから、こうでもして呼び掛けないと落ち着かなかった。
もし、ティエリアが返事をしなかったら。この広い砂漠に独りで残されたら。
確かめたかった。近くに人がいることを


「・・・無事そうだな」

「当たり前だ。ガンダムマイスターたるもの、この程度で気絶していられるか」

普段は私語を交さないティエリアが返事をしてくれるのが、今は心強かった。
こいつは、いなくならない。
疲労しきってはいるがバイザーごしでもわかる意思の強く輝く瞳。
ティエリアは、生き残るだろう。このいつ終わるかもわからない戦場においては、体力以上に生きることへの渇望と精神が重要だ。
こいつは側からいなくならない。


「ティエリア」
「・・・用がないなら私語を慎め」
「生きろ」



ぽつりと呟くように言う。
モニターごしのティエリアは一瞬不可解な言語を聞いたかのように眉を潜めたが、さも当然のように言い切った。

「誰に向かって言っている」
「ティエリア・アーデに」
「・・・君ごときに言われるなんて、見くびられたものだな」
皮肉げに薄く笑みを浮かべたティエリアにひどく安堵する自分がいた。
こいつは、壊れない。
クルジスの仲間のように、標準が定まらなくなった銃のように。

「俺は死なない。君が仮に滷獲されれば躊躇なく撃ってやるから安心しろ。マイスターは代わりがいる。」

そう言って、突如モニターから鮮やかな紫が消えた。
待て、と手を伸ばすがレーダーの音にまたMSが近付いてきていることに気付いた。
むっとした顔になりかけていたが、モニターを睨みつけて引き締める。

「誰が死ぬものか」

生きて帰ったら、あの冷たい人形のような面を睨みつけてやる。
そう誓い、先ほどよりかは震えなくなった手でレバーを引く。
GNフィールドが消えた瞬間、ビームサーベルを引き抜いて敵中に飛び出して行った。





エクシアが敵機を斬りつけているのが見える。
「君の代わりならいくらでもいる。」
問題行動が多く、マイスターとしての適性には欠ける少年。今までなら死んでもよい、むしろ死んだ方がいいと思っていた。
だが。

「・・・だから死にたくなかったら、生きろ。刹那」

願わくば慣れぬ人間達とよりも、この子供と共に戦っていたいと思うのは、戦場に二人だけという状況だからだろうか。

チャージ完了のアラームが鳴り響いた。息を最後に深く吐くと、ティエリアは今だ黒い壁のように塞がる敵群に、バズーカを向けた。

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