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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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20万ネタに無理やりしてみたロク刹♀妊娠シリーズです。
ついでにもう一つはグラ刹♀でやりたいなと思っています。多分(おい)
そのうち20万記念部屋作りたい・・・とおもっているうちに結構すぎてましたごめんなさい。
ちなみにロク刹なのにロクはいません最終回後なので。それでも、だとしてもロク刹と言い張る!(え)
ちなみにグラ刹はジュライブライドで新婚ギャグ風にしたいのでその分こっちはシリアスで!

続きから刹+フェルも若干交えた妊娠発覚話です。

深夜の海のように黒々と広がる空間に、刹那は一人で立ち尽くしていた。

暗闇に伸ばされていた手は自分のものとは温もりが残っており、しかしそれが誰から与えられたのか思い出せない。
乾燥していた肌に、水分が伝った。
この手を握っていてくれたのは、誰だ?
優しくて大きい掌の感触や陽光に煌めくような湖色の瞳は覚えているのに、手は空を切るばかりでその人を捉えることが出来ない。

呼ぼうとするも、声帯が切り取られたかのように声が出ず、掠れた息しかこぼれない。
叫ぼうとしてもそれは変わらず、ただ喉が焼けるような痛みを伴うだけだ。

嫌だ
置いていくな

手の先が冷たくなっていく。彼が唯一残してくれた温もりすら、時間は奪いさろうとするのだ。

また、独りになるのか?

こうなることを恐れて人を拒絶したのに、乾いた土地に染み込む水のように、彼は愛を注いでくれた。
一度その愛を知ると、発狂しそうなばかりに喉が乾くのだ。熱を知ると、ただ冷え行く体はその熱を思い出してしまうのだ。
孤独。
また暗い世界に独り置いてかれた。

冷え行く手を抱き締めて、刹那は泣いた。だが泣いても泣いても、涙はぞっとするほど冷たかった。
嗚咽すらこぼれず、愛しい彼の名も紡げず、ただ消え行く温もりを守ろうとすることしか出来なかった。



「ひとりじゃないよ」
高い声が、無音かと思われた世界に響いた。

冷えきる寸前の指先に、小さなものが二つ絡みついた。彼のものとは程遠く、あまりにも小さくこわれそうな指先だけど。

自分に似た褐色と、彼に似た白い肌の指。桜貝のような爪が、可愛らしい。
触れた先からじんと熱くなって、凍えた刹那の指を溶かしていく。

顔を上げれば、ぼんやりとした光の先に、自分と、彼の瞳に似た4つの瞳が、此方を見つめて微笑んでいた。





もうすぐ、あえるから
そう笑って、小さな二つの影は光に溶けていった。







鼓膜に痛い程の静謐だったはずが、機械的で規則正しい音が響く室内に変わったことに気づく。
うっすらと目を上げれば、目には眩しすぎる蛍光灯の白い光。
そして、手には暖かな温もりがあった。

「刹、那…?」

少女の声に顔を横に向ける。桃色の髪と、翡翠のような緑色と視線がかち合った。

「刹那」

驚いたように目を見開いていた少女が、ぱちりと瞬きをした。

「…フェルト」

彼女がいるということは。
ここは、死の世界ではないということだ。


生を確かめるように弱々しく握れば、フェルトはそっと両の手で、包み込むように握ってくれた。

「おかえり」

彼女の白い頬に、澄んだ透明な雫が伝った。
ぽたりと掌に落ちた雫は跳ね、自分の冷たいだけの涙とは違う、暖かさを伝えてくれた。
泣きながらもぎこちなく微笑んでくれる少女は、とても綺麗だった。






「刹那、聞いて」

計器が規則正しく自らの心音を伝える中で、幾分かかつての事務的口調が和らいだ声が鼓膜を揺らす。

「あれから、3ヶ月、寝てたの」
「ああ」
「仮死状態だった。再生医療を施しても、回復できるかは本人次第って、ドクターが」
「…ああ」

あの時。暗闇の中で、かつて愛した男を探していたのだろう。あの大きな掌を、握るために。

今ならわかる。
あれは、狭間だったのだ。


「怖かった。刹那が起きないかも、って思ったら。でも、ドクターがお腹に子がいるって言ったら、少し反応したの」
「え?」

思わぬ話の展開にポカンと口を開けると、フェルトは小さく、蕾が綻ぶかのような微笑みを浮かべた。

「3ヶ月…再生医療の時に体をスキャンして、気づいたらしいの」
呆然とする刹那を安心させるかのように、フェルトはぎゅっと、痛みにならない程度に手を握ってくれた。


「ロックオン、との赤ちゃん」


ロックオンという言葉に、痛切なものが含まれていることに気づく。
彼女もティエリアも、仲間の皆に慕われていた彼。しかし、刹那は間に合わず、
広い宇宙で永遠に彼を見失った。
恋仲、というには甘くなく、同僚というには深い関係だった。
お互いの戦場特有の熱と不安と感情、そして愛情をぶつけるために重なったことはあった。だが、彼は刹那を大切にしてくれた。危険日は必ず避妊してくれたのだから。

まさか。
全世界に攻撃の対象とされるギリギリの心理状態の為か、刹那は整理不順に陥っていた。
特に気にせず、刹那はロックオンの手を取り寝台に横たわったのだ。

こんな形で、妊娠するなんて。
だが、彼が目の前から消えた今では。


「ここに…」


ゆっくりと、繋いだままの手を腹部におとす。
まだ薄っぺらなそこには、彼が残してくれた、大切な命の欠片が存在しているのだ。

ひとりじゃない

鈴を鳴らしたような高い二重の声が、彼方から聞こえた気がした。

「双子だ」
「え?」
「この子は、この子達は、きっと…」
フェルトと繋いだ手に、腹部から伝わる鼓動を感じた。
それは刹那自身の心音に消えてしまうほど小さなものだろうが、きっと二重奏を奏でているのだろう。


お前を独りにさせるかよ




光の中で、まだ見ぬ子供たちを抱き締めた笑顔の彼が、脳裏に閃いた。

フェルトは不思議そうに、しかし穏やかな顔で刹那の手と腹部を見つめている。
ひとりじゃない。
刹那の頬に、温かい涙が滑った。








ロックオン。
お前は世界最悪で、世界最高のろくでなしだ。
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since:20071112


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