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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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今回は兄貴視点です。ほんのりロク刹。
ですが今回の兄貴はまだせっちゃんのことを罪悪感やら保護者意識で好きだと気づいていない感じです。せっちゃんは自分のことで思いつめているのでやっぱりロク+刹って感じですかね・・・?

この次の次辺りでばっちりハム降臨する予定です。
今回は指定なしですがやはり暗いのでご注意下さい。

最近刹那の様子がおかしい。
表面上は何も変わった様子を見せていないのだが、普段露出の少ない服を着ているにも関わらず線が細くなってきているのがわかった。夜も眠れていないのか隅も酷く、強力な睡眠薬を使っているとモレノが嘆いていた。

あの日から…丁度2ヶ月位前から、刹那は少しずつ変わっていった。

(へどが出るぜ…)

刹那は何も言わなかったけど、あの無人島で何がおこったのかわかっている。そしてそれが女性の心身共に深い傷をつけることをロックオンは知っていた。暗黒街にはそうして壊れて薬に走る女達は少なくなかった。
そんな目にあってもなおかつてのような意思の強い瞳を持つ刹那の強さにロックオンは驚いたのだが。
男のロックオンには想像できない程に、刹那は内側からズタズタに傷ついてしまったのだろう。それでも無表情を装い何事もなかったかのような素振りを見せる刹那が痛々しくて、しかし何も言うことが出来なくて。
こうして今日も、刹那の部屋の前に来ては躊躇っている。

元気を出せよ?
辛かったんだろ?

ありふれた言葉が浮かんでは、口に出す前に消えていく。男である自分がどの口でそんなことを言えるのだろうか。
うわべだけの慰めはむしろ彼女の傷を深くするだけだということは馬鹿でもわかる。自尊心の高い刹那にとっては特に。

「どうすりゃいんだよ…」

刹那が女だったということだけでも驚きだったのに。
もしこんなことになるとわかっていたら…救助にいくのがもう少し早ければ。

「…くそっ!」

あの状況で刹那もエクシアも無事だったのが奇跡に近いとスメラギには言われたが、自責の念にロックオンは吐き気までしてきた。
CBに入った時点で仲間がこうなるかもしれない覚悟はあった。いつの時代でも争いに身を置いている女性にはつきまとう問題だ。女を隠していた刹那とて可能性はあることを自覚していただろう。
だが実際に苦しんでいる彼女を見て、守りきれなかったことと声一つかけられない自分が情けなくて。
何がマイスターのリーダーだ。扮装根絶以前に、身近にいる少女一人守れないで。



「ぅ…ぁ…」

扉を背に唇を噛んでいると、微かにうめき声が聞こえてきた。
「刹那っ!?」

ただならぬ様子に声のかけ方なんてものは吹っ飛び、ロックオンは思わず部屋に飛び込んだ。幸いロックがかかっていなかった為に直ぐ様声がした方向に向かい、絶句した。
首から引っ掻いたのか血がいく筋も流れ、洗面台で荒く息をつく刹那がいた。タンクトップから伸びる腕は想像以上に細く、華奢を通り越して病的なものを感じる。
気配に鋭い彼女だったがロックオンが入って来たことにすら気付かず右手を腹部にあてて苦痛に顔を歪めていた。

「刹那っ」

駆け寄り今にも崩れ落ちそうだった彼女を抱きとめた。救助に来たときよりもなお薄くなった体。こんな状態でガンダムを通常通り乗っていたという事実が信じられない。

「はな…せ…!」

それまでなされるままだった刹那が、ロックオンを視認するなり払い除けようと手を振り上げた。だが力はこめられておらず、容易く止めることができる。

「刹那、大丈夫か?」
「やだっ放せ、放せぇ!!」
「落ち着け!」

彼女の目に誰が映っているかは明確だ。恐らく精神が磨耗しきった今の刹那にはどの男も同じに見えるのだろう。そう考え今まで極力触れないようにしていたのだが、そうも言ってられない。

「やめろぉっ…!」
「刹那っ!」

押し問答になっているうちに、刹那の爪がロックオンの頬にかすった。
一瞬おいたのちにロックオンの白い頬にぴっと赤い筋が入り、ぷつりと微かに血が溢れた。

「あっ…」

血を見たためかようやく刹那が正気を戻し、攻撃の手が止まる。

「大丈夫、ここはトレミーだ。誰もお前を傷つける奴はいないから」
「…ロッ、クオン?」

恐怖に歪められていた瞳が次第に冷静さを取り戻し、素直に体を預けてきた。顔色は大分よくなっていたが冷や汗が体を伝い、焦燥しきっている。

「…すまない」
「平気だよ、俺こそ勝手に入ってきて悪かった。」

笑って血を拭うも、気まずい沈黙が流れる。刹那もばつが悪そうに顔を伏せているし、ロックオンも今更どう話しかけていいかわからず、刹那を落ち着かせようと頭を撫でようとして、やめた。やはりまだ不用意に触れてはいけない気がする。
閉めきれていなかった蛇口の水音と刹那の未だに荒い呼吸がこの場の唯一のBGMで、沈黙を助長させている気がした。

「…それで、容態は?」

安心したのか瞼を半ば閉じた刹那に頃合いを見計らって問いかければ、一瞬ビクリと身をすくませた。

「特に問題はない」
「この状況で?」

なるべく刹那を怯えさせないように、だがはぐらかさぬよう厳しく追及すると刹那は視線をあわさぬようそっと自らの下腹部に触れた。

「睡眠障害、摂食障害及びそれにおける筋力の低下…それくらいだ」
「十分大問題だよ。体力なくちゃガンダムにも乗れねぇぞ。ともかく医務室行こう、な?」

そう言って彼女を横抱きにし立とうとすると、刹那が止めるようにロックオンの腕を、弱々しくだがしっかりと掴んできた。



「いい…」
「え…?」
「必要、ない!」

そう言ってロックオンの腕の中から逃れようと身を捩りったがバランスがとれなかったのか、そのまま彼女の体は地面に落ちた。
鈍い音と共に刹那はうめき声を上げ、体を胎児のように苦し気に丸めた。

「おい、大丈夫か!?」
「連れて…かないでくれ…」
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!」

再び抱き上げようとするも行かせまいとロックオンの足を掴み、刹那は痛みに顔を歪めつつもロックオンを見上げた。
その姿は普段見慣れている苛烈な視線をもつ刹那ではなく、何かに怯えすがるような瞳だった。
これが、刹那なのか?
弱々しくすがるように見上げてくる小さな少女が、刹那?


「女だとばらしたくないっ…」
そんな場合じゃ、といいかけロックオンははっとした。刹那は性別を隠しているのだ。当然刹那が敵に強姦されたなんてことはスメラギにでさえ言っていない。
刹那の要望で多少敵兵に拷問を受けていた、との報告で誤魔化している。

「ドクターにも言ってないのか?!」
「性別は知ってる…だがあの事、は言っていない」

刹那が下腹部をぐっと押さえた。きっと誇り高い彼女のことだから死んでも言わないのだろう。男として生きようとしていた刹那にとっては、信頼すべき医者にも言えないことに違いない。

「でもミススメラギなら大丈夫だろ。口軽い人じゃねえし、容態によってミッションプランを立ててくれる…」
「嫌だ!!」

体を丸めたまま、しかし刹那には強い意思の光が宿った。刃のような鋭い視線だが、その純粋さと鋭さの矛先が一つにしか向かっていないようで、どこか切迫したものを感じた。



「そんなこと言ったら、ミッションから外される…!俺は、ガンダムにならなくてはいけない…
少なくとも、あのユニオンのパイロットを倒すまで、俺は、エクシアから降りない…!」


憎悪、悲しみ、そして溺れかけすがろうともがいている子供の瞳。
ロックオンは何も言えなかった。
刹那は闘いが唯一の拠り所なのだ。
エクシアを駆り、扮装根絶の為に戦うマイスター。それが使命であり、また生きる理由。
ロックオンだってもし復讐を禁じられたらそれこそ生きる意味を、拠り所を失ってしまうだろう。それこそ気が狂ってしまう。
心身ともに刹那は傷を負っているが、何よりも恐れているのはエクシアから降ろされることなのだろう。その事実が刹那を追い詰め、更なるストレスを加えているのだ。



彼女はずっと、独りで戦っていたのだ。
誰にも事実を言えず、生きる意味を奪われまいと必死でずっと隠してきたのだろう。あの夜に怯えていたが、生きる意味を失わぬよう独りで苦しんできた。
ロックオンは話し掛け辛いからと、ずっと逃げてきただけなのだ。


「ごめん」

足元で倒れる刹那を思わず屈んで抱き締めた。この行為はもしかしたらあの夜のことを彷彿させるかもしれない。だが刹那は拒まなかった。なすがままに、ロックオンの胸のうちに収まっている。

「ごめんな、」
「何で、お前が謝る」

刹那は泣かなかった。素直に体を預けてはいるが、ロックオンの胸にすがろうとも手を回そうともしない。
ああ、こんな時位頼ってくれればいいのに。
どうしてお前は独りで戦おうとするんだ。

「どうして泣いてる」

気づけばロックオンの頬に一筋温かい涙が伝っていった。
刹那は不思議そうな顔でロックオンの瞳を子供のように覗いていた。
お前が泣けないから泣いてるんだ、なんて言えない。

「…ごめんな、刹那」

違うんだ、刹那。
お前がこんな状態なのに、「戦うな」なんて言えない自分の汚さに泣いているんだ。
無理にでも引き摺っていけば、刹那はガンダムからおろされるかも知れない。彼女は生きる意味を失うが、もうあんな目には合わないだろうし、これから先傷つかなくて済むかも知れないのだ。
だが、ロックオンには出来なかった。
今マイスターを一人失えば、と考えている自分が汚くて。こんなか細い少女一人守れない自分が、醜くて。
でも、マイスターの損失と、刹那の生きる意味を考えて、動けずにただ悔しくて泣いてる汚い大人の自分がいる。
彼女の小さな肩に降り注ぐものを少しも肩代わりできない自分が、悔しかった。


「ロックオン」

戸惑うように顔をあげた刹那の頬に、ポタリと温かいものが落ちた。
彼女は結局涙の一粒もこぼさなかった。








ああ、あの時。
刹那が拒絶して、泣き叫んでも医務室に連れて行くべきたったんだ。
例えそれが、彼女から生きる理由を奪って廃人にしたとしても。
だが、全ては遅かった。
刹那の生きる理由と、大人のエゴで、全ては手遅れになってしまったんだ。
刹那がもう少し弱ければ、俺がもう少し強ければ。
こんな結末にはならなかったのだろうに。
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