OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。

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茨城の王(違)第五段、回想編です。
棺を開けたなり倒れてきた青年を抱きとめると、驚くことに彼は腕の中で眠りに落ちた。
城を包む茨に傷つけられたのか、ぼろぼろの服と傷だらけの青年はあまりにも無防備に眠っているのか、気絶している。覚醒したばかりだというのに、グラハムは倒れ込んできた彼を介抱するために動かざるを得なかったのだ。
「君は馬鹿なのか」
がつがつとパンを齧る青年を前に、グラハムは呆れた顔でワイングラスを傾ける。
包帯を全身にまきつつ、人間社会に溶け込んでいる友人に無理を言って届けさせた食事を勢いよく片づけていく刹那を見つめる。
吸血鬼となった今、人間が食べるものを口にしなくとも生きていける。仕方なく彼に付き合うためワインを呑んでいたが、本当は血が飲みたくて仕方なかった。飢えているのは、彼だけではなく目覚めたばかりの自分もなのだ。
「何をしに来た?私を討ちに来た?まさか、私に喰われに来たわけではないだろう?」
「あんたと話に来た」
食事があらかた彼の腹に収まったころ、そろそろ馬鹿な行動を起こした青年の本心を聞こうとする。
ロクに寝ていなかったのか、目元にまだ微かに隈が残っている刹那が水を口にしつつ向き合ってくる。
「俺は剣を握ることしかできなかった」
あんたと同じだ。パン屑がついた口をごしごしとぬぐいとりながら、刹那はためらいのない瞳でグラハムを見据えた。
憎しみも焦燥も含まれていない、白銀の剣のごとく清廉とした、こちらが何故か引け目を感じるかのような輝き。
「だからあんたと戦った。吸血鬼達がこの国をゆがませていると信じていたんだ・・・だが、世界はそんなに単純ではなかった。」
永遠を生き、人よりも力を持つ吸血鬼。確かに際限なく欲望を持つものもいる、しかしそれはほんの一握り。大半の吸血鬼は長い時を一人で生き、化け物として崇め、もしくは恐れられ弾圧されている。人間社会にもろくにとけ込めず、浜辺で波にさらわれる小石のように、死も選べずにただ漫然とそこに存在しているだけなのだ。
「あんた達も生きているとわかったから、話をしてみたかったんだ」
「だからといって、何故私の元にくる?私が君に執着しているとわかっていての行動か?」
また君に剣を向けるかもしれないというのに、グラスを傾けながら心底あきれたまなざしを向けるも、葡萄酒よりも濃い赤の瞳は
硝子越しにでさえこちらを捕らえて放さない。
「あんたが、このままだと朽ちて死ぬだけと聞いたから」
「誰にだ」
「眼鏡の男に」
・・・どうりで食事の段取りがいいと思ったら、カタギリめ。余計な真似を。
深くため息をつき、飲む気が失せたグラスから口を放した。長い眠りから醒め、身体が血を欲して仕方がないのをワインを飲むことでごまかしていたが、さすがに限界を迎えた。目の前でグラハムがなによりも欲していた青年がいるというのに、当の本人は警戒心のかけらもなく座っている。
空腹の猛獣が眠る檻にいるというのに、大した余裕だ。彼の腰に携帯してあるかつてさんざん自分に傷を付けた銀の剣は堅く布で封じられており、抜くのに時間もかかるだろう。
「君を餌にする為に罠にはめた、とは考えられないのか」
「あの吸血鬼には悪意を感じなかった、そして、今のあんたにも」
「・・・ほう、よく言い切れるものだ。君に起こされたせいで私は腹が減っている。立ち去った方が無難だ」
ミイラになりたくなければな!そう毒づいて
グラハムは手の内にあったグラスを砕いた。
これ以上傍にいられると、本能に逆らえきれず彼の血肉を貪ってしまうだろう。戦意のないものをおそうつもりはない、しかし身体は裏腹に貪欲なまでに体温を放つ生命体を、その内に流れる赤き血を狙っている。
しかし青年は臆することなく座り続けている。血をもとめる吸血鬼の危険性は身に染みて感じているはずなのに、剣すら抜こうともせずグラハムの掌から輝きを放ちつつ落ちていくグラスの破片を見つめていた。
無性に腹が立った。
死を求めるグラハムにそれを与えず屈辱を与え、ならば永遠に眠ろうとすれば起してくる。
「俺は、あんたと話に来た。だからまだ帰るつもりはない」
そして今。立ち去れといっても彼は首を振りかたくなに対話を求めてくる。
理性が限界を迎えていた。彼の吐息が、空気を伝い伝わる体温が確実に無感動だったグラハムを揺さぶり、その皮膚の下に流れる熱い血が欲しいと喉がなってしまう。
室内を照らすろうそくの光が揺れ動くよりも前に、グラハムは力任せに青年を押し倒す。
椅子が音を立てて倒れ、ワイン瓶が軌跡を残し地に落ち砕け散った。
「忠告はした・・・」
より近くに感じる体温と匂いに舌なめずりをしつつ、グラハムは彼をにらみつける。
「人と吸血鬼はわかりあえない。私たちは人の理を越えた者。君が対話を求めようとも、私たちは常に渇いている。その血が欲しいと身体が疼く・・・姿形は人であるが、中身は全く違うのだよ」
捕らえたネズミを捕食しようとする鷹のように、グラハムは彼の腕を力強くつかむ。
脆弱な人であれば折れてしまいそうな強い力に刹那は顔を歪める。それでもまっすぐとこちらを見据え、剣を抜こうともしない。
生存本能と憎しみで首筋に噛みつこうとする。しかし彼の褐色の肌に唇は近づくも、刹那は動こうとしない。
「何故あらがわない?」
生きることを諦めたのか?みじろぎ一つしない刹那だったが、彼の瞳は相変わらず燦然とした輝きを放ち、とても死にたいようには見えない。
「何度も、いわせるなっ・・・、俺は、あんたと話しに来た。・・・戦うつもりは、ない」
「はなす前に、君が殺されるかもしれないのに?悠長なものだ」
「あんただって、俺を噛まないじゃないか」
それが答えだ。
血色の眼差しがろうそくの灯りに映されきらめく。
殺されそうになっている相手にいう言葉か?
しかし呆れると同時に彼の首筋にさっさとかじりつけばいいのに、かじりつけない自分が居ることに気付かされる。
「・・・あんたに俺を殺すことは出来ない」
腕を握る力が弱まったのか、刹那はそっとグラハムの手から逃れる。
言い返せす言葉が見つからず、なぜだかわからず狼狽していると、彼はふっと、茨に傷つけられた口元の力を緩めて言った。
「吸血鬼もそんな顔をするんだな」
無表情で吸血鬼を斬り捨ててきた少年のそれが、笑みだと気付くのにだいぶ力を要し、その間に食欲もどす黒い憎悪もどこか吸い込まれたかのように消え去っていた。
城を包む茨に傷つけられたのか、ぼろぼろの服と傷だらけの青年はあまりにも無防備に眠っているのか、気絶している。覚醒したばかりだというのに、グラハムは倒れ込んできた彼を介抱するために動かざるを得なかったのだ。
「君は馬鹿なのか」
がつがつとパンを齧る青年を前に、グラハムは呆れた顔でワイングラスを傾ける。
包帯を全身にまきつつ、人間社会に溶け込んでいる友人に無理を言って届けさせた食事を勢いよく片づけていく刹那を見つめる。
吸血鬼となった今、人間が食べるものを口にしなくとも生きていける。仕方なく彼に付き合うためワインを呑んでいたが、本当は血が飲みたくて仕方なかった。飢えているのは、彼だけではなく目覚めたばかりの自分もなのだ。
「何をしに来た?私を討ちに来た?まさか、私に喰われに来たわけではないだろう?」
「あんたと話に来た」
食事があらかた彼の腹に収まったころ、そろそろ馬鹿な行動を起こした青年の本心を聞こうとする。
ロクに寝ていなかったのか、目元にまだ微かに隈が残っている刹那が水を口にしつつ向き合ってくる。
「俺は剣を握ることしかできなかった」
あんたと同じだ。パン屑がついた口をごしごしとぬぐいとりながら、刹那はためらいのない瞳でグラハムを見据えた。
憎しみも焦燥も含まれていない、白銀の剣のごとく清廉とした、こちらが何故か引け目を感じるかのような輝き。
「だからあんたと戦った。吸血鬼達がこの国をゆがませていると信じていたんだ・・・だが、世界はそんなに単純ではなかった。」
永遠を生き、人よりも力を持つ吸血鬼。確かに際限なく欲望を持つものもいる、しかしそれはほんの一握り。大半の吸血鬼は長い時を一人で生き、化け物として崇め、もしくは恐れられ弾圧されている。人間社会にもろくにとけ込めず、浜辺で波にさらわれる小石のように、死も選べずにただ漫然とそこに存在しているだけなのだ。
「あんた達も生きているとわかったから、話をしてみたかったんだ」
「だからといって、何故私の元にくる?私が君に執着しているとわかっていての行動か?」
また君に剣を向けるかもしれないというのに、グラスを傾けながら心底あきれたまなざしを向けるも、葡萄酒よりも濃い赤の瞳は
硝子越しにでさえこちらを捕らえて放さない。
「あんたが、このままだと朽ちて死ぬだけと聞いたから」
「誰にだ」
「眼鏡の男に」
・・・どうりで食事の段取りがいいと思ったら、カタギリめ。余計な真似を。
深くため息をつき、飲む気が失せたグラスから口を放した。長い眠りから醒め、身体が血を欲して仕方がないのをワインを飲むことでごまかしていたが、さすがに限界を迎えた。目の前でグラハムがなによりも欲していた青年がいるというのに、当の本人は警戒心のかけらもなく座っている。
空腹の猛獣が眠る檻にいるというのに、大した余裕だ。彼の腰に携帯してあるかつてさんざん自分に傷を付けた銀の剣は堅く布で封じられており、抜くのに時間もかかるだろう。
「君を餌にする為に罠にはめた、とは考えられないのか」
「あの吸血鬼には悪意を感じなかった、そして、今のあんたにも」
「・・・ほう、よく言い切れるものだ。君に起こされたせいで私は腹が減っている。立ち去った方が無難だ」
ミイラになりたくなければな!そう毒づいて
グラハムは手の内にあったグラスを砕いた。
これ以上傍にいられると、本能に逆らえきれず彼の血肉を貪ってしまうだろう。戦意のないものをおそうつもりはない、しかし身体は裏腹に貪欲なまでに体温を放つ生命体を、その内に流れる赤き血を狙っている。
しかし青年は臆することなく座り続けている。血をもとめる吸血鬼の危険性は身に染みて感じているはずなのに、剣すら抜こうともせずグラハムの掌から輝きを放ちつつ落ちていくグラスの破片を見つめていた。
無性に腹が立った。
死を求めるグラハムにそれを与えず屈辱を与え、ならば永遠に眠ろうとすれば起してくる。
「俺は、あんたと話に来た。だからまだ帰るつもりはない」
そして今。立ち去れといっても彼は首を振りかたくなに対話を求めてくる。
理性が限界を迎えていた。彼の吐息が、空気を伝い伝わる体温が確実に無感動だったグラハムを揺さぶり、その皮膚の下に流れる熱い血が欲しいと喉がなってしまう。
室内を照らすろうそくの光が揺れ動くよりも前に、グラハムは力任せに青年を押し倒す。
椅子が音を立てて倒れ、ワイン瓶が軌跡を残し地に落ち砕け散った。
「忠告はした・・・」
より近くに感じる体温と匂いに舌なめずりをしつつ、グラハムは彼をにらみつける。
「人と吸血鬼はわかりあえない。私たちは人の理を越えた者。君が対話を求めようとも、私たちは常に渇いている。その血が欲しいと身体が疼く・・・姿形は人であるが、中身は全く違うのだよ」
捕らえたネズミを捕食しようとする鷹のように、グラハムは彼の腕を力強くつかむ。
脆弱な人であれば折れてしまいそうな強い力に刹那は顔を歪める。それでもまっすぐとこちらを見据え、剣を抜こうともしない。
生存本能と憎しみで首筋に噛みつこうとする。しかし彼の褐色の肌に唇は近づくも、刹那は動こうとしない。
「何故あらがわない?」
生きることを諦めたのか?みじろぎ一つしない刹那だったが、彼の瞳は相変わらず燦然とした輝きを放ち、とても死にたいようには見えない。
「何度も、いわせるなっ・・・、俺は、あんたと話しに来た。・・・戦うつもりは、ない」
「はなす前に、君が殺されるかもしれないのに?悠長なものだ」
「あんただって、俺を噛まないじゃないか」
それが答えだ。
血色の眼差しがろうそくの灯りに映されきらめく。
殺されそうになっている相手にいう言葉か?
しかし呆れると同時に彼の首筋にさっさとかじりつけばいいのに、かじりつけない自分が居ることに気付かされる。
「・・・あんたに俺を殺すことは出来ない」
腕を握る力が弱まったのか、刹那はそっとグラハムの手から逃れる。
言い返せす言葉が見つからず、なぜだかわからず狼狽していると、彼はふっと、茨に傷つけられた口元の力を緩めて言った。
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「非晶質。」にようこそ。
ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
初めての方は「ハジメニ」を読んでください。わからずに突き進むと大変なことになります。
にょただらけなので苦手な方はご遠慮ください。
感想、誤字脱字、その他管理人に突っ込みたい方は最下部のメルフォからか、↓の☆を@に変えてお願いします。
ham_otomeza_12g☆yahoo.co.jp
管理人:流離
since:20071112
更新停止中。twitterで色々妄想してます。
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