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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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劇場版ネタバレ含んだ刹フェルです。



行かないで。
ここにいて。

ふらふらとしている彼の背中を見つめながら、何度も言葉が喉からこぼれそうになっては沈んでいく。引き留めたくなるのを懸命にこらえ、フェルトは暗い通路を突き進む刹那の背を追った。
折角目覚めたというのに、彼はまた死地へと赴いていく。人類の希望を背負って。
彼がいかなくては、地球は壊滅的な被害を受けるだろう。だが、行ってもなんとかなるという確証はない。絶望的な状況なのだ。
それでも彼にかけるしかない、イノベイターである刹那に。
それでも、行って欲しくない。
行ったら、彼は帰ってこないだろうから。
ただ苦しむ刹那を見守ることしかできなかったときも、フェルトはそのジレンマに苛まれていた。彼が目覚めても、結局は戦いに向かってしまう。それは、彼にとって本当に幸せなのかと。
・・・それはエゴだと自身でもわかっていた。戦いたくないから、失いたくないから。ただこれ以上大切な人を失いたくない為に戦っているフェルトと刹那とでは、幸せの概念が違うと言うことが。
ならば、最後くらい涙をこらえて、笑顔で彼を送り出そう。
それくらいしかもう、刹那にできることはないのだから・・・

未だこぼれる涙をこすり、迷いなく進んでいく彼の背を見据える。格納庫までもうすぐだ。口元に無理に力を入れ笑おうとしていると、刹那の背が急に止まった。

「きゃっ・・・」

ぶつかりそうになったフェルトの体を、刹那の手が受け止める。

「ご、ごめんなさい」

最後の最後まで彼の負担になってしまった。慌てて体を離そうとするも、もう少しこのままでいたいと思ってしまい、フェルトは顔を上げた。

「刹那・・・」

こちらを見つめる赤い瞳。おそらくもうみることのできない、無表情だけど誰よりも未来を想う眼差し。
もう泣かないと決めたのに、涙があふれてくる。ここ数ヶ月、涙腺が緩みっぱなしだ。
弱い姿を見せたくないのに。
あなたがいなくなった後も任せて、と言いたかったのに。
ぐちゃぐちゃな想いで、それでも行かないで、といいたくなるのを刹那の胸に顔を押しつけることで堪えていると、刹那が腕に力を込めてきた。

「フェルト」

髪をなでる感触に、フェルトは顔を上げた。ニールとは違い、不器用な手つき。

「花、ありがとう」
「花?」
「あの花のおかげで、戻って来れた」

2年前、リンダさんからもらい刹那に渡した花のことだと気づき、しかしそれはダブルオー損壊時に失ったはずだと首を傾げる。

「ありがとう」

しかし刹那はそれ以上語ることもなく、きょとんとしているフェルトにほほえみを浮かべた。
その笑顔は、これから死地に赴くとは思えないほどの穏やかな顔で。
どこか張りつめていた今までの表情とは違うものに、フェルトも肩の力が抜ける。
そして同時に悟った。

刹那は、フェルトも、世界ごと想っていてくれたのだと。


「お前は、花を残していってくれ」


アラームがトレミーに鳴り響いた。あまり時間はないことを二人は悟る。

「刹那!」

だから最後にフェルトとしての想いを伝えたかった。
答えはいらない。彼の愛は、理解したのだから。
とん、と床をけり、彼の唇に自らのものを重ねる。
ほんの一瞬。最後の勇気。
感触なんて覚えていない。ただ、刹那に伝えたかったのだ。
生きてと。
私はいつまでも、貴方という存在を想っていると。
少し驚いているらしい刹那から自分から身をはなし、涙はこぼれていたものの笑顔で言うことができた。

「行ってらっしゃい」
「・・・ああ」

艦を震動が襲う。
仲間のためにも、今懸命に戦っている人類のためにも。フェルトの想いを受け取ったのか、刹那は力強くうなずき、ヘルメットを被りながら格納庫へと向かっていった。
・・・これでいい。
これ以上引き留めても、どうしようもない。
あとは、自分にできることをするだけだ。フェルトも覚悟を決め、ヘルメットを被る。
父や母、ニールやクリスリヒティがみたかった世界を守るために。
大切な人をこれ以上失わないために。
そして生きて花を咲かす為に。
フェルトはブリッジへと引き返そうと、涙を振り払いレバーを握り返した。



宇宙に咲いた一輪の花をみて、皆があり得ない現象を前に驚いている中スメラギが振り返る。
フェルトもまた信じられなかった。
しかし、誰の仕業かはすぐに理解できた。

「刹那・・・」

この想いは、確かに届いていたのだ。
花という象徴に姿を変えて。
ならば私は、貴方の残してくれたものを守ろう。
この空を、あの花を。もう貴方を失わぬように。
いつのまにかフェルトの口元には、自然に笑みが浮かんでいた。



フェルトが最後に「死なないでね」と言ってかなかったのは、送り出す覚悟があったのかなと。
失うことを一番恐れていたか彼女だからこそ刹那が倒れている時にそれでも行かなければならない刹那のことが不安で、自分の中で葛藤してたけど発進の際に微笑んだのは
もう会えない覚悟をして、それでも思い続けようと踏ん切りついたのかな~とぼんやり考えています。
んでフェルトは失恋しただの言われてますが個人的には刹那も彼女の想いを受け取って、だからこそ花が咲いたのかと勝手に思っているのです。
まあ男女の恋愛的には失恋したと言えるだろうけど、フェルトが刹那とデートしたり結婚したかったかと言われればあんまりそんな感じはしないし…
刹那もフェルト完璧にスル―してるように見えて、一期での小説ではフェルトがニールを悼むのを「世界」のあり方(うろ覚え)と思ってたり、家族愛というか、
人としての温かさは大分フェルトから学んでたんじゃないのかなと。妹という形で。だからこそ「人間」であるフェルトの温かさというかそういうものを意図的に避けていたのかもしれない。
個人の幸せは追い求めていない感じだっし。うんうまく言葉にできない。

ともかく刹フェルは家族愛に限りなく近いぎこちない恋愛というか、いじらしさが可愛くて好きです。
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