OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。

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突如身を包んだ眩い光に、ソランは思わず立ち止まってしまう。
戦場において、立ち止まることは動かぬ的と化すこと、即ち死を意味する。しかし、ソランの体に衝撃が走ることはなかった。それどころか、走り続けて、心臓が破けてしまいそうな程の鼓動が嘘のように静まり返っていた。
「どうして…?」
驚き周囲を見回せば、蜂の巣と化し崩れるのが時間の問題となっている壁も、こちらを執拗に狙い、銃口を向けていたアンフの影すら消え失せている。
神の国に行ったのか?
俺は、死んだのか?
しかしソランの疑問は立ち消える。
眼を焼きしばらく視界を奪っていた光に慣れ、ソランは目前に広がる光景に驚愕し、銃を取り落とした。
一面、花であふれる世界だった。
青い水面の下に色とりどりの花が咲き誇り、ソランが先程取り落とした銃もいつのまにか花が覆い尽くし、無骨な鉄塊はいつのまにか黄色い柱に変わっている。
こんなの、アリーの教えでも聞いたことが無い。
軽くなった体で、ソランは言葉すら発することもできずにこの世界で一人立ち尽くしていた。
ソランが見てきた世界にこんな光景はなかった。
一輪程度の花はみることがあっても、ここまで群生し、世界を覆い尽くしている等、想像すらできなかったのだ。ましてや、水の下で咲く花なんて。
ここには危険もなく、追うものもいない。波紋さえ広がらない世界を見回し、立ち尽くす。
ソランは恐る恐る、花畑へと歩みを進めた。花を踏みつぶしてしまわないか、と一瞬不安が横切ったが、靴裏にくしゃり、と潰れる感触もなく、安心して歩き出す。
どれくらい歩いたのだろうか。
温かい陽光の元、ソランは花で覆われている巨大な塊を見つけ、歩みを止めた。
それは膝をついた巨人のようだった。
無骨なフォルムではあるが、花で覆われていることもありアンフのような威圧感はほとんどない。
何故か、その巨人にソランは見覚えがある気がした。
そっと近づき、触れようとする。
次の瞬間、物理的な感触はなく、変わりにソランの心に直接触れるかのような思念が伝わってきた。
*
「フェルト、そろそろ一旦休んだら?」
柔らかな声の女性と、短髪の男が桃色の髪をした女性の背中を気遣わしげに見守っている。
しかしフェルトと呼ばれた彼女は振り返ることなく、黙々とキーボードを叩きモニターを睨みつけていた。
「あと少ししたら休みますから」
「そんなに焦らなくてもあいつならまだ帰ってこないだろうに」
「それでもいいです、でも」
女性が振り返る。隈が刻まれてはいるが大きな緑柱石の瞳が、きらりと輝いた。
「彼が…刹那が帰ってくるまでに、この世界を花で一杯にしたいんです。折角咲いた花も、この前の大戦で散ってしまったから」
「フェルト…」
「帰ってきた時…彼が笑ってくれるように。私が先に逝っても、花が迎えてくれればいいの」
そう呟くと、フェルトはモニターを見つめる。
そこには中東に適した花々と、大地を肥沃化させるための効率良いシステムを構築するための式が浮かび上がっていた。
「中東に花を咲かせて、踏みにじられないようにする為にも…」
妙齢の女性がそう言ってまたモニターに向かい、背後の二人が同時に肩を竦め微笑みあった時。ソランは、花畑に戻っていた。
*
だれだ?
ソランは彼等を知らないはずだった、しかしどこか懐かしい気もして、不思議な感覚に心がざわつく。刹那、という耳慣れない言葉にも。
妙な感覚ではあるが、不快ではなかった。むしろ、もっと知りたくてソランは手を伸ばす、
草花の柔らかい感触はせず、再びソランの心に温かい何かが流れ込む。
赤い線を残しては消えていくだけのモニターを眺めている茶髪の少女と見守る夫婦。
腹が膨んでいる女性に導かれ、おっかなびっくり手を腹部に押し当てているオッドアイの男。
穏やかな顔で十字架と墓石に向かい、語りかけている長身の男。
花を抱えて微笑む女性と、共通の指輪をしている青年。
赤髪の女性と彼女にそっくりの幼子に振り回されているポニーテールの男。
後ろをしつこくついてまわる男に呆れつつも柔和に微笑む眼鏡の女性。
皆ソランが知らない人間だった、
だが、彼等の姿を追う度に、ソランの地面を踏みしめていた筈の足元が浮かんでいくような気がして、気がついたら巨人に触れていた筈のソランの体は、いつのまにか暗い宙に浮かんでいた。
彼等は幸せそうだった、
それ故、ソランは入り込んではいけない気がした。
神の国に行く。その為に『儀式』を行い、ソランの手はそれからずっと真っ赤なのだ。
思わず手を離そうとする。
しかしその手は、いつの間にかだれかに掴まれていた。
『なにやってんだよお前さんは』
片目を覆った青年に苦笑される。知らない男に笑われるなど、ソランには不快感しかない、はずだった。しかし、ソランは振り払うことなく、湖色の瞳をみつめる。出来なかったのだ。
『過去は変えられねえ。でも、未来は変えられる。お前は変えたんだよ』
俺にできない事をやった。そう言って青年は微笑み、ソランの頭を叩くように撫でる。今度は大きな掌の感触をしっかり感じ、ソランは目を見開いた。
『そうっすよ』
『私たちが欲しかった未来に』
『お前は、変わったんだ。変わって、未来を切り開いた』
微笑を浮かべる男女と、隻眼の男。ソランは彼等を知らない…いや、まだ知らないのだ。
近い未来、彼等と出会う。そして…すぐに失ってしまうのだ。
懸命に手を伸ばした。しかし、彼等は首を静かに振り、「まだ駄目だ」と言いたげに苦笑して見せた。
『お前には、まだやることが残っているよ』
『そうだ、少年』
背後から不意に腕が伸び、ソランは彼等の下に辿りつけない。
なにをする、邪魔をするなと叫ぼうとする。しかし振り返ったその時には、背後に金髪の男しか立っていなかった。
『少年、私は言ったはずだ。生きて未来を斬り開けと』
顔の半分を傷で覆われた男は、凛とした表情でソランを叱責した。
『生きて、その目で君が掴んだ未来を見届けるんだ』
私は君が役目を終えるのを、気長に待とう。
柔和に微笑んだ後、男はソランの背中を押した。目前に広がる青い星へ。
『何もできない俺たちの分も』
『この世界を、見届けて』
ソランは叫んだ。彼等の名前をありったけの声で。
しかし、身体は見守る彼等からどんどん離れていき、吸い寄せられるように輝く星へと落ちていく。
『お前はまだ生きているんだ、刹那』
ソランの瞳が、金色に輝く。
そうだ、俺は生きている。
彼等の想いも抱いて、俺は…刹那・F・セイエイは生きているんだ…
急速に体が重くなる。小さかった四肢はいつの間にか伸び、先程まで握っていたマシンガンの代わりに、刹那は操縦桿を握りしめていた。
『ELSの記憶を受け止め、君自身の情報が混濁していたようだな』
ホログラムのティエリアが、安堵の微笑みを浮かべて覗きこんできた。
刹那も「すまない」と微笑を返し、量子ジャンプを行おうとソードビットを展開させた。
「帰ろう、俺たちのミッションはまだ終わっていない」
―会いに行こう、彼女に。
俺が、俺達が変えたかった世界になったことを確認する為にも。
蒔いた種が芽吹き、咲き誇っていることを。
そして彼女なりの戦い…解り合うことが、正しかったことを告げる為に。
役目を終え物言わぬ鉄塊と化したクアンタから離れ、刹那は青空の元、一輪一輪が可憐に咲き誇る花畑へと降り立った。
そことなくハムプッシュしてるのは私の趣味です
せっさん世界巡りソラン版ということで
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ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
初めての方は「ハジメニ」を読んでください。わからずに突き進むと大変なことになります。
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管理人:流離
since:20071112
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