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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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ティエ様お誕生日おめでとうございます!むしろ製造日・・・げふっげふ
今回はティエ刹百合を書こうと思ってたのですがいいのが思いつかなかったために珍しくカプ無しになりました。
刹+ティ+フェルのお花ちゃんを目指して思いのほかシリアスになったという話。


「今日はティエリアの誕生日ね!」

報告がある為にティエリアがブリッジに入ろうとすると、まってましたといわんばかりにスメラギが立ちふさがっていた。

「誕生日?」
「やだ、自分の誕生日忘れてたの?貴方こういう所抜けてるわよね」

眉根を寄せてみればスメラギは呆れたと苦笑し、しかしすぐに「パーッと祝いましょう!」とウィンクすると、いつの間にか用意しておいたボトルを押し付けてきた。

「スメラギさん!料理の手配はばっちりですぅ!」
「でかしたわミレイナ、ほら、ティエリアブリーフィングルームに行くわよ」
「え、あの…」

重大な決意をし、言おうと思った言葉は口に出す暇もなく、ティエリアはスメラギにずるずると引きずられていった。
ブリーフィングルームへの自動扉が開いた瞬間、困惑したティエリアに向かってパンッと間抜けな音と共に色とりどりの細かなテープが勢いよく降り注いできた。

「…っ?」
「「「HappyBirthday!」」」

扉の先には満面の笑みを浮かべたクルーが、クラッカーを手に待ち構えていた。こういうのに参加しそうもない刹那やロックオンまでもが、微笑を浮かべている。

「ほら、貴方もぼさっとしてないで!」

今日の主役は貴方なんだから!そういうとスメラギは珍しく目を丸くしているティエリアの背中を押し、輪の中に突き飛ばした。

「んじゃ、ぱーっと誕生日パーティーの始まりよ!」

スメラギが高らかに宣言し、どこからかともなくまたボトルを取り出すと皆一斉に手持ちのそれを掲げた。

「ティエリアも!」

唖然としていたがスメラギに肩を叩かれ、ティエリアもまた先ほどのボトルを思いだし取り出した。

「乾杯!」

チン、とグラスのような軽やかな音は出なかったが、皆優しい笑みを浮かべて銘々のボトルをぶつけてくる。
祝福の言葉をかけられ、ティエリアもまた表情をほころばせる。しかし心の奥底にたまる冷たさと疑問で、暖かな空気に包まれるブリーフィングルームでティエリアは立ち尽くしていた。




「ここにいたのか」

誕生日パーティーということを忘れ、どんちゃん騒ぎで熱気に包まれている室内をそっと脱け出し展望室で一人ガラスに手をついていると、刹那とフェルトが並んでやってきた。

「…迷惑だった?」
「いいや、断じて違う」

フェルトが気遣わしげに覗きこんできて、ティエリアはゆるく頭を振る。
彼ら自体の心遣いは嬉しい。
去年もその前も誕生日パーティーをやらないか、と提案されたが「まだ刹那やアレルヤが見つかっていないのにそんなことはでききない」と断ってしまっていたのだ。
フェルトもまた今年は出来ると踏んで色々用意していたことは知っている。
だが。
鏡を横目に見る。同じ顔、遺伝子をもつ存在の言葉が脳裏に響く。
人間を超越した存在、イノベイター。
不老かつ人類を宇宙へと導く高尚な存在。
自分が歳をとらず、人ではない存在だということは知っていたが、それでも人間ではない存在だということの証を告げられ動揺しているのは否定できない。
何よりも人として生まれず、歳をとることもない自分に誕生日パーティーを開かれるのは、あまりにも滑稽な気がした。しかも、自分がトレミーの存在意義に反するイノベイターと同様の存在ということを告げようとした矢先に。
ほろ酔いになり、ロックオンに絡むスメラギや楽しげに飲み交わすアレルヤとマリー、整備の話で盛り上がっているイアン達の中にいるうちに、彼らは自分とは違って歳をとり、いつかおいてかれてしまうと思ってしまって。(それ以前に自分達は戦いの中にいるのだから自分の方が先に死ぬ可能性もなくはないだけ救いがある。)
それ故に、楽しめきれない自分がいるのだ。

「すまない、少し熱気に当たっただけだ…すぐに戻る。」

そして四年間のうちに覚えた笑みを浮かべれば、刹那とフェルトはそれでも気にしているのかその場を離れない。
こうしてみると、二人は随分成長した。
5年前は二人とも今より小さく無表情で、冷めた目でティエリアを見上げていただけというのに。
それが今ではフェルトは感情表現が豊かになり、女性らしい仕草を見せるようになった。刹那はいまやティエリアと同じ程の背丈になり、僅かだが笑みを浮かべるし今のように石榴石の瞳を気づかうように向け、どうしていいかわからないという顔をしていた。
彼らもまた、先代ロックオンと出会い変わったのだ、
ティエリアもまた変わったと言われた。自分でも人間というものを理解できたと思う。
だが彼らのように劇的な変化を遂げるわけでもなく、ロックオンの歳に近づき成長し続ける彼らをなすすべもなく見守るだけなのだ。
ガラス越しにうつる、5年前と全く変わらない姿。
少しだけ、彼らに…人間に、嫉妬してしまう。
かつては短命だというのに争いを繰り返す、愚かな生き物としか思っていなかったというのに。

「ティエリア」

ぐっと拳を握り、現実から目をそらそうとすれば、刹那が歩みよってきた。

「…わたしそびれていた」

かつてより一回り大きくなった手を差し出してくる。
摘ままれた銀色のチェーンがキラリと揺れ輝く。その先のペンダントトップに、強く硬質な光を放つ何かがあった。

「ダイアモンド?」

炭素の単結晶。それでいて地球上の現存する何よりも硬く透明に結晶した鉱物。

「刹那と二人で考えた、ティエリアに似合うかなって」
「これなら邪魔にならない。モース硬度10だから摩耗しないし、欠けたりしない…気に入ったならつけててくれ」

男にあげるものかはわからないが、と困惑した表情を浮かべる刹那と、気に入ってくれるかと緊張しているかのように翡翠の瞳を揺らすフェルト。
ゆらゆらと手の震えで揺れ、その度にまぶしい光を放つそれ。
自分と同じく、不滅に近い存在。
まさか、それを考えて?
思わず彼らに視線をうつせば、どこか二人が、寂しげに笑った気がした。
例え刹那達が、皆がいなくなり取り残されたとしても、その輝きはティエリアの胸に残り続けるだろう。
それは時に残酷なのかもしれない。取り退けされたという証だけが、残るのだから。

「不屈の精神・・・ティエリアにあっていると思っているの」
「・・・確かに、この石とお前は似ている気がする」

だが、彼らの言葉で自分の予想が卑屈から来た不可読みだと悟り、ティエリアはふっと目を閉じ笑みを浮かべた。
訂正、5年たっても彼らは彼ら、純真な子供のままだった。
変わりゆくだけではない。彼らもまた、変わらないところがあることに人知れず安堵する。
そして、この石に込められた、本当の意味。
不屈の精神。
そうだ、僕はCBの理念のために生まれたもの。
そしてロックオンを継ぐもの。
彼の、そして刹那達と共に人々を率いるのではなく促すことにより紛争根絶を目指すもの。
イノベイターではない、CBのティエリア・アーデなのだ。



「こういうものは、女性に贈るものではないか?」

そうからかいを込め指摘すれば、刹那は苦虫を噛み潰したかのような顔になり、フェルトは顔を赤らめた。
恐らくフェルトが提案したのだろう、女性が多い宝石店を彼女とともに回り、居心地悪そうな刹那と選ぶのに夢中になって気付かないフェルトを想像して、くすりと笑う。
何故笑われてるのかわからず、むっとした顔の刹那の手からネックレスを奪い取った。
細いプラチナのチェーンの留め金を外し、首に回せばなかなかかみ合わずに思いのほか手間取った。自然に眉根が寄せられ、今度はその様子がおかしかったのか刹那が少しだけ吹きだしぎろりとにらみつけた。
すかさずフェルトが手助けしてくれ、気恥ずかしいながらもなんとか着けることに成功した。

「もう一度言う・・・生まれてきてくれて、ありがとうティエリア」

はにかんだような笑顔で刹那とフェルトが祝福をしてくれた。
とん、と鎖骨にダイアモンドのペンダントが収まる。
その孤高なまでの輝きを認めると、ティエリアは今度は真っ直ぐと向き合った。
ガラス窓越しに、ちらりとダイアモンドの光が反射した。
同じ顔のイノベイターである彼の存在も、成長しない自分の影も打ち払うかのように、強く星のように瞬いた。

「僕も、生まれでて君たちに会えてよかった」







ダイアモンド

ああ、それでも願わくば、
滅びの運命をたどり、この星の輝きを閉じ込めたかのような炭素の結晶と共に燃え尽きることができるよう。











ティエは一人だけ成長しない事をここ4年間で密かにネックに思ってたらいいなと思いました。
もし彼だけ取り残される展開があったら可哀想だけど・・・変わる世界を見届けるティエとかもありえそうだ。うう・・・
勿論全員生存エンドが一番いいのですが監督的にありえなさそうだなあ・・・
誕生日なのに湿った話になってしまい申し訳ございませんティエ様。
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ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
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管理人:流離

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