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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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拍手差し換えのために格納。
刹那ハムに対する認識が変わる編。






初潮。


大人。


女性。




カタギリがなにかを延々と話してくれているのだが、全然に耳に入らなかった。

最初に発された言葉に、思考をつかさどる部分の大部分を奪われて。




自分には縁が無い話と思い込み、無視していた事実。

クリスティナやフェルトが、ルイスがポーチをもって忽然といなくなる理由を知ってからも、遠い世界の話と決め込んで見ていた。



嘘だろ、と思う。しかし今腹部を襲う痛みが、無慈悲にもリアルに証言している。



「それでね、君は子供を産める体になったんだよ、これは保健の授業でも・・・って刹那さん?」
嘘だ。


嘘だ。


嘘だ。





父らしきものは物心ついたころには既になく、自分には母しかいなかった。




「ソラン、あなたは男になるのよ」



そういって母は優しく抱き寄せ、そっと錆びた鋏で刹那の髪を掬った。


「うん」



じょきり。鈍い音とともに、ぱらりとおちる黒い髪の房。


空中で分解して、広がって地に落ちる。


どんどん地を埋め尽くすその様子を見て、ああ、自分はもう女ではないのだなと悟った。




クルジスでの女性の地位は、今現在も低い。

ひたすら家にこもり、男の帰りをまつ。ただ、それだけ。


父という稼ぎ手を失い生活に困った女達に残された手段は、これしかなかった。




男のふりをする。



幸いというべきか刹那は少年めいた顔立ちをしていた為、ばれることはなかった。

アリー・アル・サーシェスに選ばれ、母を殺した後も、女性であるということは生活上に不利であることは変わらなかったため隠し通した。アリーは気づいていたみたいだが。




こうしてCBにいて、女子学生として暮らしている今でも、その意識は変わらなかった。現にスカートも制服以外はもっていない。
クリスティナに服や化粧品やらを押し付けられることもあるが、なんの魅力も感じず部屋の隅に放っておいた。




自分は、女ではない。




母に髪を切られたあの日から、そして、殺したあの日から、それは変わらない。


女ではないから生理は来ないものだと、思ってたのに。


今日という日を境に、その事実はあっけなく崩壊した。








「えーっと・・・・刹那さん?大丈夫?」


目の前で手を振られ、刹那は飛ばしかけていた思考をはっと戻す。視線の先には気遣わしげにレンズ越しの瞳を細めるカタギリ。

鎮痛剤効いてない?と聞いてくる彼に大丈夫ですと呟くように言う。鎮痛剤はごく弱いものだったらしく多少痛みが残ってはいるが、マイスターたるもの、あまり薬に頼ってはいけない。


「そう・・・まあ、とりあえず今日はゆっくり休んで。初めてのことで体が慣れていないから痛いと思うけど、次からはそんなに痛まないと思うから。くれぐれも体を冷やさないでね。」



「・・・はい」


「一応薬とカイロあげるけど、あんまりひどかったら産婦人科行って見てもらって。あ、お迎えが来たみたいだね」



エンジンの音。カタギリにならい窓の外を見ると、ロックオンの愛車である白とグリーンの外車が校門前に止まっていた。

どうやらわざわざバイト先から来てくれたらしい。朝の邪険にしてしまったという後悔からか、少しだけ胸が痛む。

夕食の手伝いぐらいしてやろう。



「わかりました。有難う御座います。」


そういって、ベッドからそっと降りる。一瞬立ちくらむが、鎮痛剤のお陰か随分楽になった。

沙慈が置いてってくれたのだろうか、鞄を手にして「さよなら」と引き戸を開けようとする。


「あ、ちょっと待って」


カタギリの言葉に振り向くと、少し悪戯を思いついたような顔をして笑いかけてきた。

一瞬彼の友人である変態のことを髣髴させ、眉間に皺を寄せてしまう。



「・・・なんですか」


「言い忘れたけど、君を運んできたのはグラハムだよ。」





カタギリの言葉に硬直する。



「長い間の付き合いだけどあんな取り乱した顔は見たことなかったよ。いやあ面白いもの見させてもらった。随分君の事気にしてたみたいだったからさ、今度会ったらお礼でもいっておいたら?」


やりすぎると調子乗ると思うけどね、と可笑しそうに付け足して、呆然と立ち尽くす刹那を尻目に「お大事に」と扉を閉めてきた。




一人廊下に残され、ぽつんと突っ立っている。





う、嘘だ・・・


思わず床に座り込んでしまいそうになる。しかし否定をしたいのになぜかようやくクリアになってきた頭に気を失う前の記憶が思い出される。

あのとき、確かに俺はグラハム・エーカーと出合った。

そして・・・




「嘘だ・・・」



顔の中心に血が集まる。紅潮していく顔。

嘘だ、と被りを振っても思い出されるのは彼の腕の中の熱で。

今更ながら羞恥心が刹那の自尊心を襲う。





不覚にも、あのとき心臓の鼓動が早くなっていた。





「嘘だ・・・」













刹那が中々出てこない。

大学院が休みでバイトをしていたが、保健医らしき人物から電話をもらい、飛んで出てきたものの校門で待っているはずの刹那の姿がなくて。

もしかして自力で歩けないほど具合でも悪いのか?

滅多に病気をしないからこそ、心配で仕方が無い。

校内まで迎えに行こうかと思いドアを開けかけたその時、後者から見慣れた姿が現れた。



「刹那!!」


慌てて鍵もかけず飛び出し、彼女の元まで駆ける。

足取りは少しふらふらしているが、歩けるようでよかった。




「・・・刹那?」

だが少しだけ様子がおかしい。

刹那はロックオンに気づいて視線を上げたが、マフラー代わりのターバンで顔の半分を覆い隠している。


「せ、刹那?どうかしたか?」

「・・・別、に」


一瞬だけロックオンの姿を認めると、刹那はすぐ視線を落としてしまう。

どうみても、おかしい。


「・・・顔、赤いぞ。熱でもあったのか?」

「・・・っ!!!」


ちらりとのぞいたほほは林檎のように染まっていて。

しかし刹那は肩を震わせると、心配して手を伸ばしかけたロックオンの隙間を通り抜けて、早足で車に向かっていった。




「お、おい刹那!!?」


「うるさい!!!」



逃げるように刹那は車に乗り込んでしまい、広い校門にロックオンは取り残される。



「な、なんなんだぁ?」



こっちは心配しているというのに、うるさいと言われた。ショックで立ち尽くす。




ああミススメラギ・・・最近刹那が反抗期です・・・

前々から気難しい子だとは思っていたが・・・





朝の刹那の態度も尾を引き、年頃の少女の扱いに戸惑う父親の如く、ロックオンはとぼとぼと車まで歩み寄っていった。






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