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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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というわけで八話if話でブシ刹♀です。
ブシドーさんは最初紋付袴で能面ルックにしようかと思ったのですが確実にゲートで取り押さえられるので、眼帯かオペラ座か悩んだのですが眼帯だとニールになるのでオペラ座にしました。オペラ座なら・・・まあコスプレでもいけますよね?紅龍もチャイナでしたしドレスコードは無きに等しいと信じています。まあ流石に仮面陣羽織は拒否されると思いますが。
あ、刹♀でも女装っぽく見えるとか内緒です。

現在では珍しい、生のオーケストラの音が微かに風に運ばれ、閑散としている駐車場にも優美な雰囲気を漂わせる。
今頃あの音楽の渦中にいる同僚からの連絡がないことを確認し、刹那は嘆息した。
弱者を弾圧する軍部だろうに、優雅なことだ。今頃マリナがいる中東は、情報規制と貧困に喘いでいるだろうに。
中世の贅をこらした、無意味に豪奢な建物から視線を背け、刹那は車に寄り掛かった。
車の中に戻ってもよかったが、今は夜風に当たっていたい。何より、座ると履き慣れないタイトスカートが窮屈で不愉快なのだ。
することもなく端末を片手に夜空を見上げた。
ごてごてと張り巡らされた照明のせいで、夜空に瞬いているはずの星が霞んで見える。
やはり都会は嫌いだ。
自らの周りを飾り立てるだけの、愚かしい人種も。

「今宵は良い月が見えないな」
突如掛けられた声に、刹那は身を竦めた。駐車場には人は殆どおらず、つい気を抜いてしまったのだ。
端末を切り、スメラギに指定された疑似人格を用い愛想笑いを作る。だが振り返った瞬間、刹那は内心動揺と警戒が走った。
「まあここにいるものは空がくすんでいようが気にはしないだろうね」
そう三日月のような笑みを口元に湛える男に、見覚えがあった。
噴水の照明で青みを帯びて輝く金髪が風に吹かれふわふわと揺れる。
きっちりとしたスーツに身を固め、暗闇に輝く翠の瞳。
しかし記憶に違うのは、顔半分近くを覆う仮面だった。舞台等でしかつけられないようなそれは隠された甘いマスクの片鱗を強調させ、場にそぐわない異様さはあったものの不思議と板についていた。

刹那はどう答えていいかわからず、にっこりと笑顔を作り軽く会釈する。
大丈夫だ、今の刹那はウィッグをつけ、多少胸につめものをし(不本意ながら)女性らしく変装している。性別まではバレていなかったはずだがら、歳月も経ていることだし相手の記憶も朧気だろう。
黙ってばかりいては違和感を持たれるので愛想よく、丁寧な敬語で疑似人格通りの慎ましやかな運転手嬢にふさわしい声を出した。
「パーティーはもうお開きになられたのでしょうか?」
「いいや、まだ続いているよ。だがどうも格式ばった所は苦手でね」
知人に誘われたはいいが興に乗らん、とネクタイを緩めつつも若干苦々しい顔で呟く男に笑顔で応対しながらも、刹那はどうやって場を逃れようかと考える。
パーティーはまだ続いているようだから仕事がある、と振り切るにもきついものがある。ティエリアも帰ってくる気配はない。運転手としてこの場にいるから車から離れるわけにもいかないだろう。
「良いのですか?お戻りになられなくてお連れ様が心配を…」
「連れなら大丈夫だよ。金に物を聞かす連中に油を売るのに精一杯なのだから」
正確にいえば彼の叔父が、だがと笑みを漏らす彼に退路を絶たれ、どうしたものかと内心困った。もしかして、連れが戻るまでここにいるつもりか。
余りアロウズの人間とは関わりたくない。
ぼろが出る前に早くどっか行け、と談笑しつつ内心で思っていると、不意に微かに聞こえていた音楽の曲調ががらりと変わった。
人のざわめきは消え、控えめに演奏されていたはずの音楽が場を支配している。どうやらダンスタイムに移行したのだろう。
「ワルツか」
「素敵ですね」
興味はなさそうなものの、一応は建物に体を向け音楽に耳を傾けていた彼は、ふと何かを妙案を思い付いたかのように刹那に向き直り、甘やかな笑みを浮かべ刹那に手をすっと伸ばしてきた。
「お互い連れを待つ間、一曲如何かな?お嬢さん」
「え」

差し伸ばされた白手袋に覆われた掌を思わず凝視する。
人はいないとはいえ、ここは駐車場だ。そんな所で一介の運転手(に偽装しているのだが)と踊ろう等、一体何を考えているのかわからない。大体ダンスのステップなんて、パーティーに潜入するために猛特訓していたティエリアはともかく、習ったことなどないのだ。社交界等には縁遠い戦場に身を置く以上当たり前のことなのだろうが。

「お言葉は嬉しいのですが…私は参加者ではないので」
それに学がないものでダンスは、と丁重に断ろうとするものの、男はまるで聞く耳をもたず、刹那の手を掴み、引っ張り車の間からスペースに余裕のある噴水の前にまで連れてきた。

「大丈夫、私がリードしよう。」
「いえ、あの私それ以上にダンスなんてやったこと」
「さあ、このフレーズから始めようか」

君は私に身を委ねるだけでいい。そう耳元で甘く囁くと、男は刹那の腰に手を回した。
丁度その時一節が終わり、刹那が何かを言う前に、男は刹那の手をぎゅっと握ったまま動き出した。

「あの、お…じゃなかった私はダンスなんてっ」
「大丈夫だ、呼吸を合わせて」
曲に合わせ、男はステップを踏む。最初は慣れないヒールとテンポに足を踏み外し掛けたりしたが、その都度男が逞しい腕で支えた。
端から見たらかなり滑稽な図だろう。仮面をつけた男と運転手が、駐車場スペースで歪なワルツを踊っているなんて、人がいないからいいものの正直刹那は今すぐこの男をはっ倒し逃げたかった。
しかし最初は覚束ず男の動きについていけなかった刹那は段々曲のテンポと次にする動きを読めるようになり、正規のダンスではないものの、それなりについていけるようにはなった。
「中々センスがあるじゃないか。その調子だ」
男に腰を引かれつつ、刹那は困ったようにぎこちなく笑みを浮かべた。
微かなと三拍子とせらせらと涼やかな水音を立てる噴水をBGMに、二人は奇妙なワルツを踊っていた。
華美な照明はそこにないが、朧月と星が照らし、一種の幻想的な雰囲気を醸し出している。
何で俺がこんなことを…
ティエリアに見られたら後々まで言われるだろうな、と先程女装した彼を笑った手前苦々しく思っていると、金髪を靡かせさも愉快そうにエメラルドの瞳を細める男と視線があった。
すべての元凶たる彼を睨み付けることも疑似人格の手前出来ず、教科書に載せられそうな位典型的な困った顔を作りあげた。
「あの、やはりダンスは戻られて然るべき方々と…満足に踊れない私では役不足です…」
「あんな欲にまみれた空間に戻るのはごめんだ。
化粧と虚栄にまみれ、見かけだけ着飾った女と踊るより何倍もいい」
そんなことを言ったらパーティーに来た意味がないだろう、と呆れつつも歩調を合わせていると、「それに」と男は言葉を続けた。
「空の下で踊る君の方が、宝飾品で着飾られた女の何倍も美しいよ…今の女性としても、ガンダムのパイロットとしても」
「!」
ワルツの曲調が激しいものへと変わった。
その瞬間驚愕で思わず足を踏み外し、後ろ向きに倒れそうになる。
しかし男はすかさず前屈みになって支え、奇妙な愉悦を湛え、吐息がかかるくらいに顔を近づけてきた。

誤魔化そうと思ったが、男にガーターベルトに隠された銃を意図的に触られ、嘘は通用しないことを悟る。
「…いつ気づいた」
「一目見てだよ。まさか女だったとは想定外だったがね、その視線の強さは君しかいない」

彼を振り払い間合いをとろうとするも、刹那を抱く力は強く、完全なる隙を見せたことに刹那はきっ、ときつく睨み付けた。
「しかし、綺麗になったな。あの頃は少年だと思ったが」
だがその苛烈な視線を向けられることすら快感のようで、スーツ越しの胸のラインを確認するかのようにつっと撫で上げた。ぞわり、と悪寒が走り、足を振り上げるも捕まれてしまい、さらに身動きが取れなくなってしまった。

「…俺に、触れるな!」
「久しぶりだというのにつれないな、君は。
私はあれだけ心待ちにしていたというのに、戦闘でも無視をして…」
「…やはり、貴様はアロウズの角付きか?!」
「今気づいたのかね?」
あからさまにがっかりとした顔を浮かべる男に腹が立ち、体を反転させ振り切ろうとするも足を捕まれているため上手くいかず、さらにぽすりと彼の胸に抱かれる羽目になった。
ぎゅっと抱き締められることにより完全に拘束され、刹那は焦りで腕を突っ張るも腰を抱き締められているためピタリと離れない。
「俺をどうするつもりだ!」
「どうもしないさ。」
ただ、そう呟くと、男は一束刹那のウィッグである長い髪をとり、ちゅっと口づけをする。
「空白の時間を埋めようと思っただけだ」
そして口を離すと、固まる刹那の髪をかき揚げた。
「星空の元に祝福されていると思わないかい?」
多少霞んでいるのが悔やまれるが、そう惜し気に呟きながらも男の吐息が頬に吹きかかる。
そして抱き締められたまま、刹那の顔に彼の影が覆い被さった。



生温かい熱が、刹那的に触れ合う。
それと同時に余韻を残して音楽が終わり、盛大な拍手が風に乗って別世界の出来事のようにこちらに聞こえてきた。
それは彼にとって、シンデレラの魔法が解ける鐘の音のようなものだった。
「時間か」
緋色の瞳を零れんばかりに見開く彼女を名残惜しく思うも、カタギリとの約束の時間は守らなければならない。
彼女からゆっくりと体を離せば、力が抜けたのかぺたりと座り込んでしまう。4年前と変わらず初々しい彼女にくっと笑みを漏らし、最後にしゃがみこんで、彼女に優しく囁いた。

「今度は本物の空で一曲お願いしようか」





軌道線上のワルツ
そうして何吹く風の足取りで去っていく男を、唇を押さえてわなわなと震えながらにらみつけた。
一曲どころか、もう踊れないくらいにばらしてやる!





ちなみに同じ曲の間にティエ様もダンシングしています。
カタギリにこの後せっさんが会うかはわかりません。ブシドー折角見逃したのに!ってことになるかもしれない・・・
しかしブシドーの仮面はパピヨンみたいでもいいと思う。
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