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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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久々のニル刹。思いついたままに書いたのでよくわからない話に・・・
前半ニル刹で後半は刹+ライ+フェル。

紅茶の芳醇な香りがふわりと室内に広がる。
とぽとぽと黒猫のマグカップ(彼が買ってきたものだ)に注がれる琥珀色の液体と、珍しく手袋を外し晒された白く長い指をじっと見つめていると、ロックオンはくすりと笑った。

「知ってるか、紅茶は最後の一滴が一番上手いんだぜ」

そう言うとぽとん、と最後の雫が刹那のカップに落とされた。そんなことを言われても、最後の一滴なんてほんの少量だからわからないだろうに。そう言いたげな顔をしていたのか、彼は湖色の瞳を細め苦笑した。

「ほら、冷めないうちに頂くとするか」

新しい茶葉を試したいからと家に押し入られたのが先程。最近はいつの間にか専用のポッドやらマグカップまで用意してちゃっかりと刹那の部屋に置いていく為、全く使われていないに近い台所にそれらの器具が置かれており、隣人が訪ねてきた時に驚かれたものだ。(茶をたしなむような人間に見られていないのは自覚している。)
ロックオンはこう見えて大の紅茶好きだ。アイルランドではよく飲まれるらしいが生憎刹那はそんなものとは縁がなかったために時折彼の拘りに首を捻ることもある。
しかし、彼との何気ない茶会も回数を重ねるうちに悪くないと感じていた。
ロックオンが口をつけるのに倣い、刹那もそっとカップに口づけようとした。が、砂糖を入れ忘れていたことに気づいた。
ロックオンには秘密だが、刹那は紅茶の渋みが苦手であった。それを紛らわすためによく砂糖を入れているのだが、今日に限っていつも机の上に置いてある角砂糖入れがない。
代わりにみつかったのは、今朝パンに塗っていた蜂蜜の小瓶。
この際甘ければ何でもいいと蜂蜜の瓶を手に取り、とろりと金色の雫を入れようとしたとき、それまで上機嫌に紅茶をすすっていたロックオンの瞳が見開かれた。

「刹那、待った!!」
「・・・?」

だがロックオンの手よりも早く蜂蜜はぽとんと紅茶に落ちた。
その途端赤身がかった琥珀色の液体が僅かに黒ずむ。
砂糖をいれたときにはなかった変色に目を見張ると、ロックオンはあちゃー・・・と呟いた。

「蜂蜜入れたら黒ずむっていうのに・・・」
「そうなのか」
「紅茶のタンニンが変色すんだよ」

ロックオンの薀蓄に耳を傾けながら、紅茶をすすろうとすると白い手が伸びてきて、刹那のマグカップを奪う。
何をするのかと目で訴えかければ、「入れなおしてやるから」とロックオンはカップとティーポッドを台所に持っていこうとした。

「色が悪くなっただけで、味は味は変わらないだろう?」
「いーや、そうはいかねえ。ほら、ロイヤルミルクティーにしてやるから座ってな」

もったいない、と思う気持ちとわざわざそれだけの為に淹れ直させることに申し訳なく思っているとロックオンは「そんな顔すんなって」とわしゃわしゃと頭を撫でてくる。

「もう一杯おれも飲みたいしな」

刹那用には砂糖もミルクもたっぷり入れた奴作ってやんからなー、とからかうように笑いながら台所に向かったロックオンを、子ども扱いされていると思ってにらみつけた。
そしてロックオンは、再び最後の一滴を刹那のカップにぽとんと落としてくれた。



「刹那、コーヒーと紅茶どっちがいい?」

少女の声に、刹那ははっ、と意識を戻す。
どうやら談話室で、本を読んだままうたた寝していたらしい。顔を上げれば、カップを手にしていたフェルトがくすり、と笑いかけてきた。

「・・・紅茶で」
「あ、俺も紅茶!」

横からいつの間にかいたらしいロックオンが、ハロを弄びながら割り込んでくれば、フェルトは「わかった」と呟き桃色の髪を揺らし簡易キッチンへと向かう。
「あんたも紅茶派なんだな、意外。あ、苦いの苦手とか?」
けらけらと笑ってみせる緑の制服を纏った男に渋い顔をしてみせれば、「あ、図星か」と再び笑われる。
そのからかい方が、笑声が似ていて、でも刹那の過去を知らない所が決定的に彼とは違う。
夢に出てきたロックオンはあの人だったのか、と思い示された。

「お待たせ」

フェルトが三つの湯気立つカップを持って戻ってきた。紅茶の香りが無機質なデザインのトレミー室内に漂い充満する。

「お、アールグレイか」

さんきゅ、とロックオンが手に取り、刹那もまた礼を言って彼女からカップを受け取った。

「あ、そうだ砂糖・・・」

一口飲んでからフェルトが気付き、再びキッチンへと歩いていく。
「大人びていても子供だねえ」と呟きながらも、ロックオンはそのまま口をつけた。
手の中にある琥珀色の液体。あの時と同じようにゆらゆらと水面を揺らし湯気をほこほこ上げているそれ。
だが、これを入れてくれる人は。
刹那に紅茶の味を教えてくれた人は。
気付いたら刹那は近くに誰かが置き忘れていた蜂蜜の瓶を手に取り、スプーンで一掬いする。

「あ、刹那」

ロックオンが口を挟もうとする。だがそのまえに刹那は銀匙を紅茶の中に落とし、ぐるぐると紅茶と蜂蜜が一体化するまで掻き混ぜた。
「あーあ、だからいったのに・・・」
ロックオンが眉をしかめて刹那のカップを覗き込む。黄金の蜂蜜と鮮やかな琥珀色を合わせたにもかかわらず、二つを混ぜ合わせ浅黒く沈んだ色になってしまった紅茶。

「フェルトが砂糖を取りにってるんだから待てばいいのに」
「いや、」 

呆れた顔をするロックオンの前で刹那は微笑んだ。

「これでいいんだ」

そうカップの淵を指でこすりつつ呟けば、変な奴、とロックオンは呆れた顔して笑いつつも自らの紅茶を口に運んだ。
それを気にせず、刹那は黒ずんだ液体に口をつける。
蜂蜜独特の風味と、僅かに渋い味が一杯に広がる。
フェルトがミルクの入った小瓶と砂糖を持ってきたころには、刹那はそれを一気に飲み干していた。



蜂蜜と紅茶が入り混じる。
見た目しか変わらないのにわざわざ変えてくれた彼は、もうここにはいないけど。




ところで家に紅茶風味の蜂蜜があるのですが別に黒ずんでないんですよね・・・蜂蜜が多ければ大丈夫なのでしょうか?
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