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OO中心戯れ言ばっか。ハム至上主義で刹受け中心カオスブログ。



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兄貴お誕生日おめでとうございます!本編がアレですがね、享年25とかやめてください泣きます。
言い訳すると実はこれ3日に間に合ったのですが、何故か非公開になっていて翌日に気付くという愚かものです・・・
本当は本編に即した話にしたかったのですが暗くなるのでやめました。しかもこりずに年齢逆転・・・結局暗いですし。
21話放映後に急にロク刹票が増えて驚きました。でもほとんどグラ刹とにょたの一騎打ちですね。
いっそのことグラ刹♀をサイト傾向にすべきでしょうか。(え)

すこしグロ注意です。R15







歪な呼び声



ニール。
白く細くしなやかな手が、そっと少年の頬を包みこんだ。

ニール。
厚く大きな手が、柔らかなくせ毛頭に乗せられた。

おにいちゃん。
ちいさな紅葉のような手が、少年の手に指を絡めた。

ニール
ニール
おにいちゃん。

ひだまりのような暖かな手達。
時折その暖かさに嫌気や反抗心を生んだ時もあったが、無意識のうちにそれは当然だと思っていたから。

ぎゅっとちいさな手を握り、愛しきものたちに笑みを送る。
その時。

母のしなやかな体が、父の大きな背中が、妹の華奢な体が、
一瞬にして爆散した。
肉の欠片すら残さず。


ひだまりが一転。瓦礫の中のような、重苦しい曇天の下に一人残された。

息をするのも忘れ、叫ぶ。母の名を、父の名を、妹の名を。

しかし近くにあるのは、頬に張り付いたままの母の手と、髪を赤く染めゆく父の手、急速に冷えていく妹の小さな手。


ニール
ニール
おにいちゃん
青白くなった皮膚と彩度を失い凝固していく血。
そしてそれらは声帯を失ったというのに少年の名を呼び、ずんずんと鉛のように重くなっていく。



ニール
可哀想なニール
お前を一人だけにはさせないよ。

重くなる手達に、氷のように冷たくなる手達に、少年は思わず悲鳴を上げた。だが母の手だったものが緩やかに口を塞ぎ、叫びは愚か呼吸すらもさせない。
そして、三つの重りをつけた少年は漆黒よりも深い泥に誘われた・・・






「ロックオン・ストラトス!」
暗闇すらも切り裂くような鋭い声に、ロックオンは瞬時に瞳を開く。

瞬きを二回し、自分が硬質ながらも光の中にいることに気付いた。背中をつと流れていく汗に、此処がリアルであることに気付く。パイロットスーツがぴっちり肌に吸い付き、発汗性に優れているものであるものの気持ち悪い。
「ロックオン?」
蒼いスーツと対照的な血の瞳で見つめられ、ようやく自分のことを思い出した。
そうだ、俺の今の名はロックオン・ストラトス。
次のミッションまで時間があるからとしばし仮眠をしていたのだ。
弱かった平凡なニール・ディランディは家族と共に死んだ。

「顔色が悪い。医務室を呼ぶか?」
そう言って端末を取り出す先輩(外見はとてもそう見えないが)にあたるマイスターを制し、大丈夫だと顔の筋肉を歪め笑みを作った。こういう時は子供扱いされているようで腹が立つ。普段は自分の下にいるというのに。

「なあ、今何時?」
「・・・0時。グリニッジ標準時刻でいうと03/0300:04だ」
無駄に正確な数字に普段なら感嘆とも呆れともとれるため息をつくが、今日ばかりはそんな気になれなかった。

「そうか・・・だから・・・」
「なにがだ」
「いや、こっちの話」
首を傾げる刹那にヒラヒラと手を振る。
だからこんな夢を見たのか。
オフ以外は極力思いだそうとしない過去。だが生まれた日だけはロックオンになっても変えることができず、僅かな安らぎの中に溢れ出してきたのか。
あの日。
全てが一瞬で消えた日までは、0時になるのをドキドキとベットの中で待ち、夜更かしするなと両親に叱られた。そして新鮮な気持ちで朝日を浴び、学校で祝われ、意気揚々と家に帰れば好物が山と用意され、欲しかったものを貰い、妹の拙いソプラノの歌声の中ロウソクを吹き消した。
笑顔の中祝福され、キスや抱擁を受け、年をとるたび大人になったと勘違いし得意になるそして、そんな日々が毎年続くと信じていた。

「馬鹿だな」
「?」
「生まれた日に意味なんか、ほとんどないのにな」
だが、祝う人がいなければ誕生日などただ自分の年齢が更新されるだけの、自動的なものにしかならない。
ニール・ディランディの誕生日を知るものは、祝いたいと思うものは、もういないのだ。


「誕生日なのか?」
「そ。17だってさ。」
「他人事のようだな」
「まあね」
あの夢は、ある意味自分が求めていたことなのかも知れない。
自ら命を絶つことはできなかった弱虫な子供を一人にしない為に、死んだ家族がプレゼントしようとしてくれた安らぎ。
もしあの時刹那が起こさなければ、冷たい泥の中皆と眠れたのだろうか?


「知らなかった」
「あーそういや去年はあんたとミッション違ったしな」
「・・・何かあげるべきか?」
「え」
今度はこちらがきょとんとする番だった。
一応24歳であるはずの同僚は顎に手をあて、何かを考えている。
「祝って・・・くれんの?」
「去年おまえに祝われた気がする」
一応返す義理はあると呟き、刹那は思考にふけり始めた。が、もともと娯楽に興味の欠片もなかった為かすぐに思考を諦め、ロックオンの方をチラチラと見始める。
「・・・何がほしい」
「じゃああんたを今晩いただ」「却下」
尻に伸ばしかけた手を叩き、刹那は睨みつけてくる。半分本気だったのに。いやこれで刹那が体を開いたら驚くけど。

「ミッションに支障が出ず、艦内で用意できる限りでだ」
じゃあミッションないならいいのかよと突っ込みたいが、至って真剣な紅玉の瞳を前に、冗談を言ったら一生祝って貰えなくなるだろうと悟った。

欲しいもの・・・
特にはない。いやむしろ亡くしてしまった。
艦内は愚か世界の技術を尽しても用意は出来ないだろう。
では、せめて。


「名前・・・呼んでくれないか」
「?」
「コードネームじゃない、俺の本名な。あんたも聞いてただろ?」
トリニティに告げられた真実。
本来あいまみえるはずもない憎むべきものが、仲間であった。あの時は激昂し銃をつきつけ、撃った。今でも胸の一角で憎悪がうごめいている。だというのに。
俺はそんな相手に家族を重ねようとしている。
祝って欲しいと願っている。

刹那もあの時のことを思い出したのか、苦々しさと驚きに眉を潜めロックオンをじっと見つめていた。
母は、父は、妹はどう思うだろうか。
本来仇である人物にすがろうとする自分の哀れな姿を。

「・・・ニール」
小さな声。しかしそれは確かに過去の自分の名。
かつては毎日のように呼ばれ、愛が含まれていた言霊。

「もう一回呼んで」
「ニール」

そっと頭に何がのせられ、緩やかに頭を掻き回す。パイロットスーツごしで熱はなく、父のものより明らかに小さく細い手。


気付いたら、手を伸ばし刹那の体を抱き締めていた。
母のようなしなやかさもなく、細いが硬い男の体。しかし、今はすがりつかないと、紛争根絶も何もかも投げ出したくなってしまいそうで。
そっと壊れ物を扱うかのような指先が頬に当たる。顔をあげれば、刹那がいくぶんが戸惑うかのようだが、薄く微笑んでいてくれた。

「祝福を。ニール。」



ここは共用の場で、他のマイスターがいつ来るかわからない。
しかし、ニールは薄い胸板に顔を押し付け、静かに泣いていた。

そうでもしなければ、これからも人為的ながらも光の世界に立つことが出来なくなるだろうから。

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「非晶質。」にようこそ。
ここはグラハム・エーカー至上主義グラ刹になりそうな予感のする二次創作腐女子ブログです。
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管理人:流離

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